関西大学 KANSAI UNIVERSITY

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2023年年賀のあいさつ

  あけましておめでとうございます。

  皆様におかれましては、どのように新しい年をお迎えになられたでしょうか。長く続く、このコロナ禍の影響が、私たちの生活様式をも、良い意味でも、悪い意味でも変えてしまいました。コロナの第8波の感染の拡がりに不安を感じながら、新年を迎えられた皆様も多いのではないでしょうか。

  一方で、人の移動や人と人との出会い、集まりに対する制限や制約に対する社会の理解にも変化がある中で、改めてコロナ禍での関西大学の教育、研究のスタイルあるいは私たちのキャンパスでの暮らしを確実なものにしておきたいという思いがあります。この3年間の苦労を無にしない、新たな大学の学びや諸活動の形態を堅牢な、ロバストなものにしなければならないと思います。

  加えて、ウクライナへのロシア軍の侵攻は、世界の安定、平和に対する大きな脅威でした。そして、それがいまも続いています。武力による現状変更は、我々がいままで積み上げてきた世界秩序を破壊するもので到底容認できません。平和的な手段によって速やかにこの問題が解決されることを望みます。関西大学でも、ウクライナ支援タスクフォースを立ち上げ、ウクライナ学生の学びを途絶えさせないという視点から、学生の受け入れ制度を整え、受け入れを始めました。そのなかでドニプロ工科大学との連携も始まりました。しかし、これだけではなく、ウクライナ問題で私たちができることは何かを考え続けなくてはなりません。多くの皆様のご理解とご支援をいただいたことにも感謝申し上げます。



  さて、コロナ禍やウクライナ問題で翻弄される世界情勢の中で、日本社会の直面する課題も深刻です。そのような背景のもとで関西大学が教育、研究、社会連携活動を通してどのように貢献していけるのかが問われているように思います。



  政府は、少子化、生産年齢人口の減少が進む日本社会の現状を受け、教育未来創造会議を立ち上げ、「日本社会と個人の未来は教育にある」という理念のもと、様々な課題を示しています。関西大学においても、将来構想委員会を立ち上げ、教学の将来を様々な視点から検討することを始めています。大学、各学部、研究科が、そのあり方を見つめ、創造的に発展させる機会を考える場としていただきたいと思います。新たな切り口、展開がここから生まれることを期待しています。

  また、大学院進学率の向上は日本社会においても、関西大学大学院においても重要な課題です。現在、社会科学系の研究科を横断する英語コースの検討も最終局面を迎えています。留学生も含めた、多様な大学院生が学べる場として大変期待したいところです。さらに、博士後期課程学生の環境整備については、JST「次世代研究者挑戦的研究プログラム」『豊富な産学連携・地域連携と連動させた「考動力」人材育成プロジェクト』の採択で20名の大学院後期課程学生が活動を始めました。来年度に向け5名の増員が認められました。日本社会における大学院進学率の向上にも貢献する取り組みです。そして前回の再編から12年を経過した現行の学内研究費制度は、研究力強化や若手研究者の育成、支援という観点からも再編が求められる時期にあります。戦略性、若手支援、緊急性に加えて、国際共著論文の支援、科学研究補助金の奨励をもとに再編案をご検討頂いておりますので、引き続きご理解をお願いいたします。

  また、本学では2021年度、共通教養科目に「AI・データサイエンス教育プログラム」を設置し、AIやデータサイエンスに関する全学的なリテラシー教育を展開してきました。昨年、このプログラムが文部科学省による「数理・データサイエンス・AI 教育プログラム(リテラシーレベル)」に認定されました。2023年度には応用基礎レベルへの申請を予定しています。また、修了者にデジタル証明書(オープンバッジ)の発行を予定しています。今後も、デジタル社会に求められる基礎知識としての重要性が高まっており、充実を図ります。



  一方、大学の国際化においてコロナ禍は深刻な影響を与えました。2018年に始まった大学の世界展開力強化事業「COIL型教育を活用した米国等との大学間交流形成支援」は2023年3月に終了します。国際化の視点は、送り出し学生や留学生を増やすというフェーズから、我々の教育にCOILをはじめとするDXを活用した手法などを導入して、ひとつひとつの講義に、国際化、多文化理解の視点を取り入れるというフェーズに移っています。この点についても教職員の皆様の一層のご理解をお願いいたします。



  これまで関西大学では、アントレプレナーシップについて、イノベーション創成センターや梅田キャンパスあるいは各学部や共通教養科目などで関連知識の教授が行われてきました。各プログラムの連環や大学総体としてのアントレプレナーシップへの方針を定めることの必要性から取りまとめていただきました。その中で、「起業家のように考動する人材の育成」を本学におけるアントレプレナーシップ醸成施策における方針として進めていきます。

  SDGsやカーボンニュートラルは、この地球を私たちの未来に託すための重要な課題です。関西大学は昨年カーボンニュートラル研究センターを設立し、社会科学、人文科学も含めた学際的な取り組みとして、多くの学生と共に活動を進めています。また、SDGsパートナー制度では約50の団体と協定をむすび、ともに活動しています。「未来に伝える、研究として取り組む、社会と連携する」をスローガンに取り組みを進めていきます。そして、2025年には大阪関西万博EXPO 2025が開かれます。大阪ヘルスケアパビリオン「展示・出展スペース」でのリボーンチャレンジに本学事業企画「Academia×REBORN~学理と実際との調和」が認定されたことに加えて、関西大学として存在感のある参画を学生とともに考えていきます。

  多様性は関西大学の未来にとっても必要な基本要素です。法人と教学が共に参画している関西大学男女共同参画推進委員会が関西大学ダイバーシティ推進委員会へと生まれ変わりました。Diversity, Equity & Inclusionを推進する原動力としての、この委員会の意義は大きいものがあります。生理用品の設置やLGBTQ+の理解などで多様で優秀な人材の参画、教育・研究の行いやすい環境作りに注力します。



  昨年、大学昇格100周年に関係する諸行事のひとつひとつがすべて成功裡に終わりました。みなさまのご協力に心よりお礼を申し上げます。とりわけ昨年は課外活動においても多くの成果がありました。益々活発になっていくこれらの諸活動にも注力していきます。

  関西大学は創設から137年目、大学昇格から101年目に入ります。学生諸君、教職員、校友会や後援会をはじめとする、ご支援をいただいている多くの諸団体の皆様共々、心を一つにして、関大ファミリーとして、新たな年を実り多い年にしていきたいと思います。皆様方のご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。



  今年も、昨年と同じことをお願いすることになりますが、それぞれの部局で、新たな視点から、新たな取り組みを提案、スタートして頂きたいと思います。変化を恐れずに果敢に挑戦する。変化は勇気であり、力になります。



  今年1年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


2023年 初春

関西大学学長
前田 裕
前田裕学長

2023/01/01 00:00 UP

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