関西大学 KANSAI UNIVERSITY

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新年のご挨拶~「むすび」と「つながり」の活動から~

  新年あけましておめでとうございます。

  最初に、昨年の関西大学のさまざまな活動を振り返って気がついたことを、1つ書いておきたいと思います。それは、関西大学のさまざまな活動において、大学と大学外のさまざまな機関・組織との間の関係が、従来に増して重要になってきたということです。副題の「むすび」と「つながり」は、そうした大学のあり方を象徴する言葉ではないかと考えて付けてみました。今後の大学のあり方を考えるとき、大学が組織単体で何もかもすべてを用意し、日々の教育と研究に向き合う姿は、日本の大学の原初のモデルとしては大事であっても、将来の関西大学は、より大胆に大学を取りまく社会と、結びあい繋がりあって自らの道を拓いていくことになるのでしょう。
  他大学との連携については、2つの協定が結ばれました。4月18日には、津田塾大学との間で包括的な連携協定を結びました。そして9月25日には、法政大学、明治大学そして本学の3大学間で、包括的な連携協力協定を締結しました。
  東京にある私立大学と、こうした大学連携の協定を結んだのはどういう理由でしょう。実は、津田、法政、明治そして関大は、いずれも明治期に起源を持つ日本の私立大学です。よく、私立大学の原点は建学の精神にあるといわれます。建学の精神には創設者の魂が込められていて、歴史の中でそれぞれの大学が学風を育み、やがて発展期を迎えると大きく私学の独自性や特色を伸ばしていく土台でもあります。
  津田塾大学の場合には、女子の高等教育に生涯をかけた創設者津田梅子の事跡がそれに当たります。少女として岩倉使節団とともにアメリカに渡り、10年以上現地の教育を受けて帰国した彼女が、やがて周囲の支援を得て東京英学塾を開設する物語は、私たちの心を強く打ちます。私たち関西大学の場合にも、12人を数える創設者の大半は、司法省法学校でボアソナードの薫陶を受けた若き司法官、ボアソナードの傍にあった門人、ボアソナードが関わる草創期の司法省に勤める法務官でした。私たちは、関西法律学校の創設に参加し、広く市民に法知識を普及する目的をもって創業期を担い支えた若き司法官の志の高さを想起し、ある種の感動を覚えます。
  ボアソナードに焦点を定めると、すぐに東京の法政大学と明治大学のことが頭に浮かびます。ボアソナード自身が校長を務めたことから、明治10年代の創設当時から「ボアソナードの学校」と呼ばれていた法政大学、やはり同時期に司法省法学校の卒業生が集まって創設した明治大学、いずれの学校もボアソナードとの出会いと法曹教育を通じた人格との触れあいが、首都東京でフランス法を教授する法律学校が誕生するきっかけとなりました。つまり、関大、法政、明治の私立3大学は、いずれも明治の10年代に、フランス人法学者でパリ大学教授のボアソナードの薫陶を受けた若き法曹家たちが中心になって創設された法律学校という共通点で結ばれていたのです。
  「むすび」と「つながり」は、大学間のことに止まりません。大幅に増加した外国の大学との国際交流協定、地方自治体との間の地域連携協定、民間企業との産学連携活動がますます盛んになってきました。さらに細かく見てみると、商店街との連携活動、地域住民とのスポーツ交流、学校インターンシップ、地域創生を目指すボランティア活動、Uターンの促進を目指す自治体との就職協力協定など、幅広い連携活動を通じた「むすび」と「つながり」が、いま私たち関西大学を創りあげていると言っても過言ではないでしょう。
  こうした傾向は、組織のほうから眺めれば、オープネスに関わる問題と表現されます。ことは大学という組織だけの問題ではありません。共通の目的や志を持つ者が、「呼び合い集まり交流し」、「結びあい繋がりあって一緒に協働する」ことが、いっそう強く求められる時代になった、そんな思いを強くしています。

  末筆ながら、引き続き本学へのご支援とご協力をお願いするとともに、皆さまのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。

2018年元旦

関西大学学長
芝井敬司

芝井敬司学長

2018/01/01 00:00 UP

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