はじめに

新入生の皆さん、入学おめでとう。皆さんにこの冊子を届けるにあたり、伝えたいことがあります。 それは、グローバル化がいわれる現在もなお、世界では、宗教、民族の違いによる争いや人種、肌の色、性別の違い、身体に障害があることや日本における被差 別部落の問題などの差別が根強く残っているということです。

関西大学では、人権問題を今日の重要な課題と認識し、人権意識を高めるべく、様ざまな取り組みを行ってきました。その中で、「関西大学ダイバーシティ推進宣言」を出し、多様な背景をもつ学生・教職員が協働し、「ともに生き、ともに学ぶ」キャンパス作りを推進しています。

この冊子『人権問題と大学ーHuman Rights Handbook』は、学内外の多くの関係者からの助言のもとに、様ざまな角度から人の権利について、 新入生の皆さんにできるだけ読みやすく分かりやすい形で表したものです。この冊子を糸口にして、人権問題についてより深く考え、行動できる人間に成長されることを期待します。

2022年4月
学長前田 裕

人権とはなんだろうなんだろう?

皆さんは「人権」と聞いて、どんなことが頭に浮かびますか。障害者差別や人種差別などの差別問題を考えた人が多く、「自分の人権」と考えた人は少ないのではないでしょうか。人権は、どこか知らないところで困難を抱えている人たちの問題、そう考える人が多いと思います。これまでの人権教育では、様ざまな社会的弱者を取り上げて人権を語ってきたため、人権は自分とは直接関係のない差別の問題とみてしまうからです。

表にあげたのは、NHK放送文化研究所の意識調査の結果です。憲法によって国民の権利として決められていることを選ぶという設問です。これをみると、最も多いのは「人間らしい暮らしをする」で、74.2%です。でも、当てはまるものをいくつでも選ぶことができるわけですから、 憲法25条の生存権は100%近くになってもいいと思うのですが、8割を切っています。2番目に多いのが「税金を納める」で、「思っていることを世間に発表する」(21条の表現の自由)を上回っています。 「労働組合をつくる」(28条の団結権)は17.5%しかありません。これが私たちの権利理解の現状なのです。

自分がどのような権利をもっているのか、知らなければ、自分の権利を守ることなどできません。 周りのみんながどのような権利をもっているのか、知らなければ、他人の権利を侵害しないと断言することはできません。 こうした根本的なことが十分に理解されていないのです。 これはこれまでの人権教育・啓発において「人権」が「特別な人の問題」として語られ、一人称で語られることがなかったからです。

この冊子には、様ざまな人権問題が取り上げられています。まずは自分と人権について皆さんが考えをめぐらせ、そして自分の周りの人たちや、これから出会うであろう人たちとの関係について、自分自身に関わる問題として考えてみてください。

本冊子の使い方

今までは、あまり意識することがなかったかもしれない“人権”。大学生活を送るうえで、そしてあなたの人生において、実は「とても身近に存在する」重要な問題なのです。本書では、あなたも経験するかも…という様ざまなシーンをイラストとともに掲載しています。気になるページをめくって、ぜひ“人権”に触れてみてください。

さらに知識や理解を深めるために

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