Human Rights
Handbook 2024

はじめに

はじめに 学長メッセージ

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。入学に際して、あらためて考えていただきたい大切なことがあります。

人は、一人一人、他の人とは異なる特質、個性を持っています。それは、心や体のことの場合もありますし、考え方や信条の場合もあるでしょう。それは、育ってきた文化や出自、言語による違いかもしれません。しかし、このような多様な背景を持つ人々がお互いを理解し、尊重しながら暮らしていく社会が求められています。これは、私たちが長い歴史の中で積み重ねてきた大切な価値観です。

多様な背景を持つ学生や教職員が集う関西大学では、人権問題を重要な課題と認識しています。関西大学の一員となった皆さんにも、このことを理解していただきたいです。この冊子は、このような人権問題を理解していただくための第一歩です。私たち一人一人が自分らしく、生き生きと暮らしていくためには欠かせない人権の問題を、自分のこととして理解するための1冊です。どうぞ最後まで読んで、人権のことを、もう一度考えてみてください。

2024年4月

学長 前田 裕

本冊子の使い方

STEP1 例えばどんなときに

今までは、あまり意識することがなかったかもしれない“人権”。大学生活を送る上で、そしてあなたの人生において、実は「とても身近に存在する」重要な問題なのです。学校・クラブ・サークル・SNSを通じてさまざまなつながりがあります。そんな誰かとの関係で迷ったとき、開いてみてください。人との関わり方、個性を認め合うためのヒントが見つかるかもしれません。

本冊子の使い方 STEP1 例えばどんなときに

STEP2 具体例を4コマ漫画で分かりやすく

本書では、あなたも経験するかも……というさまざまなシーンを4コマ漫画で紹介します。気になるページをめくって、ぜひ“人権”に触れてみてください。

本冊子の使い方 STEP2 具体例の4コマ漫画

STEP3 さらに知識や理解を深めるために

情報BOXでは、各章のテーマにそった“人権”についての情報を掲載しています。

本冊子の使い方 STEP3 情報BOX

もっと深めよう!関連資料紹介では、より専門的な書籍や人権に関するDVDなどの関連資料を紹介しています。

本冊子の使い方 STEP3 関連資料紹介

学生相談窓口 学生相談・支援センターでは、あなたをサポートする関西大学の窓口を案内しています。

本冊子の使い方 STEP3 関連資料紹介

人権とはなんだろう?

皆さんは「人権問題」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?

テレビのニュースで見るような、親の虐待で子どもが命を奪われたり、外国人だからと差別を受けたりというような、悲しく痛ましいことをイメージするかもしれません。そして、「とても大切なこと」である一方「何だか硬くて難しい」「自分には関係ない」、自分から遠いものだと思ってはいませんか?

人権とは「人間が人間らしく生きる権利で、生まれながらに持つ権利」のことです。ただ、それがどんな権利なのか、人が人らしく生きていくために必要な権利とは何なのかを具体的にイメージすることは、今の日本ではなかなか難しいかもしれません。

一昨年11月に政府が公開した、人権意識の現状についての調査データがあります。(2022年11月「『人権擁護に関する世論調査』の概要」内閣府)

この中の「人権侵害の経験」という項目を見ると、約7割の人が “自分の人権が侵害されたと思ったことはない” と答えています。大半の人は人権問題で悩みはなく、現在の日本では人権が高い水準で守られていることがこの回答から分かります。

一方で約3割の人は “自分の人権が侵害されたと思ったことがある” と答えています。侵害の内容について最も多いのは「あらぬうわさ、他人からの悪口、かげ口」、次いで「職場での嫌がらせ」、と身近で誰にでも降りかかる内容が上位に挙げられています。

人権擁護に関する世論調査
人権擁護に関する世論調査

皆さんが軽い気持ちでしたことが、近くの誰かの人権を侵害しているかもしれません。

この冊子では、大学生の皆さんの身近に起こり得る事例を中心に、さまざまな人権問題を取り上げています。困っている人の主張に耳を傾け、なぜ困るのか、どれだけ困っているのか、まずは自分のこととして「想像して」みてください。

人権についての理解を一層深め、自分と異なる人の立場になって考えてみる。それが、人権問題を考えるきっかけになるのではないでしょうか。自分とは異なる人の立場になって考えることは、皆さんの世界を広げてくれることと思います。

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