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E(環境・エネルギー・社会)研究部門別発表会(第75回)を開催

 千里山キャンパスで5月8日、関西大学先端科学技術推進機構による「E(環境・エネルギー・社会)研究部門別発表会(第75回)」を開催しました。今回のテーマは「フィールドワークで探求する環境保全と防災」。今日の地球環境問題と自然災害との関係を考察すべく、フィールドワークを通して環境・防災・資源・インフラの課題解決を探る研究者らが講演を行いました。

 発表会は、E(環境・エネルギー・社会)研究部門長の田中俊輔教授(環境都市工学部)の挨拶で開会し、前半は同学部の安田誠宏教授が「グリーンインフラとグレーインフラの融合―沖縄での人工構造物におけるサンゴ調査を通じて」をテーマに講演。自然環境を活用した持続可能な社会資本整備や土地利用などについて、全国各地の取り組み事例を挙げて説明しました。また、安田教授が継続的に現地調査を行っている、沖縄県本部町浜崎海岸の人工リーフ(越波対策として整備された、自然のサンゴ礁の機能を模した潜堤)について紹介。人口リーフに良好な状態でサンゴが育成している調査データを示し、環境とコンクリート構造物という、一見対立関係にあると認識されがちな両者の協働がもたらす効果について具体的に説明しました。

 後半では、公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)研究員の森祐紀氏が「南極でのフィールドワークと岩石の研究」として、2023年11月から約4か月、文部科学省の第65次南極地域観測隊隊員として参加した岩石調査活動について報告しました。

 本題への導入として「南極といえば? ーペンギン、寒い、氷」というイメージを共有しつつ、氷床で覆われた南極の表面にわずか約2%だけ露出する岩石の一部を調べること、と調査の目的を紹介。出発前には健康診断や雪山での厳しい訓練と座学への参加、物品調達が出来ない南極での滞在に向けた入念な準備と計画、海上自衛隊が運航する観測船でのリアルな生活、南極到達後のスケジュールや調査方法などについて、スライドを使って詳しく説明しました。

 実際の調査では、対象をめざしてキャンプを転々とし、岩場や雪面を歩きながらターゲットとなる岩を見定めてはハンマーで砕いて良い石を採取。天候が急変することもある過酷な現場で、重い装備品と岩石を背負って調査を継続し、持ち帰った試料は約1.3トン。これらを研究する日々が今後も続くと展望を述べました。森氏の興味深い報告に、質疑応答では時間いっぱいに質問が飛び交いました。

 研究の成果が、環境や防災、インフラなど、地球と社会に役立てられていることを理解し、これからの地球の未来を考える貴重な機会となりました。

関西大学先端科学技術推進機構のウェブサイト

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