KANDAI
TOPICS日常の出来事

2月27日、本学初の女子学生で、ジャーナリストとして活躍しながら27歳で早世した北村兼子さん(1903~31年)の特別卒業証書贈呈式があり、遺族(甥)の北村高さんが出席しました。北村兼子さんは1923年から法学部法律学科で聴講生として学び、26年に修了しました。特別卒業証書は卒業生と同じ修学をしながら特別な事情で卒業できなかった際に贈られるもので、史上5人目。国の制度上、女性であるために正式に入学できずに聴講生として学んだケースでは初めてです。
高橋智幸学長が「特別卒業証書を贈呈することで、今を生きる学生たちを含めて、多くの人に北村兼子さんのことを知ってもらえればと思います。学ぶことに制約の多かった時代と、その時代に、強い思いをもって硬い扉をこじ開けてきた先人に思いをはせることで、多様性を尊重する取り組みを加速させ、関西大学の学びを充実させることで、誰もが自由に学べて、自己の目標を達成できる社会の実現に近づくことができると考えます」とあいさつ。北村さんに証書を手渡しました。北村高さんは「感謝にたえません。伯母は27歳で背中に翼を付けて天のかなたに飛んでゆきました。今は後に続く皆様のご活躍を天空より胡蝶の姿で舞いながら楽しく眺めさせていただいているでしょう。伯母になりかわって厚くお礼申し上げます」とあいさつされました。
北村兼子さんは在学中から大阪朝日新聞社で記者として社会批評の筆を執って注目されました。退職後も文筆家として女性参政権を求める活動などに取り組みましたが、腹膜炎により27歳で亡くなりました。
北村さんは梅田高等女学校卒。当時の法制度では高等女学校が高等学校と同等に扱われていなかったため、大学の入学資格が得られず、聴講生の扱いだったために全単位を取得しても「卒業証書」は得られませんでした。今回、全単位を取得した北村さんの当時の学びに加え、その後の行動力と業績を含めて顕彰することで、先人の姿を学生たちにも知ってほしい、と今回の贈呈が決まりました。
4月25日公開の映画「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」(大九明子監督)の中にはヒロインが「お気に入りの場所」として関西大学博物館の中の北村兼子さんについての展示の前に主人公を連れていく場面があります。映画も合わせて、100年前の女子学生の学びの姿に注目が集まりそうです。
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