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「蔵のとびらを開いてみれば-鉄砲鍛冶屋敷 井上関右衛門家資料調査報告会」を堺市と共催で開催しました。

  堺キャンパスで21日、堺市との共催で「蔵のとびらを開いてみれば-鉄砲鍛冶屋敷 井上関右衛門家資料調査報告会」を開催しました。

  本学と堺市は、堺市内の鉄砲鍛冶屋敷で見つかった1万1700点の古文書について、共同調査を実施。本報告会で、江戸後期には斜陽化していたと考えられていた堺の鉄砲産業が、意外に隆盛だったことが分かったと発表されました。調査した本学の藪田貫名誉教授らは、「見つかった文書は、堺の有力な鉄砲製造業者だった井上家が受注した鉄砲の注文書や納品先などを細かく記録した文書。これまで不明だった鉄砲ビジネスの実情をリアルに記したもので、これほど大量に発見されたのは初めて」と話しました。

  本調査は、本学なにわ大阪研究センターを拠点に3年半にわたり実施したもの。その結果、ひとつは1842年の『顧客名簿』によると、堺の鉄砲鍛冶は東北から九州まで239家の大名、旗本らと取引があり、このうち1/4を井上家が受注したこと。さらには、1752~1871年までの約120年間のうち、井上家の年間最大受注量は1845年の330丁余で、江戸初期などと比べても遜色ないことが分かりました。この発見は、「徳川の平和」の下で「堺の鉄砲産業は斜陽化していた」という長年の通説を覆すもので、竹山修身堺市長をはじめ地元の関係者も、「今回の調査研究は、国内だけでなく世界に発信できる鉄砲産業の新事実」だと受け止めていました。

  調査報告の後には、井上家16代当主の井上修一氏とその弟の俊二氏、文学部の黒田一充教授による鼎談が行われました。約300人の聴衆は、半数が堺市外からの参加者で、今回の発見が全国的な話題になりつつあることをうかがわせました。
 
  最後に芝井敬司学長は、「見つかった資料は膨大で、引き続き研究を続け、またこうした報告会を開きたい。地域との連携のために設置した『なにわ大阪研究センター』を今後も活用いただきたい」と挨拶しました。

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