関西大学 KANSAI UNIVERSITY

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2017年度春季人権啓発行事を開催しています。

本学ではすべての構成員の人権意識を高めるため、学内外関係者の協力を得て、独自の人権啓発行事を実施しています。 5月・7月には春季人権啓発行事として、全7回の講演会を実施。第5回を5月22日に千里山キャンパスで実施しました。

第4回のテーマは、「スーダンの文化と宗教が障害者の状況に与えている影響-教育・職業・法律の視点から-」。講師に、筑波大学大学院で障がい者の高等教育支援について研究をしている、スーダン出身のヒシャム・エルサル・ビラル・サリー氏を招き、スーダンの障がい者を取り巻く現状から、障がい者の人権を考えました。

自身も全盲であるエルサル氏。スーダンでは障がい者のなかでも視覚障がい者の割合が高く、その支援が喫緊の課題であるものの、盲学校は全国に5ヵ所しかなく、普通学校で学習することが一般的だと紹介。また障がい者に対する知識不足によって、家族が過保護になり、世話を焼きすぎたり家に閉じ込めてしまう場合があり、障がい者が概して適切な教育や就業支援を受ける機会が得られず、自立が困難である現状についてふれました。

エルサル氏は、障がい者が社会で自立していくためには、まず教育が大切であるとし、「視覚障がい者の場合、何より点字を学ぶことが大事だ。教育のなかで障がいを補う技術を身につけることで、健常者の社会で闘っていける」と話しました。さらに、「私も点字のおかげで、母国語であるアラビア語だけでなく、英語やフランス語を学ぶことができたし、いつか海外に羽ばたきたいという希望を持つこともできた」と、自身の経験や思いを言葉に込めました。

一方で、エルサル氏は、スーダンにはイスラム教の教えに基づくザカート(喜捨)と呼ばれる互助システムがあり、こうしたあたたかな文化が社会の基盤となっていることも紹介。「健常者が障がい者を理解し、必要に応じて支えてくれることで、障がい者も豊かな社会のなかでともに生きていくことができる。みなさんも障がい者に出会ったときなどをきっかけに、少しずつでも障がい者について知識を深めてくれたら」と語りました。




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