KANDAI
TOPICS日常の出来事

本学ではすべての構成員の人権意識を高めるため、学内外関係者の協力を得て、独自の人権啓発行事を実施しています。
5月・7月には春季人権啓発行事として、全7回の講演会を実施。その第1回を5月9日に堺キャンパスで実施しました。
第1回のテーマは、「母子健康手帳が世界を変える」。講師に、JICA国際協力機構の国際協力専門員・萩原明子氏を招き、母子健康手帳を世界へ広める活動の話の中で、人々の人権とそれを守る国際貢献のありかたについて考えました。
私たち日本人にはおなじみの母子健康手帳。しかし母親と赤ちゃんの両方の情報を記すというのは世界においては画期的で、こうした手帳はもともと日本特有のものだったとか。萩原氏は、この日本のイノベーションといえる母子健康手帳が発展途上国を中心に普及し、母と子の生命や健康の維持に寄与している現状を紹介。「日本のものをそのまま持っていくのではなく、現地にあわせた母子健康手帳を作ることが大切」と、それぞれの文化や価値観を尊重する必要性を自身の経験をもとに語りました。
また、最初に手帳作りに携わった国、男尊女卑が残るパレスチナの母子健康手帳の表紙に、母親と子供だけでなく父親のイラストも描き、「このようにお父さんも一緒に子育てをしてくれたらいいな」「こういう平和な社会が訪れたらいいな」という願いを込めたエピソードを披露。実際、「母子健康手帳をきっかけに、自宅で夫と妊娠や子育てについて話し合えるようになった」などの嬉しい反応が母親たちからあったと話しました。
萩原氏は、難民の母親が大切に持ち歩いている母子健康手帳が、母と子の健康を守る「生命(いのち)のパスポート」とも呼ばれている背景にもふれ、母子健康手帳の存在の重要性を改めて訴えかけました。また、難民のように国境を越えることで言語圏が変わってしまったり、災害等で手帳を紛失してしまったときのために、母子健康手帳の電子化が進んでいる現状も紹介。さらにはガイドライン化に向けた動きなどを、未来への期待を込めて語りました。
「母子健康手帳で世界が変えられると思っている」と萩原氏。「生まれた環境で命が大切にされる、されないが決まってしまうということはあってはならない。どこの国に生まれても命の大切さは同じ。日本は、自国が得意とする分野で他の国を援助していけばいいと思う。その一つが母子手帳」と話し、「私たちにとっては当たり前のことが、実はすごいことなんだと気づいてもらえたら。今日話したことに一つでも心に残ることがあったなら、ぜひこうした活動を応援してほしい」と呼びかけました。
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