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津田塾大学との共同シンポジウム「大学におけるライティング支援体制づくりを考える」を開催しました。

千里山キャンパスで18日、関西大学・津田塾大学共催によるシンポジウム「大学におけるライティング支援体制づくりを考える-学生の書く力をつけるために-」を開催しました。

平成24年度に採択された文部科学省大学間連携共同教育推進事業「〈考え、表現し、発信する力〉を培うライティング/キャリア支援(関西大学・津田塾大学)」も、最終年度となる5年目を迎えました。本シンポジウムは同事業の一環で、これまでの成果を振り返るとともに、ライティング・キャリア支援のあり方を総合的に考察することを目的としています。当日は、遠隔中継でつないだ津田塾大学会場とあわせて約160人が聴講。「効果的なライティング支援体制をいかに構築するか」をテーマに、複数人の専門家が「支援」の本質ならびにそれを実現するための具体的な取組みについて、議論を交わしました。

まず基調講演として登壇した早稲田大学国際学術院の佐渡島紗織教授は、「家事や住まいの手入れができる」=「文章の修正ができる」といったように、「自立した学生」の定義を列挙しながら、それになぞらえて「書き手の自立」について説明。さらに、心理学における自立がキャリア支援と深い相関関係にあることを示し、こうした自立を促す立場にある大学の使命や支援のポイント、その支援者であるチューターの育成方法を解説しました。

つづいて、具体的な支援体制について両大学からそれぞれ、「授業と連携したライティング支援」「キャリアを見据えたライティング支援」「ライティングプロセスを見える化するルーブリックの開発・活用」「ライティング支援を円滑にするWebシステム"TEC-system"の設計・開発・運用」をテーマに報告が行われました。
そこでは、ライティング支援を学内に広め、学生がラボを利用するためのきっかけづくりとして行った授業連携の効果や、学生チューターに代わって経験豊富な特任教授が個別指導を行うことのメリット、さらには学習到達度を測る上での正確な"モノサシ"の役割を果たすルーブリック(評価基準表)の作成時のポイント、学生の書く力の育成を支援するWebシステム"TEC-system"の機能紹介など、効果的なライティング支援体制を構築するために蓄積してきた取組みが披露されました。

その後、本学・津田塾大学・東京大学・早稲田大学の有識者らによるパネルディスカッションが実施され、「日本のライティングセンターの今とこれから」について意見を交換。東京大学大学院総合文化研究科のトム・ガリー教授が「現在のライティングセンターは数だけではなく質も上がっている一方で、今後はAI機能の発達により、例えばWebの翻訳機能がアップし、大学生をしのぐ回答ができるようになるかもしれない」と分析すれば、佐渡島教授が「最近の大学はサービスが過剰気味。学生に苦しくても頑張ればここまでできるんだという意識を持たせることも大切」と意見を述べるなど、最終的には全国のライティングセンターが相互に連携して活動を続けていくことの必要性を全員で確認しました。

また翌日にはワークショップを開催し、ライティング支援を全学的に展開している本学、津田塾大学、龍谷大学の3大学の事例報告を行い、各大学の工夫や課題を共有。それらを踏まえ、学生の書く力、すなわちライティング力を養うにあたって求められる組織的な支援体制の構築方法について検討しました。

  • ライティングラボ早稲田大学国際学術院・佐渡島紗織教授
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