大阪マラソン×
SDGs劉雪雁ゼミによるインタビュー記事

今回の大会では、関西大学社会学部・劉雪雁ゼミの学生が、「大阪マラソンと“SDGs”」をテーマにさまざまな人たちを取材する取り組みを実施。持続可能なより良い社会の実現に向けて何ができるのかを考えます。
全6回シリーズの第6回目は、地元企業として第1回大会から大阪マラソンを協賛してきた総合スポーツ用品メーカーのミズノ株式会社(以下ミズノ)に、SDGsゴール3「すべての人に健康と福祉を」をテーマにお話をうかがいました。
※この記事は、2022年1月に行った取材をもとに作成したものです。第10回大阪マラソン・第77回びわ湖毎日マラソン統合大会は、一般ランナー部門を中止し、エリート部門のみでの開催が決定しました。

スポーツの力で世界中の人々を幸せにしたい
- 劉ゼミ
- 大阪マラソンへの協賛のきっかけはなんですか?
- ミズノ
- ミズノの創業の地であり、本社を置く大阪で開催される大きなイベントである大阪マラソンは、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という弊社の経営理念を体現できる大会と捉え、第1回大会から協賛してきました。
- 劉ゼミ
- ミズノさんにとって大阪マラソンの意義・役割はなんですか?
- ミズノ
- スポーツが提供する価値は多種多様で、人々がより豊かで快適な生活を送るためにスポーツは非常に重要だと我々は考えています。大阪マラソンを通じて、ランニングに興味を持つ人々が増え、また大阪マラソンをきっかけにランニングやスポーツを始める方が増えれば、人々の心身の健康に寄与できるかと思いますので、この大会に関わることには大きな意義があると考えています。
- 劉ゼミ
- 大阪マラソンの実施や運営に携わる中で苦労したことは何かありますか?
- ミズノ
- やはり新型コロナウイルスの感染拡大は、われわれにとって大きな問題でした。マラソン大会はランニングを楽しんでいる皆さんとのタッチポイント(接点)でもあるので、2020年度大会の中止は非常に残念でした。
中止するのか開催するのかと大会事務局の皆さんもかなりご苦労があったと思いますが、ミズノとしては大会運営に必要なウエアや、大会関連の商品が無駄にならないように、どのタイミングでどのように調整していくのかに苦労しました。今まで当たり前のように開催されていたものが、開催されないことも選択肢の中に入れなければなりませんでした。そんな中で、実際にはコースを走らず、42.195kmの距離を走破する「オンラインマラソン」などのような新しい取り組みが出てきたことは非常に前向きなことだったと思いますが、やはりリアルなマラソンを走った方にしかわからない、完走した実感や、熱量などをお伝えできなかったのが、非常に残念でした。
過去9回の大阪マラソンは本当に良いイベントでしたし、ランナーの方が「ミズノファン」になってくださる良い機会になっていたと思います。ランニングは速さを競う面もありますが、一方で健康維持のトレーニングの一つにもなっており、体質改善の結果につなげるためにマラソンを走る方もおられます。またマラソンに参加したことで人生観が変わったという方々も多いと思います。ミズノとしてもこうした場や体験の提供を非常に重要視しています。
コロナ禍を経て、これからのマラソン大会の運営方法や仕組みが大きく変わるのか注視していきたいと思います。
「人と人のつながり」「コミュニケーションの場」の創造に貢献
- 劉ゼミ
- 今後の企業課題を教えてください。
- ミズノ
- 2050年カーボンニュートラルを目指すことを目標に掲げていますので、温室効果ガスの排出削減をどのように達成するかが課題です。これはとても大きな課題で簡単ではないのですが、全社で一丸となって取り組んで環境に配慮した商品をお客様に届け、お客様の共感も得て、一緒にサステナブルな世界の実現を目指したいと思っています。
- 劉ゼミ
- 大阪マラソンへの期待や、SDGs達成に向けてミズノさんとして取り組みたいことは何かありますか?
- ミズノ
- コロナ禍におけるここ2年間で、スポーツをする場が失われたことは非常に残念だと思っています。大阪マラソンを毎年楽しみにしていた方たちから奪われた機会や楽しみ、そして生きがいを思うと、ミズノが協賛企業としてスポーツをする場を提供することも一つのSDGsと捉えています。
大阪マラソンは年齢をはじめ、障害の有無や国・居住地に左右されない大会です。スポーツを楽しむ機会をより多くの人たちに提供するという観点からも重要だと考えています。このようなスポーツの場の提供、スポーツへのアクセスの向上は地域スポーツの振興支援活動にもつながっています。大阪マラソンを通じてランナー同士のコミュニケーションの場を創造し、人と人のつながりを生み出すことにも何らかの形で貢献したいと思います。 - 劉ゼミ
- スポーツ振興を通じた健康増進についての具体的な取り組みを教えてください。
- ミズノ
- 例えば弊社が持つ競技スポーツ用品の開発で培った知見を競技スポーツ以外の領域にも応用することに取り組んでいます。子どものうちに運動に親しんでもらうための運動遊びの場やプログラムを提供したり、膝に不安のある方々に向けて、膝への負荷を軽減するシューズを開発・販売したり、さらに健康増進のための運動プログラムを提供したりしています。
総合スポーツ用品メーカーは、野球のバットやグラブ、サッカーなどのシューズといったモノの開発・販売のイメージが強いと思います。今では自治体の体育館・プールなどの指定管理を受託して、スポーツ施設でテニスや卓球、水泳などのスポーツスクールを開催したりもしています。またランナーが集うランニングステーションなどの拠点も整備しています。モノだけではなく場やコトも提供し、1人でも多くの方が楽しく気軽にスポーツに取り組める環境を整えようとしています。 - 劉ゼミ
- 大阪マラソンに長年協賛することで、社員の皆さんへの影響はありますか?
- ミズノ
- 地元開催でもありますので、大阪マラソンに対する思いは社員の中で大きいと思います。また社内啓発ランナーという形で大阪マラソンに参加してもらう社員もおり、スポーツに取り組む楽しさをさらに社内に広めてもらう役割を担ってもらいました。積極的に運営のボランティアに参加する社員もいます。これは長く続いてきた結果でもありますし、地元の企業として大阪をしっかりと盛り上げていくという気持ちの表れでもあります。
大会事務局の皆さんと一緒に私たちも力添えできたら、という思いです。コロナ禍においての逆風を跳ね返してプラスに持っていけるよう、私たちも努力したいと思います。
<取材担当学生:久保杏梨>
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