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プレスリリース「580万人のデータを用いて特定健診・保健指導の効果を検証~肥満指標と生活習慣病にわずかな改善を認めるも、時間と共に減衰~」を配信

 12月23日、メディア各社にプレスリリース「KU EXPRESS」No.52を配信しました。

【本件のポイント】
・保健指導対象と指摘された人はそうでない人と比較し、肥満指標がわずかに改善
・心血管リスクや生活習慣も改善を認めた
・実際に保健指導を受けた人の改善効果は、受けていない人より大きい可能性がある
・しかしその効果は、年々減衰を認める

【本文】
■研究背景
 生活習慣病である高血圧、糖尿病、脂質異常症は、増加の一途をたどっています。これら生活習慣病の罹患により動脈硬化が進行することで、循環器疾患を発症する危険が増大します。循環器疾患は国民医療費や要介護の原因の大きな割合を占めており、生活習慣病の予防と治療は不可欠です。

 特定健康診査(特定健診)・特定保健指導は、他国に類を見ない全国規模で実施されている日本独自の予防政策です。特定健診・保健指導で収集したデータは厚生労働省において蓄積され、匿名化された「匿名レセプト情報・匿名特定健診等情報データ(ナショナルデータベース)」は研究利用されています。本研究では、このナショナルデータベースを用いて、特定健診・保健指導により、その後の腹囲・体重等の肥満指標や心血管リスク、生活習慣に改善が見られるかを縦断的に検討しました。データ分析に際しては準実験的手法の一つである、回帰不連続デザインを採用しました。

■研究成果
 2014年に特定健診を受診した5,819,041人(男性:3,490,112人、女性:2,328,929人)のうち、保健指導対象と指摘された人は、1年間で肥満指標がわずかに減少しました(腹囲:男性 -0.27 cm(95% 信頼区間 [CI] -0.29 ~ -0.26);女性 -0.34 cm(-0.41 ~ -0.27)、体格指数:男性 -0.07 kg/㎡(-0.075 ~ -0.066);女性 -0.11 kg/㎡(-0.13 ~ -0.10)、体重:男性 -0.21 kg(-0.22 ~ -0.19);女性 -0.28 kg(-0.32 ~ -0.24))。ただしこれらの効果は、時間の経過とともに減衰しました。男女ともに、血圧、ヘモグロビンA1c、空腹時血糖、中性脂肪にも短期的な改善が見られました。

 さらに、その後保健指導を受けた人では、保健指導を受けなかった人より大きな改善が見られた可能性があります(腹囲:男性 -5.0 cm(95% 信頼区間 -5.3 ~ -4.6);女性 -5.7 cm(-7.0 ~ -4.4)、体格指数:男性 -1.3 kg/㎡(-1.4 ~ -1.2);女性 -1.9 kg/㎡(-2.1 ~ -1.6)、体重:男性 -3.8 kg(-4.0 ~ -3.5);女性 - 4.7 kg(-5.3 ~ -4.0))。また、保健指導は男性の血圧、ヘモグロビンA1c、空腹時血糖、中性脂肪、およびHDLコレステロールの改善と関連していましたが、関連の大きさは女性でより小さくなりました。

・・・<詳細は以下のリンクより>

プレスリリースNo.52
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2022/12/23 11:00 UP

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