関西大学 KANSAI UNIVERSITY

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直木賞作家・永井紗耶子氏による読書教養講座を開催

 千里山キャンパスで11月29日、今注目される小説家を招いて創作と読書について聞く読書教養講座を開催しました。今回は、時代小説の書き手として注目される永井紗耶子(ながい さやこ)氏が登壇し、文学部の友谷知己教授が聞き手を務めました。学生のみならず一般の方も多く来場し、会場のBIGホール100には約500人が集まって、熱気あふれる講座となりました。

  本講座のテーマは「今昔、行ったり来たり」。永井氏には江戸時代を舞台にした小説が多くあり、直木賞・山本周五郎賞をダブル受賞した「木挽町のあだ討ち」は今春、新作歌舞伎として上映され、2026年2月には映画が公開されます。永井氏がテーマを考えるときは現代とのつながりを意識しつつ、「書いているとき、脳の中では江戸時代にいるので、出かけると電車やスマホに驚く。実際にタイムスリップしている感覚です」とユーモアを交えて語りました。これまで読んできた古典的名著について聞かれると、太宰治の「駆け込み訴え」を挙げ、「自分は歴史小説だと思って読んできた。語り口に魅力を感じます」と述べました。小説家になった経緯については「子どものころから作家になりたいと思っていたが、結果的に新聞記者やフリーライターを経てから作家になった。そのころに多くの人に会い、インタビューをした経験は作家になって生きています」と話しました。

  イベントの後半では文学部の学生3名からの質問コーナーを実施。歴史的事実とフィクションのバランスを問われ、「史実は調べるが、そこで出てきたものを全部書くわけではない。どういうことを書かないかという点も大切です」と答えました。また時代劇ドラマを楽しむ層が限定されつつあることについての質問に「『皆が知っている』というエリアが読者層によってバラバラ、というのは確かにあって、これは同時に(『型』が共有されていないので)『型破りな人物像』を描くことの難しさにもつながる。『知識があればより面白いが、知識がなくても楽しめる』というラインを手探りしています」と話しました。

 その後も会場からは時代小説以外のジャンルへのチャレンジの可能性や、若者への読書を勧める方法などについても質問が出るなど、非常に活発な講座となりました。

  • 永井紗耶子氏による読書教養講座を開催
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