KANDAI
TOPICS日常の出来事

今注目される小説家を招いて創作と読書について聞く2025年度の読書教養講座が10月17日、千里山キャンパスで開かれました。直木賞作家の伊与原新(いよはら・しん)氏が登壇。文学部の友谷知己教授が聞き手を務めました。
プログラムのタイトルは「科学を父に、文学を母に」。地球惑星物理学を専門とする研究者から小説家に転じた伊与原氏の異色の経歴と作家になったきっかけからトークが始まりました。「研究者生活でモチベーションが落ちてミステリー小説ばかり読んでいた時期に、思いついた案があって書いてみたが、出来がどうか知りたくなり公募賞に応募した。受賞しなかったが候補になり、『面白かった。書き続けて』と言ってくれる編集者がいて、デビューにつながりました」と経験を語りました。
作家になって「地味で孤独な仕事だが、SNSなどで読者から『面白い』など肯定的な反応を見るとうれしい」とそのやりがいについて述べ、作家の資質として「"寡作でも読者が待ってくれる作家"になるのは今はなかなか難しい。ある程度コンスタントに作品を書ける体力は必要」などと創作に志を持つ学生にアドバイスされました。科学者からの転身については「科学が素材になることは多い。また個性的な先輩、同僚が多く、作品の登場人物の原型になってくれている。こうした人との出会いは財産」と話されました。自作の中で思い入れのある小説として津波研究に取り組む科学者群像を描いた「ブルーネス」(文春文庫)を挙げました。
参加した学生から、定時制高校の科学部の活動を描いて話題になった『宙わたる教室』(文藝春秋)について「NHKでのドラマ化についてどう思われますか」との質問されると、「自作の小説では初めてのドラマ化。原作の世界をとても大事にしてくださっているのがよく伝わってきて、感動しました。シナリオのせりふの書き方が小説とはまったく違うことなど、勉強になることも多かったです」と答えました。
「世界がいかに広く豊かで感動に満ちているかを読者に伝えたい」「読者にとって作品を読んでいる時間が『面白くてためになる』楽しい時間であるようにしたい」という思いも述べ、学生たちにも印象に残る時間になったようです。
- ホーム
- 関西大学について
- 大学広報・プレスリリース
- トピックス 一覧
- トピックス 詳細










