KANDAI
TOPICS日常の出来事

千里山キャンパスで11月28日、本学客員教授の出口正之氏(国立民族学博物館名誉教授・特定教授、総合研究大学院大学名誉教授、「民都・大阪」フィランソロピー会議議長)を招いて、「社会保障の基礎となる人口学から次世代を考える」をテーマに講演会を開催し、230人を超える学生が聴講しました。
冒頭で、かつてクラーク博士が札幌農学校で教え子たちに贈った言葉から"Be ambitious!<大志を抱け>"というフレーズを引用し、北海道の寒々とした光景と、それに打ち勝つ言葉の強さを伝えたうえで「世の中の常識を一旦は疑ってみること」「どんなことでも良いので、自分の関心に正直になること」を学生に呼びかけた出口氏。人口学のうち、合計特殊出生率や将来人口推計について解説したうえで、将来人口推計はあくまでも現在から過去に至る傾向や趨勢(すうせい)を将来に投影(projection)したものであることを強調。「人口は統計だけではなく、政策の対象として考えることが大切です」と述べました。
また、誕生を起点とする「年齢」で数えることを前提とした社会保障について疑問を投げかけ、「逆年齢(後ろから数える年齢)」での考え方を説明。「年金制度ができた当時と、『人生100年時代』と言われる現在とでは状況がまったく違います。『大志を抱け』との言葉を汲み取りみなさんが日本の社会へ貢献するときには、ぜひ新しいことを考えてほしいと思います」と語りました。
次に、さまざまな実例に触れながら価値観の変容について話題を展開。なかでも、車椅子を必要とする作者が30年以上前に大阪の機関誌に寄せた詩「ボランティア拒否宣言」(花田えくぼ氏作)の痛烈な言葉と内容、その解説に、学生たちは真剣な表情で聴き入りました。
最後に、「AIの登場により大学での学びが大きく変わる」と提言した出口氏。次から次へ知識やスキルが新しくなる現代について、勉強したことが役に立つ時間が短くなっている一方、出口氏の学生時代と比べて「おもしろく、いろいろなチャンスがある」と表現しました。また、自身を「年上の人に教えを乞う最後の世代かつ年下の人に教えを乞う最初の世代」と表した出口氏のもとへは、学生が列をなして質問したり助言を求めたりしました。
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