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直木賞作家・朝井まかて氏の特別講演会を開催しました。

千里山キャンパスで3日、文学部が特別講演会を開催しました。 『阿蘭陀西鶴』で第31回織田作之助賞を受賞した直木賞作家朝井まかて氏が、「小説家Mの、傍迷惑生活!」と題して、歴史小説を書き始めたきっかけから作品に出てくる料理の話まで、90分にわたって縦横無尽に語りました。

司会役の柏木治教授が「歴史小説は資料収集など、書く前の準備が面倒な分野なのに、どうして?」ともちかけると、朝井氏は「もともと草花が好きで、江戸時代の園芸を調べているうちに自然とこの世界に入り込んだんです」と説明しました。また今回のタイトルについては「いつも昼ごろに起きだして、猫の世話をしたり庭に出たり、とにかく書かんでもええ理由を探しながら家の中をうろうろして、ようやくエンジンがかかるのは夜更け。かわいそうな夫には傍迷惑な暮らしでして」と明かしました。

講演は小説作法から上方文化まで多岐にわたりました。『阿蘭陀西鶴』では西鶴が松尾芭蕉を批判するくだりがありますが、朝井氏はそこに関連して、パリ在住の長い男性読者からの手紙を紹介しました。「私は仙台出身で芭蕉が大好きだったが、貴女の本を読んで芭蕉が嫌いになった。傍迷惑や」と書かれていたと言い、朝井さんは「作家としてこんなにうれしい評価はありません」と話しました。

会場の千里ホールは学生約200人と市民約150人で満席。最後の質疑応答で、女性読者が作品に出てくる煎り酒(刺身などにあう伝統的な調味料)について質問を始めると、2人の掛け合いが止まらなくなったほどです。柏木教授が「この居酒屋談義だとあと30分あっても終わりません」と苦笑いしながらようやく講演を締めくくりました。

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