輿水精一客員教授講演会を開催しました。

千里山キャンパスで10日、サントリースピリッツ株式会社名誉チーフブレンダーの輿水精一客員教授の講演会を開催しました。

輿水氏は、「日本ウイスキー　世界一への道」をテーマに、今や世界の5大ウイスキーの一つとして、存在感を増し続けている日本のウイスキーの製造技術や方法、その歴史について説明しました。

ウイスキーづくりにおいて何よりも重要な工程は貯蔵・熟成です。良質な水、豊かな緑による適度な湿潤管理、日本特有の四季がもたらす寒暖差、熟成を促すとされている気候など、日本の恵まれた環境から生み出される原酒と、ブレンダーみずからの貯蔵樽の素材選びに至るこだわり。原酒づくりからウイスキーが完成するまでには、想像を遥かに超える時間と労力を要します。
そういった過程を経て完成されたウイスキーが、世界で高く評価されているのは、日本人ならではの、細部に渡ってまで徹底的に高みを追究する精神と、手間暇を惜しまない性質があってこその賜物だと輿水氏は語りました。

食事をしながら酒を楽しむという日本の食文化や嗜好に合うよう、日本独自の飲み方や感性によって育まれた日本ウイスキーは、その熟成の過程を科学的に説明することはできますが、原酒の質感や味わいは科学的に未だ解明されていません。
強い理念や伝統技術の「継承」に加えて、常に「革新」を図る日本のウイスキーづくりは、今後も世界最高レベルとしての地位を築いていくことだろうと輿水氏は説き、講演は終了しました。