文学研究科
博士課程後期課程(教育学専修)
教育学専修博士課程後期課程では、将来、教育学関連分野の研究者として自立していくことのできる力量の形成を図っていく。まず、年に1回以上の学会発表と年に1本以上の学術論文の執筆を期待する。次に、自らの研究テーマに関連した複数の学会に入会して、学会では他大学の大学院生や教員と積極的に交流して、研究上の情報交換を活発にしていく。レフェリー付きの学会誌への投稿も積極的に行う。こうした過程で生み出された論文を蓄積して、最終的には、博士論文の執筆に向かうことになる。そのためには、適宜、指導教員との間で、自らの研究の進捗状況を報告し助言を得ることが必要となる。
教育文化学研究
各院生が、自らの研究テーマに応じて、教育哲学・教育思想研究などの人文学的方法論や教育社会学などの社会科学的方法論に基づいて、教育文化学研究を深化させる。指導教員の指導のもと、テーマの設定と研究計画の立案、テーマに関連した国内外の文献の精読・解読、実証研究の場合は調査の企画実施と結果の分析、といった作業を反復しながら、研究発表や研究論文の執筆を積み重ね、博士学位論文の完成をめざす。
【担任者および研究テーマ(概要)】
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研究テーマ:生涯学習の社会学的研究
生涯学習を人間の一生にわたる「社会的行為」としてとらえ、どんな内容・方法で行うことが効果的であるのか、またどんな方法で支援することが効果的であるのかについて、特に、社会的に不利益を被りがちな人々について、階級、ジェンダー、人種・民族、年齢、性的指向、障がいの有無・種類等の複合性に即して、交差性(intersectionality) 概念を中核に置いて研究する。
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研究テーマ:教育社会学、ジェンダー論
主に社会学の理論と方法を用いて、家庭教育や成人後の態度・行動変容も含めた学校教育に限らないさまざまな教育現象を研究する。人間形成と社会構造・社会変動とのダイナミックな相互関係を視野に入れ、ジェンダー、社会階層、国際比較などの視点も取り入れてアプローチする。
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研究テーマ:教育哲学
人間が社会や文化の中でどのように成長していくかを哲学的・思想的に研究している。とりわけ人間が論理的思考力をどのように習得するかを探究している。また人間が道徳性をどのように身につけるかを思想的・歴史的に考察している。
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研究テーマ:市民性教育、人権教育、学校・授業づくり
市民性教育は、社会を担い、創っていく市民としての資質を育む教育である。多文化化する社会のなかで求められる市民性を育む学校・授業を人権教育の観点から作っていくこと(実践的研究)、意味づけしていくこと(理論的研究)が研究テーマである。
学校教育学研究
教育実践研究を中心にした学校教育学研究の専門分野において研究者養成を進める。そのさい、学校教育に協働して変革を起こしていくような、「変化の担い手としての教師」という新たな教職の専門性に焦点化しつつ、学校教育実践の漸進的な変化や改良、実験的試行やイノベーションへ現場とともに形成的に介入していく学校教育学研究の革新的なパラダイム構築に取り組む。博士論文の作成では、(1) 概念的枠組みやモデルを創出する「理論レベル」、(2) 現実のデータを収集し分析する「実証レベル」、そしてそれら(1)と(2)を相互作用させるレベルとして、(3) 学校現場で実践者たちと対話・協働して新たな教育実践を創造することへ形成的に介入していく「方法論レベル」の三つを統合した、制作の学としての教育学の実践的研究に挑戦する。
【担任者および研究テーマ(概要)】
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研究テーマ:教科教育(算数科教育)、教育工学
教育工学における分析方法を援用して、小学校教科(特に算数科)の授業から得られたデータを分析、検討している。現在、小学校入門期における具体物を利用した子どもの数的活動に焦点をあてて、事例の分析を通して研究を進めている。
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研究テーマ:教育学、教育方法学、文化・歴史的活動理論、拡張的学習理論
「文化・歴史的活動理論」の枠組みを用いた学校教育のイノベーション研究として、現実から遮断された皮相的な個人的行為という学習の支配的なあり方を打ち破るような、集団的な「拡張的学習」のデザインと創造に、現場の実践者たちと対話・協働しながら取り組んでいる。