文学研究科

博士課程前期課程(映像文化専修)

映像文化専修は、グローバルな映像文化の歴史的展開や文化的背景を総合的に研究する専修である。近現代の文化・社会を理解するためには、映像の理解が欠かせない。映像美学方面のより専門的な知識を修得すると同時に、映像文化が持つ地域的特性や歴史的展開について理解を深め、幅広く柔軟な思考による映像分析を可能とする人材を育成していく。

映像文化研究

映画だけでなく多様な視覚メディアを対象に、美学的、哲学的、歴史的、社会的、文化的なアプローチから視覚メディアを包括的に研究することを目指す。映像は映画、テレビ、インターネットという流れで社会において浸透してきたが、他方では現代アートのように映像の先鋭的な表現も生み出されている。各文化圏における映画史、古典的な映画理論から映像メディアまでをも含めた理論的探究などもふまえ、領域横断的なアプローチで映像文化を研究する。演習では専門的視野のさらなる拡大と研究の方法論の向上をめざしつつ、資料収集のスキルの修得や、各自の研究テーマに沿った論文指導を行なう。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • 門林 岳史教授

    研究テーマ:映像の理論・メディアの哲学

    映像とメディアをめぐる近年の理論的言説を、とりわけマーシャル・マクルーハン以降のメディア論の展開に重点をおいて研究している。また、テクノロジーに向かう想像力の歴史的布置を言説や作品、文化表象の分析を通じて考察している。

  • 笹川 慶子教授

    研究テーマ:日本とアメリカの映画産業史

    おもに製作、配給、興行の変化の美学的文化的側面、アジアにおける日本およびアメリカ映画の影響を研究。ほかに映画製作の地方史、映画配給のグローバル史、映画館の文化地理史など。

  • 菅原 慶乃教授

    研究テーマ:中国語圏映画史

    民国期上海の映画産業史、観客史から作品を読み解くアプローチによる研究を継続している。また、東南アジアや北米の華僑華人コミュニティにおける中国映画受容史や、ジェンダー研究も射程に含めている。近年は映画パンフレットなど劇場資料を用いたデジタル・ヒューマニティーズにも関心を広げている。

  • 堀 潤之教授

    研究テーマ:フランス映画・映画理論

    ヌーヴェル・ヴァーグ、とりわけジャン゠リュック・ゴダールを中心とするフランス映画史、フランスおよび英語圏の映画・映像をめぐる理論的・批評的言説を研究している。ほかに映画と写真の関係やニューメディア研究も手がけている。

  • 馬定延准教授

    研究テーマ:現代美術と映像メディア

    現代美術分野におけるメディア・テクノロジーの導入と応用、美術と映画のあいだを越境する映像表現について研究している。近年は、日本と韓国が共有する集団的・文化的な記憶を捉えた作品の批評と分析に力を入れている。