文学研究科
博士課程前期課程(教育学専修)
教育学専修博士課程前期課程では、将来、教職員や高度専門職員になっていこうとする院生を対象に、教育という現象をミクロ・マクロ・グローバルの3つのレベルで考究して上で必要となる概念や考え方を、国内外の多様な文献資料を使いながら探求していくことを目標としている。修士論文の執筆時には、各科目で得られた諸理論と現実やフィールドとの照合を通して独創的な研究をしていける力量をつけていくことが期待される。
教育理論・政策学研究
ジェンダー研究、教育人類学、エスニシティ研究、コミュニティ教育、生涯学習、教育政策・行政学・教育哲学の各分野の先行研究の批判的考察を行い、教育社会学をベースにして新たな理論構築の手がかりを得る力量を涵養していく。教育理論の学習では、ディルタイやデュルケムらの近代教育思想の読み直しから現代教育哲学の最先端までを視野に入れ、受講者による文献の読解と発表、討議を中心に行う。また、教育政策に関しては、現在進行形の具体的な政策を取り上げ、その形成過程や背景の特質などもあわせて検討することで、教育の政策研究に求められる視点や知識の習得に努める。
【担任者および研究テーマ(概要)】
-
研究テーマ:生涯学習の社会学的研究
生涯学習とは人間が生まれてから死ぬまでの一生に経験する学習の総体である。それらをinformal learning、non-formal learning、formal learningの3種類に分け、さらに、人間の自己、学校や組織でのmicro-level、地域社会や国家でのmacro-level、国連やEU、OECDなどのglobal-levelでの、生涯学習施策・政策などを社会学的な観点から研究している。
-
研究テーマ:教育社会学、ジェンダー論
学校教育にとどまらない人間形成について、主として社会学の理論と方法を用いて広く研究を行っている。近年は特に、日本の家庭教育の歴史社会学的研究、ジェンダーと学校教育、男性のワークライフバランス、男子・男性向けジェンダー政策の国際比較などの研究を行っている。
-
研究テーマ:教育哲学
人間が社会や文化の中でどのように成長していくかを哲学的・思想的に研究している。とりわけ人間が論理的思考力をどのように習得するかを探究している。また人間が道徳性をどのように身につけるかを思想的・歴史的に研究している。
-
研究テーマ:教育制度・行財政、教員政策
教員人事・管理に関する制度学的・行財政学的な分析を中心に、日本の公教育について研究を行っている。近年は、公立学校教員の勤務問題、外国籍教員の任用問題、教育の民営化・産業化などをテーマにしている。
-
研究テーマ:移民の教育・文化・アイデンティティ
教育人類学および異文化間教育学の観点から、ブラジル日系社会を主たるフィールドとして、移民の教育と文化、そしてアイデンティティについて研究している。義務教育における多文化共生教育の実践や、外国人学校についても研究を行っている。
学校教育開発学研究
実際に、複数の学校や学校外の施設にフィールドワークに入り、構成主義的学習理論や活動理論などの理論との照合を行い、新たな授業づくり、学校づくりを構想していく力量をつける。より詳しく見るならば、関西大学初等部や研究協力校である公立小学校に入り、社会科や算数科、市民性教育などの授業を観察して、そこにどのような課題や可能性があるかを明らかにする。また、教師や児童・生徒を対象とした量的調査に際して、リサーチ・クエスチョンをどのようにして構築するかを院生間で議論し、実施・分析を行う。ここではエビデンスに基づく調査研究が重視される。
【担任者および研究テーマ(概要)】
-
研究テーマ:算数科教育、教育工学
小学校算数科における具体物を利用した子どもの数的活動を研究対象としている。授業実践から得られた記録を主なデータとして、教育工学で行われている分析方法を用いて、研究している。
-
研究テーマ:活動理論による協働学習の探究と学校教育のイノベーション
学校現場の教師や学校外の多様なパートナーと協働して、学校での協働的な教育実践と子どもたちの創造的な学習のイノベーションについて、活動理論にもとづき研究している。また、日本、フィンランド、アメリカの学校教育実践の国際比較研究を進めている。
-
研究テーマ:市民性教育、人権教育、学校・授業づくり
市民性教育は、社会を担い、創っていく市民としての資質を育む教育である。多文化化する社会のなかで求められる市民性を育む学校・授業を人権教育の観点から作っていくこと(実践的研究)、意味づけしていくこと(理論的研究)が研究テーマである。
-
研究テーマ:作文・綴方教育、集団による教育、主体形成論
明治から昭和期の初等作文(綴方)教育に着目し、学習者に文章を書かせることによって主体形成をめざす近代教育的思考の特質を陶冶論的に明らかにするとともに、綴方教育が有していた訓育的側面の批判的・理論的継承を試みています。