関西大学 文学部

文学研究科

博士課程後期課程(ドイツ文学専修)

ドイツ学専修では、ドイツ語圏の言語・文学・文化について専門的な研究をおこなうことができる。研究分野としては、ドイツ文学、ドイツ文化、ドイツ語学の三つがある。いずれの研究分野においても、前期課程で習得した学問的な基礎知識および方法論をもとに、後期課程ではさらに研究を深めていく。授業その他で、学生による研究成果の発表および議論の機会を持ち、博士論文作成につなげていきたい。なお、関西大学独逸文学会の学会誌『独逸文学』がある。

ドイツ文学

前期課程での学びをさらに専門的に深めていく。ドイツ文学を時代や社会と関連させ、狭義の文学活動のみならず、広く文化現象との関わりにおいて文学を見ていきたい。例えば、ドイツ・ユダヤ学というような研究対象が考えられる。1871年以降のドイツ帝国においてユダヤ人差別的法律はなくなったが、根強い反ユダヤ主義があり、それが後のドイツ教養市民層にも影響していく。それにもかかわらず、M・ブーバー等の指導的ユダヤ人は、ドイツ文化の最も良いものをユダヤ的伝統と結びつけようとしたのであった。一例をあげたが、いろいろな研究対象において、広い視点から文学・文化を捉えていきたい。学生には、学会活動や学会誌投稿を通して、積極的に研究成果を公表していく態度が求められる。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • 芝田 豊彦教授

    研究テーマ:ドイツ文学における神秘・敬虔思想。フランクルの「意味」の思想。

    アルノルト、テルステーゲン、ヘルダーリン等の詩作品における神秘・敬虔思想を探求する。またシェーラー、アードラー、ユング等と対比しつつ、「意味」(Sinn)をめぐるフランクルの思想を考察する。

ドイツ文化

後期課程ではさらに研究テーマを深めていくが、ドイツ文化という研究分野には重点がほぼ二つある。その一つは、コミュニケーション、文化的アイデンティティー、集団的・文化的な記憶といった基本的な研究概念に関わる文化論である。もう一つは、研究対象に関わり、理論ないし方法論に基づいて具体的にメディア研究(テレビや映画など)や文化論的な文学研究を行なうことである。要するに理論と実践とが平等に重視される。この二つの側面にまたがるアプローチとして、コミュニケーション概念などを対象とする「システム理論」(N・ルーマン)、およびメディアや形式を対象とする「脱古典的ナラトロジー」(postklassische Narratologie)とがあり、とくに「記憶研究」とともにゼミや講義において議論していく。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • ローベルト・F.ヴィットカンプ教授

    研究テーマ:記憶研究・文化的記憶、物語論(narratology, [transmediale] Erzähltheorie)、テレビドラマ(連続形態、社会の自己描写、ドラマと記憶など)

    文学や他のメディアにおける記憶(風景の描写と記憶とのかかわり、四季としての文化的記憶など)。私のもう一つの研究テーマである物語論の問題提起は多種多様であり、例えば、あるストーリー(story)が他のメディアに語られると(映画化や漫画化)story自体も変化するか否か。詩歌にも物語性があるか。テレビドラマと物語論等々。

ドイツ語学

主としてドイツ語の歴史に重点を置いた研究を行なう。古高ドイツ語、中高ドイツ語、初期新高ドイツ語といった個々の言語段階の共時的研究のほか、現代ドイツ語へ至る通時的研究によってドイツ語の性質を浮き彫りにする。キーワードとしては中高ドイツ語における散文テキスト、マルティン・ルター、聖書翻訳、印刷術、民衆本といった言語文化的な事象が挙げられるほか、接続法、話法の助動詞、接続詞、弱変化名詞、造語法といった文法的なテーマがある。英語等、他言語との比較研究も推奨したい。所属する大学院生には当研究室が主催する「初期新高ドイツ語研究会」に参加してもらい、16世紀を中心としたテキストを読みながら、関心のある言語現象、追究したいと思う研究テーマを見つけてほしい。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • 工藤 康弘教授

    研究テーマ:初期新高ドイツ語(14~17世紀)の統語論的、語彙的研究

    ①副文に現れた接続法の時制と主文の時制がどの程度一致しているかを分析することで、ドイツ語史における時制の一致の崩壊過程を明らかにする ②話法の助動詞möchteが可能の意味(~できる)から願望の意味(~したい)へ移行する歴史的過程を明らかにする ③14~17世紀におけるドイツ語の語彙を分析し、この時代の文献を読むための辞書を編纂する。