文学研究科
博士課程後期課程(教育学専修)
教育学専修博士課程後期課程では、将来、教育学関連分野の研究者として自立していくことのできる力量の形成を図っていく。まず、年に1回以上の学会発表と年に1本以上の学術論文の執筆を期待する。次に、自らの研究テーマに関連した複数の学会に入会して、学会では他大学の大学院生や教員と積極的に交流して、研究上の情報交換を活発にしていく。レフェリー付きの学会誌への投稿も積極的に行う。こうした過程で生み出された論文を蓄積して、最終的には、博士論文の執筆に向かうことになる。そのためには、適宜、指導教員との間で、自らの研究の進捗状況を報告し助言を得ることが必要となる。
教育思想特殊研究
博士学位論文の完成に向けた研究業績の蓄積を行うことを最優先する。より具体的には、現在、教育界で話題になっているアクティブ・ラーニングの意義、可能性、課題について、関西大学初等部や研究協力校である公立小学校に入り、そこでの授業をビデオにとり、プロトコルを作成し分析をしていく中で考える。さらに授業ルーブリックの作成ができる力量を身につける。また、活動理論の観点から、学校と学校外の施設との協働を通して、学校教育のイノベーションや協働学習をどのように推進していくか、さらにその延長線上にある、フィンランドやアメリカにおける学校教育改革の国際比較研究の成果から、日本の学校が学べるものは何かを追究していく力量を育成していく。
【担任者および研究テーマ(概要)】
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研究テーマ:教科教育(算数科教育)、教育工学
教育工学における分析方法を援用して、小学校教科(特に算数科)の授業から得られたデータを分析、検討している。
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研究テーマ:活動理論による協働学習の探究と学校教育のイノベーション
学校現場の教師や学校外の多様なパートナーと協働して、学校での協働的な教育実践と子どもたちの創造的な学習のイノベーションについて、活動理論にもとづき研究している。また、日本、フィンランド、アメリカの学校教育実践の国際比較研究を進めている。
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研究テーマ:市民性教育、人権教育、学校・授業づくり
市民性教育は、社会を担い、創っていく市民としての資質を育む教育である。多文化化する社会のなかで求められる市民性を育む学校・授業を人権教育の観点から作っていくこと(実践的研究)、意味づけしていくこと(理論的研究)が研究テーマである。
教育計画特殊研究
教育社会学研究と生涯学習研究をベースにして、各院生が博士学位論文の完成に向けて、「研究テーマを設定し、研究計画を立案する」「研究テーマに関連した国内外の文献の精読・解読を行う」「研究発表や研究論文の執筆を行う」の3つのサイクルを反復していくことを支援する。ここでの研究では、フィールドにおける質的・量的研究によるエビデンスを分析していく際に、根底に必ず思想や理論があることを自覚し、その思想や理論そのものがエビデンスによってさらに刷新されていく契機を誘発するような研究を重視したい。そのためには、フィールド研究と理論研究の両輪が常に必要となるのである。そうした研究の先に、既存の教育学的ディシプリンを打ち破る学際的な研究が期待される。
【担任者および研究テーマ(概要)】
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研究テーマ:生涯学習の社会学的研究
生涯学習とは人間が生まれてから死ぬまでの一生に経験する学習の総体である。それらをinformal learning、non-formal learning、formal learningの3種類に分け、さらに、人間の自己、学校や組織でのmicro-level、地域社会や国家でのmacro-level、国連やEU、OECDなどのglobal-levelでの、生涯学習施策・政策などを社会学的な観点から研究している。
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研究テーマ:教育社会学、ジェンダー論
学校教育にとどまらない人間形成について、主として社会学の理論と方法を用いて広く研究を行っている。近年は特に、日本の家庭教育の歴史社会学的研究、ジェンダーと学校教育、男性のワークライフバランス、男子・男性向けジェンダー政策の国際比較などの研究を行っている。
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研究テーマ:教育哲学
人間が社会や文化の中でどのように成長していくかを哲学的・思想的に研究している。とりわけ人間が論理的思考力をどのように習得するかを探究している。また人間が道徳性をどのように身につけるかを思想的・歴史的に研究している。