文学研究科

博士課程前期課程(世界史学専修)

世界史学専修は、東洋史研究・エジプト学研究・西洋史研究からなっている。東洋史研究では東ユーラシア史と西アジア史(イスラーム化以後)、エジプト学研究では、エジプト学および古代地中海とオリエントの歴史、西洋史研究では、西洋中世史、西洋近現代史、史学思想史、ロシア近世史を学ぶことができる。それぞれの専修科目において、講義と演習が開講され、専任および学外の講師による多彩な講義が展開されている。

東洋史研究

東洋史研究では主に西アジア史、イスラーム世界史、7~10世紀の東ユーラシア史、東西文化交流史を研究できる。演習と講義が開講され、演習は受講者による研究発表・討論が中心になるが、専任教員が自らの専門研究の経験に立って助言を行い、受講生の研究の深化を図る。講義は、専任教員が担当するもののほか、学内外に求めた気鋭の兼任講師による多彩な内容が用意されており、受講者が広い視野に立った確かな研究力を身につけることができるよう配慮されている。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • 森部 豊教授

    研究テーマ:唐五代史研究、東西文化交流史、東ユーラシア史

    7世紀から10世紀の東ユーラシア(北中国・モンゴリア・マンチュリア)の政治史を、ソグド人、トルコ人、契丹人などの視点からとらえ直し、「中国史」を相対的に見直すことを目的としている。

  • 橋爪 烈准教授

    研究テーマ:アッバース朝史研究、イスラーム政治思想研究、アラビア医学・薬学書の研究

    749年から1258年まで500年続いたアッバース朝のイスラーム史における意義を明らかにすべく研究に取り組んでいる。支配者たるカリフの権力と正当性の根拠、カリフと地方軍事政権との関係、知識人たちによる政権への評価及び批判、治下の文化活動などの点から考察を行っている。

エジプト学研究

エジプト学研究では、エジプト学を中心に古代地中海とオリエントの歴史(ギリシア、ローマ、フェニキア、メソポタミアなど)を対象としている。エジプト学の研究では、中期エジプト語、後期エジプト語の読解力を養成し、自力で文献を読めるようになること、必要に応じて英語・ドイツ語・フランス語などの文献を読んで、修士論文を仕上げることを目標とする。授業では、コプト語、ヒエラティック、古期エジプト、ギリシア語を用いることがある。文化財保存の研究を行うことも特色としている。エジプト学以外の専攻者は、専攻に応じた言語の文献を用いて研究することになる。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • 吹田 浩教授

    研究テーマ:古代エジプトの歴史の研究、文化財の保全・修復・活用の研究

    古代エジプトの歴史と文化を研究する。その際、古代文字(古期エジプト語、中期エジプト語、後期エジプト語、コプト語、民衆語、ヒエラティック)の読解を行う。また、エジプトの文化財の修復も行い、歴史の研究と文化財の修復を一体的に扱う。

西洋史研究

西洋史研究では、演習における大学院生の研究発表、討論を通して、それぞれの専門分野およびその周辺領域を研究する院生の指導に当たる。上記のテーマ以外に、西洋史の各分野に関する講義を随時開講し、最新の研究成果を踏まえて、基礎から講義する。時代・分野別の研究会活動や研究雑誌の発行、他研究科や他大学院との交流、各種学会での研究発表など、院生の活動もさかんである。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • 中村 仁志教授

    研究テーマ:ロシア近世史、ロシア辺境史、カザーク(コサック)史

    15~18世紀を中心に近世のロシアについて研究している。ロシアと周辺の諸国家や遊牧勢力とのかかわりを軸にしたロシア辺境地帯の歴史、ロシアの南部辺境に生まれロシアの歴史に大きな影響をおよぼしたカザーク(コサック)集団の歴史などを中心に研究している。

  • 嶋中 博章准教授

    研究テーマ:フランス近世史、フランス貴族史、文芸事象の歴史

    近世フランス、とくにルイ14世時代の貴族と彼らが書き残した回想録(メモワール)について研究してきた。現在は「書く」という行為に着目し、「文芸事象の歴史」という視点で絶対王政期の政治、社会、文化を包括的に研究している。なお、2023年度は学術研究員として研究に専念するため、授業は担当しない。

  • 森本 慶太准教授

    研究テーマ:中央ヨーロッパ近現代史、スイス史、観光史

    ドイツ語圏の近現代史、特に観光の歴史を研究してきた。現在は、1920世紀のスイスにおける観光の大衆化と、それがもたらした政治・社会・文化的な影響について、同時代の国際関係も視野に入れつつ考察を進めている。