文学研究科

博士課程前期課程(日本史学専修)

日本史学専修では、古代史・中世史・近世史・近現代史・考古学・民俗学・文化遺産学を研究対象とする。研究分野は、古代中世史研究・近世近代史研究・考古学研究・民俗学研究・文化遺産学研究に分かれ演習・講義が開かれている。一国史にとどまらず、グローバルな視点から日本史を学ぶことを目指している。大学院生には、学芸員、歴史学の教員など専門職につくことを志望するものも多い。各分野において大学院生の自主的な研究会も開かれており、活発に活動している。

日本古代中世史研究

日本古代・中世の政治史・経済史・社会史・仏教史・文化史・対外交流史についての研究を行うことができる。演習では、受講生の研究テーマに即した研究発表を中心に、討論や史料講読なども加味しながら、研究指導を進めており、講義については、専任教員以外の外部講師も含めて最新の研究成果を紹介している。古代・中世史の研究を進めるにあたっては、六国史・律令格式・古文書・古記録の読解能力が必要であり、実証的な研究方法を身につけることが大切である。古代・中世史の各分野において、大学院生の自主的な古代史・中世史の各研究会も開かれており、教員をはじめ卒業生、学部生も加わって、毎週の史料輪読のほか、年間1・2回の史跡見学、史料調査などの活動が行われている。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • 西本 昌弘教授

    研究テーマ:日本古代政治・社会史、東アジア対外関係史、古代大阪地域史

    日本古代の政治・社会・宗教・文化について幅広く研究している。なかでも、儀式・儀礼と都城・宮都の関係を探り、7世紀から10世紀にいたる政治・社会・宗教・文化の展開過程を東アジア世界の中で考察している。また、難波を中心とする古代の畿内地域史についても調査を進めている。

  • 原田 正俊教授

    研究テーマ:日本中世史・日本仏教史・東アジア文化交流史

    日本中世における国家・社会と宗教の関係についての研究。さらに、日本列島内にとどまらず、東アジアの文化交流のなかで日本の仏教・宗教・文化がどのように展開したのかについて研究を進めている。この他、妖怪と社会、女性と仏教などの研究もある。

日本近世近代史研究

日本近世・近現代の政治史・経済史・社会史・文化史に関する研究を行うことができる。演習では、受講生の研究テーマに即した発表と討論をもとに研究指導を進めており、講義では、専任教員以外の外部講師も含めて最新の研究成果を紹介している。近世・近現代史の研究を進めるにあたっては、古文書・公文書・日記・手記・新聞・雑誌などの史料を読解する能力が必要であり、実証的な研究方法を身につけることが大切である。なお、近世・近現代史の各分野では、大学院生の自主的な研究会も開かれており、教員や卒業生、学部生も加わって、古文書解読をはじめ、史跡見学や史料調査などの活動が行われている。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • 小倉 宗教授

    研究テーマ:日本近世の政治と社会に関する研究

    日本近世において関東とならぶ拠点であった上方(かみがた。現在の関西地域)を主なフィールドに、江戸幕府の支配(政治・法・軍事)とその機構について研究している。また、上方のみならず日本全体をフィールドとして、幕府や藩の政治と法、地域の社会や文化にも考察を進めている。

  • 官田 光史教授

    研究テーマ:近現代、とくに戦時期(日中戦争・太平洋戦争期)の政治史

    戦時期の政党は、政策過程にどのようにコミットしようとしていたのか。この問いから、戦前・戦後も視野に入れて政党と地域社会・業界団体の関係を研究している。また、議員の召集や戦死という事象をとおして、議会・選挙制度の根源的な意味も探究している。

考古学研究

考古学とは、過去の人類が残したさまざまな遺構や遺物の研究によって、人類の歴史や文化を復元する学問である。研究を進めるにあたっては、対象となる遺構や遺物が発掘調査によって得られるため、フィールドワークと出土資料の整理・分析が基礎となる。また、先行する関連調査・研究の事例検討を通じ、実証性を重視した方法論を模索・構築することが求められる。研究の視野は隣接諸分野や諸外国にも広げ、考古学研究の成果を歴史学の大きな枠組みの中に位置づけることを目指す。なかでも、近年大きく発展をみせる朝鮮・韓国考古学の成果は、日本考古学を学ぶうえでも欠かせないものである。演習では、受講生の研究テーマに即した研究発表を中心として、討論や資料の見学も加味しながら、研究指導を進めている。講義では、専任教員以外の外部講師も含めて最新の研究成果を紹介している。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • 井上 主税教授

    研究テーマ:朝鮮・韓国考古学、日本考古学、博物館学

    日本列島と朝鮮半島との交流関係を両国の考古資料を通じて研究している。なかでも、日本列島の弥生・古墳時代と、同時代の朝鮮半島原三国・三国時代の墳墓や副葬品の比較研究、文物交渉史の研究を行っている。また、古墳時代や飛鳥時代の渡来人に関する考古資料の分析も進めている。

民俗学研究

民俗学では、家族と親族・生業・衣食住・伝統技術・人生儀礼・信仰・年中行事・民俗芸能などのさまざまな伝承資料を集め、その歴史・分布・機能や文化伝播などの問題について考える。祭りや生活文化などの現地調査はもちろんだが、古代・中世の文献資料、近世・近代の地方文書の収集や読解も必須であり、両者をあわせた研究によって生きた文化の総合的な理解を深めたい。前期課程の演習では、受講生の研究テーマに応じた文献の購読や史料解釈の指導を行い、講義では専任教員以外の外部講師も含めて最新の研究成果を紹介している。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • 黒田 一充教授

    研究テーマ:日本民俗学・庶民信仰史 とくに日本各地の祭りや民俗信仰の研究

    民俗学は、村や町などの共同体が、世代をこえて伝えてきた生活や文化を研究対象としており、とくに祭祀組織や儀礼の問題を歴史的な視点から研究している。祭りや民俗行事の現地調査とともに、地元の記録や文書類を使った分析を試みている。

文化遺産学研究

世界遺産に登録された文化遺産だけでなく、有形・無形の文化財なども文化遺産として広くとらえ、地域の歴史を研究する。そのうえで、その保存と活用までを視野に入れて研究する。研究の基本をフィールドワークに置き、現地調査を通じて各自のテーマの妥当性を検証し研究に必要なデータを得ることとする。研究の視点は現代社会に設定するが、時間軸上の変容にも留意することが必要と考えており、文献や統計資料も活用する。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • 髙久 智広教授

    研究テーマ:文化遺産学、博物館学、幕末維新史

    主に幕末維新期の海岸防備と関連遺産を研究対象としている。多様な文化遺産の分析を通じて地域の歴史を見直し、その成果を社会へ還元していくことは、文化遺産学の目指すべき課題の一つである。文化遺産の保存と活用をめぐる現代的視点からの考察も進めている。

  • 村元 健一教授

    研究テーマ:文化遺産学、博物館学、日中都城史

    日本の都城を中国都城と比較しながら研究している。都城は考古学、歴史学、建築史などが協働して学際的な研究がなされ、その成果の一部は遺跡公園として整備され、社会に還元されている。研究成果の普及、文化遺産と社会との関わりについても考察している。