文学研究科

博士課程前期課程(英米文学英語学専修)

英文学専修は英語圏の文学と言語を専門的に学ぶ専修である。文学分野の研究対象として長編小説、短編小説、詩、劇、児童文学、日英比較文学、ジェンダー論、文学翻訳、文学理論などがあり、言語学分野の研究対象としては音声学・音韻論、統語論、日英語対照、認知言語学、メタファー論、構文理論、語彙意味論、意味論、語用論、英語史などが挙げられる。本専修の卒業生はその専門を活かし、教育分野を中心に多方面で活躍している。

英文学研究

前期課程では、研究者として必要な基本知識を習得し、文学研究の方法論を理解することを目標とする。対象は、シェイクスピアに代表されるルネサンス期文学から現代のグローバル化した<世界の文学>としての英国文学までとし、またジャンルについても小説、詩、演劇など幅広く網羅する。本課程の基本は徹底したテクスト精読にある。同時に文学の背景を成す歴史や文化についても、様々な資料を通して学んでいく。さらにフィールドワークとして、3年コースでは留学も視野に入れつつ、関連分野の講演会や朗読会への参加、観劇、音楽鑑賞、美術展観覧などを実践する。修士論文は本課程での研究の集大成であり、かつ後期課程での研究の根幹となる。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • 髙橋 美帆教授

    研究テーマ:19世紀以降の英語圏詩文学

    19世紀ではブラウニング夫妻、ロセッティ兄妹、ホプキンズ等の英国詩人を、20世紀ではエズラ・パウンド、シルヴィア・プラスなど英米両国で活躍した詩人を、主に研究している。あわせてマザーグース等の児童文学や、日英女性詩人の比較も研究対象としている。

  • 干井 洋一教授

    研究テーマ:英国長編小説・短編小説・文学理論

    文化と社会という大きなコンテクストの中で作品を捉える訓練を行うとともに、文学理論の基礎を身につけることを推奨している。優れた研究論文を完成させるには研究テーマを掘り下げるとともに、そのテーマに最も適した理論的枠組みを用いることが重要である。

米文学研究

英文学とその背景にあるヨーロッパ文化の伝統がアメリカ大陸固有の風土と反応して独自の表現が生み出された。それがアメリカ文学であるが、以後、アメリカにおいては急激な産業の発達と異質な文化の流入が要因となって常に新しい文化・文学が生み出されてきた。本課程では、このようにして産出された、植民地時代からアメリカン・ルネサンス期を経て現代に至るまでの多様な文学を研究することができる。具体的には、テクストの読みと解釈の訓練を十分に行い、文学を深く理解するための能力を養成する。さらに、そうしたテクストの精密な読みと理解の上に立って、研究テーマを独自に発見し、自らの方法によって修士論文を完成するための指導が個別に行われる。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • リチャード・ドノバン准教授

    研究テーマ:翻訳学・英語圏文学・比較文学

    文学翻訳の理論と実践を調和させる研究を行う。日本語と英語の言語的かつ社会的な相違という視点から翻訳学の主な課題を分析する。同じ原文に対する異なる翻訳を比較し、様々なアプローチの長所と短所を鑑みながら翻訳の可能性を追究していく。

英語学研究

英語学研究では、音声学・音韻論、統語論、意味論、語用論、社会言語学、英語史の諸分野にわたり包括的な研究を行う。前期課程では、(1)多義分析を中心とした認知言語学の諸概念を学ぶ、(2)生成文法理論と構文理論の双方からの知見を基に、語彙意味論の分析法を学ぶ、(3)理論言語学の枠組みを用いた英文法研究および日英語の対照研究を行う、(4)英語史の広範な知識を身に付けると共に、分析法について学ぶ、(5)英語教育への応用を視野に入れた、英文法の語用論的研究を行う。後期課程では、上記の研究内容をさらに深めつつ、音声学・音韻論、英文法、意味論、語用論、社会言語学、英語史を中心とする研究を行い、学位論文を視野に入れた指導を行う。

【担任者および研究テーマ(概要)】
  • 岩田 彩志教授

    研究テーマ:英語学 語彙意味論

    統語論・意味論・語用論の現象を広く対象としながら、構文理論の枠組みを用いて、特に英語動詞の項構造を中心とした研究を行っている。

  • 野々宮 鮎美准教授

    研究テーマ:英語史、歴史社会言語学、歴史語用論

    現代に至るまでの英語の歴史的変化や擬古文について、社会言語学や語用論、コーパスの手法を交えながら研究している。