KANSAI UNIVERSITY

学長メッセージ&ビデオレター

平成28年度関西大学入学式 式辞

2016.04.02

 創立130周年を迎えた関西大学千里山キャンパスには、1300本の桜があります。そのすべてが今、新入生を待ちかねたように満開をむかえようとしています。6880人の皆さん、入学おめでとうございます。
 本日ご列席のご来賓の方々、本学理事長はじめ教職員一同、すべての在学生とともに、心からお祝い申し上げます。またこれまで皆さん方を支えてこられたご家族や関係者の皆さんにお祝い申し上げます。
 関西大学は明治19年、1886年に関西法律学校として創立されました。同じ1886年には、アメリカのニューヨークでは自由の女神像が完成しました。ドイツではカール・ベンツが、世界初のガソリン自動車を完成させました。その頃、日本は近代国家の骨ぐみを作るため、先進欧米各国の様々なしくみを学び、取り入れるところは取り入れて、まさに世の中が大きく変わって行く時代でした。
 こうした時期に、大阪の司法界を代表する裁判官や法律家ら12人が、西日本で初めての法律学校、関西法律学校を立ち上げました。そして明治憲法も、本学創立から3年後にようやく発布されました。
 その後、時を経て大正11年、1922年に大阪で初めての大学に昇格し、着実に発展を続けてきました。そして、現在では13の学部を持つ総合大学になっています。 
 さて、今年に入って科学の世界でのビッグ・ニュースが、世界を席巻しました。「天才物理学者アインシュタインの最後の宿題が、100年かかってようやく解けた」というニュースです。重力波という特殊な波の観測が成功したことです。アインシュタインが予言した重力波というのは、宇宙の空間がゆがんで起きる波のことです。重い星やブラックホールの合体などで、周りの空間が伸び縮みし、そのゆがみが「さざ波」のように広がっていく、というものです。しかし、そのゆがみを誰も見たことがありませんでした。それもそのはずです。何しろゆがみはとても小さく、太陽と地球の距離に対して、水素原子一個分以下といいます。それをアメリカチームは、ライゴという1500億円もかかる巨大な装置でついに発見しました。
 100年前に、これほど難しい宿題を残したアインシュタインは、意外な一言を残したようです。「理詰めで考えることで、新しい発見をしたことは1度もない」と言ったとされます。
 天才は「ひらめきが大切なんだよ」、と言いたかったのかもしれません。しかし、その実証には100年もかかりました。その間、多くの科学者は、絶え間なく努力を続け、ようやく、一人の天才のひらめきを実証したのです。要は、人類の進歩には、鋭い「ひらめき」とともに、絶え間ない地道な努力も必要だ、ということになると思います。
 アインシュタインの理論が世界を騒がせたのは、20世紀の初頭です。そしてアインシュタインは、1921年にノーベル物理学賞を受賞しています。その翌年の1922年に、関西大学は大学に昇格しました。それまでは、帝国大学だけが大学でしたが、この時期に、早稲田や慶応、同志社なども大学に昇格しました。
 当時の関西大学の第11代学長山岡順太郎は、学問至上主義だった大学のあり方を問い直すため、「学の実化」を提唱しました。「実化」とは「くだものの実」に、「化ける」の化と書いて、「実化」と読みますが、この学の実化は、具体的には「学理と実際との調和」、「国際的精神の涵養」、「外国語学習の必要」、「体育の奨励」の4つから成っています。「学理と実際との調和」とは、学問や理論が、現実社会とかけ離れたものにならないようにし、実際の社会に役立つようにすることを意味しています。あとの3つ、「国際的精神の涵養」、「外国語学習の必要」、「体育の奨励」は、すぐに理解できると思います。今から94年前に、関西大学では、国際化、外国語、スポーツなどが強調されていたということに、皆さんも驚くはずです。この「学の実化」は、その後、関西大学の教育と研究の基本である、「学是」として定着し、現在に至るまで、本学の教育理念の根幹を成しています。
 関西大学の教授陣、卒業生、現役の学生は、この「学の実化」のもと、学問分野の壁を越えた「ひらめき」と「地道な努力」とともに、様々な実績を積み重ねてきました。関西大学には皆さんが驚くような、世界的な研究をしている教授たちが大勢います。あるいは、研究成果を地域社会に生かすように、奮闘している教授もいます。様々な研究分野の先生方が、人類の積み重ねてきた知識と教養の世界を、皆さんに紹介すべく待ち構えています。そして、43万人もの卒業生が、日本と言わず世界で活躍してきました。もちろん、現役の関大生も、先生方の指導のもとで、研究や地域貢献活動、スポーツ、文化活動で活躍しています。まさに「関大には、人がいる」、なのです。
 そして、皆さんも、今日、この関大の門をくぐり、「関大人」の仲間入りをしました。
この中には、文学部の宮原知子さんのように、もうすでに関大人として世界で活躍している人もいます。あるいは先日、ヨット競技でリオネジャネイロ・オリンピック出場が決まった人間健康学部の高野芹奈さんもいます。皆さんも、これからの四年間、「ひらめき」と「地道な努力」によって、充実した4年間を過ごすことを期待します。
 そして、もう一つ期待したいことがあります。先のビデオに登場したどこかのおじさんも言っていたことです。関西大学では「考動力」を身につけてください。これからの人生、正しい答えを待っていても誰も教えてはくれません。時には答えのない問題にもぶつかります。どう考えるのが正しいのか、どう行動するのが正しいのか、そしてどのように生きていくのか、すべて自ら考えて行動しなければなりません。今やコンピューターさえ、「自ら考えることができる」時代です。自ら考えずに、機械のように行動する人間は、これからの社会で必要とはされません。
 130年目の新入生の皆さん、「自ら考え行動する力」を身につけ、充実した4年間を送ってください。そしてともに頑張りましょう。
 関西大学への入学、誠におめでとうございます。