社会学専攻 Sociology ゼミ・卒業研究テーマ

卒業研究テーマの一例

  • 新型コロナのTwitterデマ −国内でのトイレットペーパーのデマ発生について−
  • 暗黙の了解で許される性差別 −男性領域を清掃する女性清掃員の問題を軽減するには−
  • 学歴価値の変遷 −関関同立ちょうどいい論−
  • 農薬の安全性と未来 −遺伝子組み換え・ゲノム編集食品に至るまで−
  • ゲストハウスという宿泊スタイルが持つ社会的価値
  • 贈り物か商品か? −新たな郷土料理としての「いかなごのくぎ煮」−
  • 手話カフェに集う人々 −兵庫県芦屋市の手話カフェ〈Knot〉を事例に−
  • サスティナブルファッションの可能性 −韓国ファッションへの懸念と希望−
  • 福島で放射能と向き合い続ける −市民の力で母と子を守る「たらちね」の活動−
  • テレワークによる過疎地域問題の解決可能性
  • 何が家事の外部化を妨げているのか
  • メンズメイクの未来
  • グラミー賞とレコード大賞から読み取る日米文化の違い
  • 「死に触れる絵本」が持つ社会的意義
  • 女性の痩せ願望のゆくえ −体型の多様性の受容を通じて−

社会学専攻 学生研究レポート

※年次は取材当時のものです。

日本に住むイスラム教徒との交流を通じてその生活を調査し、身近な存在として理解を深める。

4年次生 水野 敬

日本国内におけるイスラム教徒の生活について研究しています。モスクでの礼拝や勉強会に参加して感じたのは、信仰に関する考えや向き合い方が人それぞれに異なるということです。礼拝や断食などの義務を果たしつつ、日本人や日本文化を理解しようとする姿勢を見て、彼らは決して遠い存在ではないと学びました。先日は、イスラム教に改宗した日本人カップルの結婚式に参列させてもらいました。彼らが改宗した背景に何があるのかについても聞き取り調査を行う予定です。

教員からのアドバイス

目に入らないものが見えるようになる、社会学の面白さを感じてほしい。

例年ゼミ学習でモスクにおじゃましていますが、卒業研究へ発展したのは水野さんが初めて。「目の前にあるのに目に入らないもの」が見えてくるのが社会学の面白さです。人と深く関わる彼の姿勢が、ユニークな成果につながればと願っています。

宇城 輝人 教授

東日本大震災から10年。福島県のミニシアターを通して映画館という場の社会的意味を探る。

4年次生 井上 実南

映画館という場で映画を上映することの社会的な意味について、東日本大震災と原発事故の発生後、福島県の人々にとって映画館はどのような役割を果たしたのかに焦点をあてて研究しています。研究にあたっては実際に福島県を訪れ、震災前から現在までにわたりミニシアターや上映会の活動に携わった方々へのインタビューを実施。ミニシアターに携わる方々の思いはそれぞれの人生を反映して劇場の個性につながり、地域の人たちをつなげ、そして感情の放出や整理が自由にできる場として当時、映画館は求められていたことに気付きました。

Interview 社会学専攻を選んだ理由は?

視点を変えて考え直す捉え方を身に付け、人と人のつながりを考えたい。

人と人のつながりにおいて、例えば個人の尊重がうたわれながらも実際は社会や集団への同調が求められるなど、自分の中で割り切れなさを感じていました。社会学専攻では絶対の正解を求めるのではなく視点を変えて考え直すことができると知り、自分がしたい学びはきっとここにあると思いました。

Interview どんな毎日を過ごしている?

【2年次】社会を捉えていくための視点や考え方をより専門的に深める。

1日のスケジュール
10:40 「社会病理学II」を受講
実際に起きた過去の犯罪や事件などについて、世代ごとに現れる特徴を当時の社会的背景から考える授業です。
12:00 友達とランチ
開放感のある悠久の庭でランチを楽しみます。凜風館の屋上にもゆったりできるスペースがあり、お気に入りの場所です。
14:40 「理論社会学II」を受講
「大学生の価値観」という切り口で、戦後以降の日本における政治や仕事、ジェンダー、家族、友人関係などのテーマを捉え、現代社会や今後の社会を考える授業です。
18:00 アルバイト
1年生のときから飲食店でアルバイトをしています。他大学の先輩とも交流が生まれたりと、さまざまな人と出会うことで自分の視野が広がっていることを感じています。

教員からのアドバイス

社会全体というマクロな視点と、個人というミクロな視点の融合が社会学の魅力。

原発事故というマクロな社会事象と、ミニシアターという具体的な現実とを関連させて考察するとともに、調査対象者との信頼関係に基づく深いインタビューで、個人の人生や生活と社会の複雑な関係まで聞きとることができました。奥行きのある社会学の研究と言えるでしょう。

古川 誠 准教授

生活者の視点に立つことを常に意識し、社会課題の本質に目を向けていく。

4年次生 吉田 晃翔

大阪の鮮魚の評価が低いことに疑問を抱き、環境社会学ゼミで学んだ西淀川公害が関連しているのではという仮説を立てて研究しています。社会の課題を考える際に今問題となっているのが、実績の見えやすい技術的解決が重視され、生活者の視点が置き去りにされているということ。生活者の視点をもつために当事者となる人々の話に耳を傾け、何がどのように結びついているかに着目して、課題の本質的な解決方法を導き出したいと考えています。

Interview 社会学専攻を選んだ理由は?

人々の行動と社会の動きについての関係を明らかにしたいと思ったから。

「なぜ地域によってエスカレーターの立ち位置が違うのか」など、社会や人の動きに関心がありました。社会学はそのような人の行動と社会の動きとの結び付きを解き明かす学問であることを知り、社会学専攻で学びたいと思いました。

Interview どんな毎日を過ごしている?

1日のスケジュール
8:45 登校
キャンパスから徒歩圏内の下宿から通学しています。落ち着いた住宅街で大学からの距離も近く、過ごしやすい地域です。
9:00 「英語」を受講
例えば「ハワイに旅行に行くときに持っていく持ち物は」など、さまざまなテーマについて英語でプレゼンテーションを行う講義です。
13:00 「社会学総論」を受講
社会学専攻の各先生方の研究内容や特色を知ることができ、その中から自分がこれから学びたい内容を見つけることができます。
15:30 バドミントンサークル
今まで軟式テニスをしていましたが、大学で新しいことを始めたかったのと、学部を超えた人間関係を築きたいと思い参加しました。

教員からのアドバイス

独自の視点を取り入れたアプローチこそ社会学研究の醍醐味。

吉田さんは食べるのが大好きだという「魚」を切り口に研究テーマを設定しました。このように自分との接点をいかに見いだせるかが、社会学研究において非常に重要です。当事者の方々の声から何をすくい上げることができるのかが今後の鍵になると思います。

大門 信也 准教授

自らの問題意識をもとに、国境を越えたアイデンティティの確立について考える。

4年次生 松室 佳惠

私は中国残留婦人三世として、小学6年生の時に家族とともに日本に移住してきました。この経験から、ゼミでは「国境を越える子ども達のアイデンティティの確立」をテーマに研究を進めています。留学生の友人へのインタビューを通して、私自身が抱いてきた悩みが、自分だけの悩みではないと知ることができました。この自他の経験を論文にすることで、また誰かの役に立てるかもしれないと考えると、国際社会学を学んでよかったと思います。

Interview 社会学専攻を選んだ理由は?

世の中を全体から捉える視点を得たいと考えたから。

世の中全体を俯瞰する視点を身に付けたいと考え、高校の先生に相談したところ、社会学部を勧められました。関西大学のオープンキャンパスに参加したことで、ここで学びたいという気持ちが明確になりました。

Interview 社会学専攻のオススメ講義は?

自らの経験を広い視点から捉えられるように。

「国際社会学」の授業で、私たちが考える「日本人」の条件と現実とのギャップを考える機会がありました。私は成長の過程で無意識のうちに悩みを抱いてきたのですが、その悩みを社会全体の問題として考えることができると知り、視野が開かれたと感じました。

Interview 社会学専攻の魅力は?

多様なアプローチから社会のしくみを学べる。

世の中がどのように成り立っているのか、また社会と自分がどのように関わっているのかを、広い視点から学ぶことも、ある事象に注目して学ぶこともできます。学びを通して、携わりたい分野を見つけてください。

教員からのアドバイス

「なぜ?」を問う思考力は人生の強い味方になるはずです。

学びを通して、自分の中にある言葉にならない悩みに答えを見つけた松室さんの話は、社会学の本質を体現するようなエピソードだと思います。社会の「なぜ?」を根源から考える思考力は、人生のあらゆる場面で役立つと思います。

酒井 千絵 教授