社会システムデザイン専攻 Social system design ゼミ・卒業研究テーマ
卒業研究テーマの一例
- SNSを活用した関大前商店街活性化への取り組み
- 日本におけるコミュニティサイクル事業の可能性
- 海外比較から見る日本のキャッシュレス化の現状と課題
- 健康格差を縮小するために−ソーシャル・キャピタルの視点から−
- ふるさと納税のあり方−返礼品主義から寄付目的主導へ−
- 日本女性の幸福度研究−家事負担量と学歴に焦点をあわせて−
- 人口減少時代における地方創生
- 災害時のTwitterの利用状況やツイートの種類ごとの増減からみるソーシャルメディアの情報伝達システムと拡散性
- 音楽産業の変化によるライブエンターテイメントの発展
- がんゲノム医療に関する現状と課題
- ひとり親世帯の貧困化メカニズム
- 日本におけるeスポーツの歴史とこれから
- 買い物難民の歴史から見る移動スーパーの可能性
- 代替肉の普及は可能なのか
- コロナ禍のニュービジネス
社会システムデザイン専攻 学生研究レポート
※年次は取材当時のものです。
少子化の背景にある未婚や晩婚と女性の高学歴化がどう関わり、どう変化してきたかを調べる。
4年次生 芳賀 美月
女性の社会進出が少子化に与える影響を研究しています。女性の高学歴化で未婚化・晩婚化が進むということがよく指摘されますが、近年はそうした傾向が弱まっているのではないかということを分析しました。3人のチームで研究しているため、出た結果をもとに話し合って新たに根拠となる文献を探し、設定を見直しながら進めています。これまでの地域別の分析では転居した場合に対応できないため、今後は個票データを使用し、経済の視点も加えて研究する予定です。
教員からのアドバイス
社会の変化を理論に基づいて捉え、研究を深めてほしい。
結婚や出産の選択には、社会制度や経済的な環境が深く関わっています。芳賀さんは社会システムを経済理論に基づいて学んできました。その視点を生かして、経済学的なアプローチで研究をさらに深めてくれることを期待しています。
木村 匡子 准教授
スポーツにおいてホームスタジアムで戦うメリットを、膨大なデータの分析を通して明らかにする。
4年次生 中富 竜也
プロバスケットボールBリーグにおけるホームアドバンテージの影響について研究しています。研究には人やモノ、組織がもつネットワークが社会に与える影響を考える「ネットワーク分析」の手法を用います。全試合の観客数や得点数をはじめとする膨大な記録をデータ化し、そこからホームチームが受けるアドバンテージを明らかにします。データのとり方や分析のプロセスは簡単ではありませんが、社会に出た後に必ず役に立つと感じています。
Interview 社会システムデザイン専攻を選んだ理由は?
社会の問題を発見し、解決する理論や知識を身に付けたいと思ったから。
高校時代、最上級生として部活の問題を考え、解決する難しさを実感した経験から、企業や国際社会、地域スポーツなど広い社会の中で起こる問題を発見し、解決に導く手段を学べる社会システムデザイン専攻を志望しました。
Interview どんな毎日を過ごしている?
【3年次】専門的な理論や手法を身につけ、個別のテーマを深掘りする。
1日のスケジュール
- 12:00 登校
- 大学ではどのように学びを進めるかで、午後から授業を受ける日を設けることも可能。講義が始まるまでにランチを兼ねてゼミのメンバーと課題について話し合います。
- 13:00 「社会システムデザイン実習」を受講
- 「社会ネットワーク分析」の基礎的な理論や、分析に用いるソフトウェアの操作も学びます。
- 14:40 ゼミを受講
- 安田ゼミに所属し、「社会ネットワーク分析」のさまざまな理論・手法への理解を深めながら、個々の研究テーマを掘り下げます。
- 17:00 アルバイト
- 少年サッカークラブでのコーチのアルバイトでは、子どもたちに適した技術指導や声かけなど、コーチングの奥深さを学んでいます。
教員からのアドバイス
自分の視点に学術的な理論を加えて研究の価値を高めてほしい。
選手は観客が自分を見ていることを知り、観客もそれを知っている。こうした視線の循環がある種の「儀式」として働き、ホームアドバンテージを生む。このようなゲーム理論の視点を加えることで、中富さんの研究はより面白くなると思います。
安田 雪 教授
労働に関する課題を比較により浮き彫りにし、働く人を支えるより良い形を模索する。
4年次生 小寺 香穂
在宅勤務が仕事と子育ての両立に与える影響について、在宅勤務が普及しているアメリカと日本を比較しながらその関連性を探っています。赤枝先生のゼミで、自分や日本での「当たり前」が、他者や海外の「当たり前」ではないこと、そして両者の「当たり前」を比較することが双方の理解につながり、社会の課題を考える上で重要であると学びました。その視点を生かして研究を進めるとともに、将来は人々が自分らしく働けるようにサポートする存在になりたいです。
Interview 社会システムデザイン専攻を選んだ理由は?
幅広い視点で社会全体を学ぶことが自身の成長につながると思ったから。
当初はメディアの分野に興味があったのですが、社会システムデザイン専攻では経済、経営、人類学なども含めて学べることを知り、幅広い視点で社会全体を捉えられることに魅力を感じてこの専攻を志望しました。
Interview どんな毎日を過ごしている?
1日のスケジュール
- 9:00 「グローバル化のなかの文化と社会」を受講
- 例えばマクドナルドのようなグローバル企業でも、国・地域に最適化した商品を提供していることを知り、とても印象的でした。
- 10:40 「メディア研究方法論」を受講
- ビジュアルデータの分析やアンケート実施など、今後研究を進めるにあたって必要となる具体的な調査方法を学びました。
- 14:40 ゼミを受講
- 赤枝先生の「コミュニティの比較社会学」ゼミに所属。日本と海外を比較したさまざまな事例をテーマにゼミ生同士で話し合っています。
- 17:00 アルバイト
- 多様なお客さんに臨機応変に対応できる力を身に付けたいと思い、大学入学時からレストランでホールスタッフのアルバイトをしています。
教員からのアドバイス
好奇心を大切にしながら、幅広い視点や考え方を身に付けてほしい。
社会システムデザイン専攻はさまざまな分野の先生方から学ぶことができるので、学際的な考え方を修得できます。好奇心旺盛な小寺さんには、ぜひこの場を生かしてさまざまなことに挑戦し、多様な視点をもってほしいと思います。
村赤枝 尚樹 准教授
人々の選択や行動を科学的に分析し、社会と経済のより良い形を考える。
4年次生 沈 宗遠
行動経済学やゲーム理論を通して、人々の意思決定のメカニズムについて学んでいます。私たちの日常には不確実な要素が多く、人々が理論通りに行動するとは限りません。しかし「なぜこうした結果になったのか」を考える際に、理論に基づく仮説の設定とその検証は非常に有効であり、この学びに出合えてよかったと感じます。今後は留学生と日本人の経済的行動の違いについて研究を進め、お互いの理解を深めるきっかけを作りたいと思います。
Interview 社会システムデザイン専攻を選んだ理由は?
社会やビジネスについて幅広く学べるため。
日本への留学を決める時点では、将来のイメージが明確ではありませんでした。幅広く学んで視野を広げ、自分に合った学びを追究できる場所をと考えた結果、社会システムデザイン専攻を選びました。
Interview 社会システムデザイン専攻のオススメ講義は?
人間行動を理論的に捉える面白さを実感。
「システムデザインリテラシー」です。例えば、1万円を100%の確率で受け取るか、2万円を50%の確率で受け取るか、人々がどのような選択をするのかを理論的に分析できることを学びました。
Interview 社会システムデザイン専攻の魅力は?
学ぶなかでやりたいことが明確になる。
私は幅広い分野について学んだ上で、行動経済学と出合うことができました。やりたいことがはっきりしていなくても、この専攻で学ぶうちに進みたい道が見つかります。社会とビジネスを広く深く学べる点が魅力です。
教員からのアドバイス
社会現象を因果関係からとらえる、合理的な思考を身に付けよう。
何が原因なのか、どれが結果なのかを冷静に考えられる、合理的な思考を学べるのが社会システムデザイン専攻の特色です。
小川 一仁 教授