社会学部DAYS

2019.06.26

「どこの大学を受験するか」のその前に

  • 心理学専攻

 ここをご覧になっているということは,あなたはもう進学することは決定済みで,進むならどこの大学にしようかと思案中の方でしょうか。でも,ちょっといいですか? あなたはそもそもなぜ進学したいのか考えたことがありますか。
 このような問いかけをするのは,こういうわけです。毎年たくさんの新入生が入学してきますが,中には親や教師など周りの大人が強く勧められたから来たのであって,自分から来たいと思ったことは一度もなかったという人がいます。「大人はどういう理由で強く進めたの?」「いや,聞いてない。」しばらくすると,大学の授業に出席することに意味が見いだせなくて,ズルズルとサボりがちに。「学習意欲喪失」という理由で退学するケースもでてきます。
 では大人の側は? 「(大学に)行かない,行かせないという選択肢はない」「しっかりした人生を送るためには,大学くらい出ておかなくては・・・」「経済的学力的に問題ないのだから,行くのは当たり前」。
 明白なのは,進学しようとしている若者とそれを支える大人のどちらも,既設のレールに乗ること以上にあまり考えていない場合が相当数ある,という事実です。大学を出ると,本当にしっかりした人生を送ることができるでしょうか。そもそも「しっかりした人生」とは何でしょうか。
 今社会は激しく変動し,「これまで通り」「既定の生き方」というのが必ずしも通じなくなってきています。自分で自分の道を切り開くことが大切です。そのためには考える力,表現する力,行動する力など,自分の人生を乗り切るために身につけておく必要があります。「とにかく進学する」を自明として大学生になり漫然と卒業するのは楽ですが,いろいろな課題や問題が生じたとき,乗り越える実力がなくて立ち往生してしまいます。
 6月16日開催予定だったグリーンキャンパスは中止になりましたが, 8月3日と4日夏のオープンキャンパスが開催される予定です。「なぜ進学するか」「何を学びたいか」を考える材料集めの機会として利用してみてはいかがでしょう。

(遠藤 由美 教授)