社会学部DAYS

2020.12.22

コロナ禍のなかでの拾いもの

  • 社会学専攻

 2020年春学期、入学式どころか登校もままならなかった新入生たちが、秋学期になって初めて待望の対面授業に臨み目を輝かしている姿を目のあたりにした。
 ソーシャル・ディスタンスを保つため少人数用の教室の中でも、普段より大きめの教室があてがわれた。それで思わず肉声ではなくマイクを使ってゼミの予定など説明を済ませた。例年、自己紹介ならぬ「他己」紹介と称して二人を組ませ、インタビューの真似っこをさせ相手を紹介してもらっている。その紹介でもマイクを使わせたら、皆がやけにマイク度胸が良く物怖じしないな、といつもと違う感触を得た。
 パワーポイント使用の申し出もあり、ノートパソコンとプロジェクターを教室に用意した。そして回を重ねいよいよ個人研究の発表をさせるようになると、最初の発表から内容も高く態度も申し分ない。
 高校でパワポを習得してきたのだろうことに今まで気づきもしなかった。来年以降1、2年次むけの基礎ゼミを担当することになれば、このような理想的な授業の形態を保ちたいものである。
 コロナ禍の重苦しさのなかで、新入生という名の21世紀人との遭遇は思いがけない拾いものだった。

(熊野 建 教授)