北海道胆振東部地震レポート~当たり前から防災につなげる~

執筆者:奥村ゼミ3回生 中川朋美

先日7月13日と14日に奥村ゼミ3回生4名は、「こども新聞プロジェクト」というものに参加させていただき、北海道を訪れました。

このブログでは、特に印象に残った北海道の「潜在的な防災力」についてまとめます。

2018年9月6日に胆振東部地震が発生した北海道は、2004年9月の台風18号などの例外もありますが、他の地域と比べると自然災害が少ない地域だと言われています。今回調査をした厚真町(最も死者が出た地域)でも、普段地震の発生が少ないため家具の固定や食料の備蓄を行なっている家庭は少ないという話が聞かれました。

これだけ見ると北海道は自然災害への備えが少なく、災害に弱い地域なのでは?とも考えられます。しかし、被害を見てみると死者42名、全壊家屋462棟と、同じ震度7を記録した過去の地震災害と比べると、決して特別大きな被害が出ているとは言えなさそうです。(例えば、2016年熊本地震は死者267名、全壊家屋8673棟)

これは、昔から北海道に根付く家屋の構造や知恵に基づくものだと考えられます。

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斜面崩壊のあった北海道厚真町

寒冷で人口密度も小さい北海道では、他の地域と比べて家屋の構造が地震に強いものとなっています。大雪のため、多くの家の屋根は軽く、窓は小さく壁が厚い構造になっています。また、冬に土が凍るため、家屋の基礎が深く強く作られています。これらは地震への対策を一番の目的としたものではありませんが、潜在的に地震に強い建造物が出来上がっていると言えると思います。

また、地震発生時、北海道では大規模な停電が起こりましたが、北海道の人はバーベキューが好きで、各家にバーベキューセットを持っている家が多いそうです。バーベキューは炭と火さえあれば調理が可能なため、電気が通らずガスが使えない時にも重宝したとか。

更に、もし冬に停電が発生した場合は命に関わるため、発電機を準備している家が多くあったり、2Lのペットボトルを凍らせて冷凍庫に置いていると言った家があったりと、本来防災目的ではないかもしれませんが、地域に根付いた「当たり前」のことが防災に役立っている点がとても興味深かったです。

自分の住んでいる地域ではどのような「当たり前」が防災につながる可能性があるかを考えるきっかけにもなりました。

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取材を行うこども新聞記者たち