クライシス・コミュニケーションとは何か?  JAL広報責任者を務めた溝之上さんに聴く

執筆担当:植田 雄貴(亀井ゼミ)

リスクは事前に予防する。しかしいったん事故が発生するとクライシスとなる。その際、重要となるのが、記者会見などのクライシス・コニュニケーションである。企業の「広報」には①PRと②危機管理の両方の役割がある。記者会見における質問を想定し、Q-Aを徹底的に準備することが肝要である。

私たちは11月15日に、亀井ゼミの博多における調査で、JAL(日本航空)の九州・山口地区の支配人である溝之上正充さんにインタビューを行いました。JALが国際線の予約システムをスペインのアマデウス社のものへ切り換えるのを翌日に控え、臨場感と緊張感の中、質問に答えて下さいました。

溝之上さんはJALの経営破綻時に広報担当部長を務めた方です。溝之上さんは、広報とは記者会見の際に記者からのQ& Aをあらかじめ予想し、準備することも仕事の1つと仰っていました。Q&Aを予想し考えることは非常に難しく、普段から記者の方々との付き合いを大切にし、信頼関係を築くことが、Q&Aを予想する上で重要なことだそうです。Q&Aに関するお話を伺って、記者会見の際にQ&Aを予め予想し考えておくことは、企業のリスクマネジメントを行う上で非常に重要なことだと思いました。

また、私は以前、クライシスマネジメントという、演習を受講していました。その演習は、企業に情報漏洩などの問題が発生した際の、企業によるマスコミや世間への対処に関するシミュレーションを行うという内容でした。私は記者の立場で演習に参加しました。記者会見のシミュレーションで企業の立場をしていた学生が、記者からの質問に苦しんでいたことを、溝之上さんへのインタビューで思いだしました。私はアルバイトをしていますが、正社員として働いたことはないので、クライシスマネジメントの演習を受講した時は、受講者は全員社会で正社員として働いたことがない学生であったからか、記者会見のシミュレーションや、企業の問題発生時の世間への対応のシミュレーションを体験しても、リアリティを感じませんでした。しかし、溝之上さんが実際に体験した記者会見のお話は、リアリティのある内容で企業のリスクマネジメントの難しさを深く感じました。

私が普段何気なくテレビのニュースで見ている記者会見の裏側で溝之上さんのような会社の人達が、記者会見に向けて、記者と信頼関係を築いたり、記者からのQ&Aを外さないように予想したり、テレビを見ているだけでは世間の人は知ることができない企業の大変さ、自分の会社を守る社員の力強さを知ることができました。博多に行き、溝之上さんから貴重なお話を伺えたことは、今後の私の人生に必ず活かせると思いました。教室で勉強しているだけでは学べない貴重な経験を博多でできて良かったです。

ビジネスパーソンへのインタビューに次ぐインタビュー、亀井ゼミ博多調査について続報をご期待下さい。