日本リスクマネジメント学会に参加

2025621日(土)、関西大学千里山キャンパスにて日本リスクマネジメント学会が開催され、亀井ゼミの学生も参加しました。

今回の学会では、関西大学大学院の方による研究発表を聞く機会があり、内容は非常に興味深く、学びの多いものでした。

このブログでは、特に印象に残った発表内容を紹介し、私自身の感想も交えてお伝えします。

取り上げる研究テーマは、

「札幌に本社を移転した企業におけるリスクマネジメントとWell-Being」です。

従来、日本では本社機能が東京に集中しており、有事の際には大きな被害が出るリスクが指摘されてきました。

この研究では、そうしたリスクに備えるため、本社機能を北海道・札幌へと移転・分散した企業の事例を紹介していました。

企業へのヒアリング調査を通じて、こうした移転の背景には、自然災害などへの対策だけでなく、人材確保や新たなビジネスチャンスの創出といった目的もあることが明らかになっていました。

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一方で、実際に本社を移すとなると、従業員の異動が必要になり、その点で企業も苦労を伴ったそうです。中には異動に反対する社員もおり、移転は簡単な決断ではなかったことがうかがえます。

しかし、北海道での勤務を開始した社員の多くは、

  • 通勤ストレスの軽減
  • ワークライフバランスの改善
  • 自然に囲まれた生活環境の実現

といった恩恵を受けることができ、結果としてWell-Being(幸福度)の向上につながったという報告がありました。さらに、企業のブランド価値も高まったとのことです。

当初の狙いは「人材確保」や「市場拡大」といった有形価値の創出でしたが、結果として「社員の満足度」や「企業イメージ向上」といった無形価値の向上にもつながった点は、とても印象的でした。

近年、Well-Beingの重要性が高まる中、このような取り組みは非常に意義深いと感じました。

東京一極集中から脱却し、地方都市へと企業機能を分散させることは、災害への備えになると同時に、企業の持続的成長や働きやすい社会の実現にも貢献すると考えられます。

今回の学会を通じて、こうした柔軟な発想と実践を行う企業が増えていくことに、大きな可能性を感じました。

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