まち歩き観光と防災
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執筆者:乗石愛子(奥村ゼミ3回生)
はじめに
南あわじ市福良地区には「路地裏探訪」という取り組みがあります。地域住民の皆さんがお勧めする「福良まち歩きマップ」を使って、市街地に点在する歴史的・文化的なスポットを巡るまち歩き観光です。各スポットには住民の皆さんが勉強会を重ねて作成した立て看板が設置されています。10月18日午後、実際に福良を訪問し、この取り組みに詳しい、波戸崎さん、宗田さん、原さんにご案内いただきました。目に見えない地域の歴史
立て看板は少し歩く度に見つかりました。看板には、町名の由来や明治や大正の時代にあった名所旧跡について丁寧に説明がなされていました。「江戸時代はここはまだ海で、舟がたくさん行き来していたんだよ。」と宗田さんに教えてもらったりもしました。立て看板や地元の方のお話など、目に見えないエピソードがあると、散歩中の景色が違って見えてきました。ありがたい回転棚
慈眼寺というお寺には、実際に目に見える興味深いものがありました。「珍しいものがある」と案内されたのは法輪蔵というお経が納められている蔵でした。蔵に足を踏み入れて目に飛び込んできたのはいかにもありがたい雰囲気が漂う色鮮やかな大きな棚でした。そして、非常に驚くべきことに、この棚、なんとお堂の中心にある柱を軸にして回転したのです!もちろん、このようなものを見るのは初めてのことでした。福良では、この蔵があるおかげで雷が落ちないという言い伝えもあるそうです。地元の方にとっても特別な存在なんだと思いました。ところどころ引き出しが抜けていますが、かつては7000巻ものお経が納められていたそうです。少し色の落ちた朱色の棚が醸し出す歴史的な雰囲気は、まるで京都や奈良にいるかのような錯覚に陥りました。
まとめ
福良には海辺だけでなく、町中にもたくさんの魅力がありました。地元の皆さんは、この「路地裏探訪」というまち歩き観光を推進することによって、防災対策も推進しようとされています。町中にお客さんの目が入ることによって、投資が進み、地震や津波などの災害に強い町へと発展していきます。今はまだ海岸沿いに集中している観光客を、どうすれば町中に呼び込めるかを考えながら、「市街地の活性化」と「防災」の両立のあり方について考えていきたいと思いました。