ゼミ合宿で福島県に行ってきました!

執筆者:齊藤寧々(菅原ゼミ4年生)

9月14~16日に、菅原ゼミ4年生・M2年生で福島県へ行ってきました!

1日目は、原子力災害伝承館とJAEA楢葉遠隔技術開発センターを訪問しました。

原子力災害伝承館では、福島第一原発事故を中心とした様々な展示を見ることができ、東日本大震災の記録と記憶から教訓を学ぶ機会を得ることができました。展示場を抜けた先の廊下には被災者たちの写真がたくさん飾られていて、当たり前の日常から突然弾き出された人々のつらく痛々しい光景に思わず涙が出ました。

JAEAの楢葉遠隔技術開発センターは、福島第一原発の廃炉(不要になった原子炉を停止・解体し安全に処理して廃棄すること)を行うために必要なロボットなどを開発している施設です。試験棟では、廃炉の最大の難関である燃料デブリを取り出すために使う遠隔操作型のロボットアームを見せていただけました。研究管理棟には、ロボットシミュレータと連携してシミュレーションの様子をスクリーンに投影できるVRシステムがありました。福島第一原発の建屋内がVRで再現されていて、私たちも専用のグラスを掛けてバーチャル見学を体験させていただきました。

夜は、天神岬スポーツ公園にある岬ロッジに宿泊しました。4年生は荷物を置いたあと公園に繰り出して、日が暮れるまでの間遊んでいました。全力で鬼ごっこしたのなんて10年ぶりくらいです(笑) 夕食の海鮮料理はとても美味しかったですし、お風呂はなんと温泉、しかも露天風呂!良すぎてめちゃくちゃ長湯しました。

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公園にて。いい感じの空をバックに遊具ではしゃぐ大学4年生の図

2日目の午前中は、福島第一原子力発電所、廃炉資料館を訪問。

午前中は、福島第一原発の構内視察をさせていただくことができました!入構証や線量計を持ち、いざ出発。案内されて出た高台から、1号機から4号機を一望できました。案内して頂いた方に、高台から見える施設を指差しながら「向こうの建物に水に浸かった跡があるでしょう、あの高さまで津波が来ましてね。」「あのあたりまでは防護服を着ずに作業できるんです。」というふうにいろいろと説明していただきました。廃炉資料館では福島第一原発事故や廃炉作業現場にまつわる展示を見ることができました。廃炉作業は30~40年かかるとされ、汚染水を浄化処理した処理水を処分するにあたって安全確保のために多くの知見と実験を重ね、地域や社会の人々の理解を得ながら着実に進める必要があります。原子力災害の影響が及ぶ期間の長さを感じるとともに、それらに真摯に向き合い、情報発信など様々な取り組みを通して一つ一つ進めていこうという姿勢が伝わってきました。

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廃炉資料館での集合写真

午後は、UR都市機構様のご協力のもと、大熊町、双葉町、浪江町を横断する形で福島県各地区を巡りました。元々の予定では適宜バスから降りて歩きながら案内していただく......はずだったのですが、残念ながら雨が降っていたため、一部地区ではバスに乗ったままのバスガイドツアー形式になりました。地域ごとに公共施設や住宅地を整備し、原子力災害の影響で住民が誰もいなくなった地域にも再び人が戻ってくるようにと、全力で福島県の復興まちづくりに取り組まれていることがわかりました。

2日目の夜は、宿泊先の和室にゼミ生と菅原先生で集まってお酒をいただきながらおしゃべりしたり、トランプで遊んだりしました。大学生の合宿っぽい!という空気感がとても楽しかったです。

最終日である3日目は、特定廃棄物埋立情報館りぷるんふくしまと、山元町震災遺構中浜小学校を訪問しました。

りぷるんふくしまでは、特定廃棄物の処分事業に関する展示が行われていて、ゲームのようなデジタルコンテンツが使われているなど感覚的に学べるようになっていました。体験型コンテンツの一環として、放射線測定器を手に持って外を歩き、場所によって測定値が変化する様子を見ることができたのがおもしろかったです。埋立処分施設を実際に見学させていただくこともできました。2日目に福島第一原発を見学した時もそうでしたが、普通に生活していたら縁がなかったであろう場所へ実際に足を運んで見学するというのはそう無い経験なので、貴重な機会を得られたなぁと思いながら望遠鏡で建設現場を眺めました。

山元町震災遺構中浜小学校は、東日本大震災で津波の被害を受けたのちに閉校された小学校の校舎をできるだけ当時の姿のまま整備・保存した施設です。剥がれた天井、捻じ曲げられた鉄材や真っ二つに折れた木の柱。激流に押し流された机やいすが壁際に滅茶苦茶に積み上がり、さらにその上にはどこからか流されてきた大きな流木が鎮座していたのがとても印象的でした。屋上には屋根裏倉庫があり、子どもたちを含む90人の避難者たちはそこで一夜を過ごしたそうです。まだ寒さが残る3月上旬、突如見舞われた災害の恐怖に耐えながら明日が来るのを待つ心境を思うと胸が痛みました。

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中浜小学校で撮影した一枚。元々は多目的ホールだったそう

さて、3日間で福島県沿岸部を中心に様々な場所を訪れ、多くのことを見て学ぶことができました。本当にぎゅぎゅっと濃いスケジュールの3日間だったなぁと感じています。合宿を企画してくださった菅原先生をはじめ、東京電力福島第一原子力発電所、JAEA楢葉遠隔技術開発センターの職員の皆様、UR都市機構の皆様など、多くの方々のご協力のおかげです。本当にありがとうございました!