プロ野球 FAについて

このブログを書いている時期は1112月。 プロ野球界ではドラフトやトレード、FAといった戦力の補強と年俸を決める、球団にとっても選手にとっても重要な時期です。  

 今回はその中でもFAについて、ゼミの研究内容であるリスクマネジメントに少しだけ触れつつ、問題点を紹介したいと思います。

FAとは、フリーエージェントの略で、特定の選手が一定期間1軍でプレーした後に他球団に移れる権利を得ることです。 選手としてはより良い環境でプレーする当然の権利ですが、裏を返すとお金がある球団がFAを取得できるほどのいい選手をとることができるということ。 もちろん、FAの理由としてお金以外の目的がある選手もいますが、よりよい給料がもらいに行こうとすることは誰でも考えることです。 問題なのは、最近のFAで提示される金額です。 

 今年にも数人の選手がFAを行使して他球団に移りましたが、一番目立ったのは日ハムの野手。 移籍先が提示した金額は日刊スポーツによると7年総額50億円。  換算すると1年間で約7億円。 日本の野球界でこの金額は最高値に近い数字です。 

 この選手は、通算して打率も高く、出塁率も高く、他球団のファンからも認められるほどで私も嫌いな選手ではありません。 しかし、他選手の実力を考えると金額があまりにも高すぎます。 例えば、私の贔屓の球団の選手で、今年3冠王をとった選手がいます。 3冠王とは、打率・打点・ホームラン数のタイトルすべてにおいて、リーグの中で一番成績が良かった選手を指します。 この選手に提示された年俸は3年間で18億円。 1年間で約6億円。 これでも結構金額的に高い方ですが、先ほどの選手はそれを超える約7億円。 でも3冠王をとったわけでもなく、過去に主なタイトルをとったわけでもありません。 それで7億は高い。 言い方は悪いですが年俸を高く見積もりすぎです。 

 これは球団のリスクマネジメントに影響するかもしれません。 私は卒論でプロ野球に関するリスクマネジメントについて触れています。 調べているといろいろなリスクが見えてきました。 それらを考慮するとこのリスクは外襲的リスクに当てはまると考えられます。 

 

野球をあまり知らない人でも知っているであろう王選手・落合選手でさえも1年の年俸が1億を超えたときは大騒ぎでした。 それが今では8億の選手もいます。 5年目では5億円が最高でした。 つまり、最近レートが上がっているかのように思われます。 明確な理由はわかっていませんが、私はFAせいだと考えています。 FAでの金額がせりあがっていった結果、選手もそれに見合った年俸を要求してくるのは当たり前です。 それを断れば、それこそ選手が球団を出ていくための十分な理由となってしまいます。 そしてFAの時に大きな金額を提示してくる球団は限られてきます。 今回取り上げた選手もFAで結局はお金がある球団に移籍しました。 実際に、そういった球団ではFAの選手だけでなく、生え抜きの選手でさえも数人5億円の年俸を超えています。 そして、その影響は他球団にも影響します。 優秀な選手でも他球団の年俸と比較して、出来る限り年俸を決める交渉に応じます。 つまり、自球団であればFAで来た選手、他球団であれば他の選手と比べて年俸を決めるため、どこかが年俸の基準をあげてしまうと自動的に他でも年俸を決める基準が高くなってしまいます。 そういう意味で私はこのような現象を外襲的リスクと捉えた。

このような現象はこのまま続けばやがて一人の1年の年俸が2桁にいくと思われます。 その前に何かしらの対策をしなければ、球団によっては年俸が払えない、その結果、お金がある球団にいい選手が集まってしまうというサイクルが繰り返されるでしょう。 球団にとっての最大のリスクはいい選手がいなくなること。 どの球団でも平均的な戦力がそろって、いい試合ができます。 ただお金に任せて、補強しまくるのは他球団にリスクを与え、フェアではないと感じさせられました。

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「プロ野球に学ぶリスクマネジメント」黒田正宏さん講演会より 20221123日 602教室にて