令和4年度宅地建物取引士試験受験について

執筆者 亀井ゼミ3年 原田隆之

1.はじめに

令和4年度宅地建物取引士試験受験に挑戦した。無事、合格を果たすことができ、宅地建物取引士試験合格者として名乗れるようになった。私は、将来不動産業に従事したいと考えているため、不動産業に携わるには必須の資格である宅地建物取引士資格を取得する挑戦をした。宅地建物取引士試験を通じて、様々なことを学ぶことができた。その概要をリスクマネジメントと絡めて述べる。

2.宅地建物取引士とは

宅地建物取引士(以下、宅建士という)とは、宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格者である。宅地建物取引業者が行う、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の取引に対して、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう、公正かつ誠実に法に定める事務(重要事項の説明等)を行う、不動産取引法務の専門家である。

3.宅地建物取引士とリスクマネジメント

宅建士には3つの独占業務が存在する。

1つ目は重要事項の説明である。この重要事項説明というものは買主や借主に対して、宅建士が書類を用いて説明するものであり、契約前に行うのが大原則である。なぜならば、当該契約を締結するか否かを判断する為のものであるからだ。契約をめぐる紛争のほとんどは「そんなことは聞いてない」という事から発生する。この「聞いてない」の殆どが重要事項の説明に関係する事であり、本当に「聞いてない」という場合もあれば「聞いたけど忘れた」、「聞いたかもしれないけど良く理解できなかった」など理由はさまざまである。このような「聞いてなかった」という事を原因とする紛争を防止する為に「重要事項説明書」を説明し、且つ「確かに重要事項の説明を聞いた」という意味で消費者は重要事項説明書に記名をする。不動産というものは特性上、高額な取引になる。したがって、消費者のトラブル防止のために設けられているものである。これは、「防ぐ」「守る」「とる」という3つのリスクのうちの「防ぐリスク」であるといえる。トラブルを防ぐために、契約前に宅地や建物に関するお互いが合意した事項や規制に対して納得しましたということを表すものである。

 2つ目は重要事項説明書への記名・押印である。(デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律により、宅地建物取引業法が改正され、令和4年5月19日の施行から押印に関しては廃止)これに関しては、上記の重要事項説明を宅建士という宅地・建物の取引に関するプロフェッショナルによって説明され間違いないというという証明であり、トラブルを未然に防ぐリスクマネジメントである。

 3つ目は契約書(37条書面)への記名・押印(デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律により、宅地建物取引業法が改正され、令和4年5月19日の施行から押印に関しては廃止)である。37条書面とは宅地建物取引業者が、宅地・建物の売買、または交換などに関して公布しなければならない書面のことをいう。契約とは、互いに対立する2個以上の意思表示の合致、すなわち一方の申込みと他方の承諾によって成立する法律行為のため、契約書とは、その2個以上の意思表示の合致の事実を証明する目的で作成される文書をいうことになる。したがって、この場面では買主の決断に対して、宅建業者や売主との合意形成をしたということを表している。

4.今後

私は宅地建物取引士試験に合格したが、宅建士ではない。宅地建物取引士合格後、実務経験がない私は宅建士登録実務講習を受け、宅建士資格登録申請を行う必要がある。その後、宅建士証の交付申請を行い、ようやく宅建士を名乗ることができる。今後としては宅建士登録実務講習を受けたいと考えているが、宅建士証の交付は社会に出てから受けようと考えている。

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