航空安全フィールドワークに参加しました!

安部ゼミ4回生の香河英樹です。
私たち4回生と院生は、9月9日から10日にかけて航空安全フィールドワークとして日本航空(JAL)の安全啓発センターへの訪問と御巣鷹山の慰霊登山を行いました。これら2箇所は、1985年8月12日に発生した日本航空123便墜落事故に関わる場所です。

1日目に訪ねた羽田にある安全啓発センターでは、日本航空の社員の方から123便事故の経緯や原因を専門的に詳しく解説していただき、当該事故に関する理解を深めることができました。
同センターには残存機体やボイスレコーダー、遺品・遺書などが展示されています。事故現場等から回収された垂直尾翼や圧力隔壁、大きく変形した座席など事故の実相を示すものばかりでした。また、乗客の方が遺したメモからは、大きく揺れる機内の様子や恐怖心、家族に対する思いなどが伝わってきました。

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写真:御巣鷹の尾根をめざして

2日目は、123便が墜落した群馬県上野村の御巣鷹の尾根へ向かいました。この慰霊登山には、事故で当時9歳だった息子の健ちゃんを亡くされた美谷島邦子さんにご同行いただきました。登山中や往復のバスの車中で、美谷島さんから健ちゃんとの思い出や、事故直後の墜落現場の様子など様々なお話をうかがいました。また、東京メトログループで安全を担当する方々や、JR東日本で働くゼミOBの先輩にも参加していただきました。

当日は朝から小雨が降り、霧も発生していたのですが、登り始めた頃には雨もやみ、片道約1時間かけて昇魂之碑に至ることができました。
昇魂之碑は、事故当時、生存者や犠牲者の搬送を行ったヘリポートが作られた場所で、現在は慰霊碑が建てられています。私たちは献花と追悼を行い、また健ちゃんが好きだったシャボン玉を飛ばして空の安全を祈願しました。

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写真:昇魂之碑

下山前には天気もすっかり回復し、雲間に、谷を越えた向いの尾根にあるU字溝と呼ばれる場所を見ることができました。U字溝は、横向きになった123便の主翼が山肌を削ってできたもので、美谷島さんによると地元の方が手入れを続けることで、痕跡が見える状態に保たれているそうです。
尾根の一帯には、至るところに墓標と呼ばれるご遺体が見つかった場所を示す標が立てられていました。墓標には一人一人お名前が記されていました。立ち並ぶ墓標を目の当たりにして事故の悲惨さを改めて感じました。

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写真:U字溝(中央の窪んだ部分)

下山後、慰霊の園を訪問しました。この施設は事故で犠牲になった方を慰霊するために設けられた場所です。私たちは献花と追悼を行い、その後展示棟を見学しました。事故直後に対応にあたった地元の方の証言VTRなどを視聴し、当時の様子をより深く知ることができました。