阪神・淡路大震災から26年目のKOBEを歩く―神戸市長田区・ながたを元気づけた鉄人編―
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被災しなかった昔ながらの商店街を通って、新長田駅の方へ北上すると、再開発ビルをバックに、大きな勇ましい鉄人28号のモニュメントが現れます。これが大変印象に残りました。この鉄人は、誰が、どのような目的で建てただろうか...知りたいと思い、調査をしてみました。狭間がレポートします。
鉄人28号モニュメント ・KOBE鉄人PROJECT
・震災後、神戸市出身である漫画家横山光輝さんの作品を用いて震災復興と地域活性化のために「KOBE鉄人PROJECT」が立ち上げられた。
・このモニュメントは震災復興のシンボルとして建設された。
・鉄人28号を目当てに土日にはおよそ3〜4万人の人が訪れる。
・経済効果は建設してわずか半年の間で約147億円にも及んだ。
・湾岸線の新長田駅ともタイアップしている。
・鉄人28号のポーズは若者からお年寄りまでが真似をして記念撮影をしている
街中の三国志展示 ・街中の三国志展示
・新長田駅南部の各所には横山さんのもう1つの代表作『三国志』も展示されていた。
・街中には『三国志』に登場するキャラクターの像が複数展示されている。
・毎年「三国志祭」が開催されており、2020年で14回目となる。
・「三国志祭」では朗読会、武術大会、キャラクターショー、三国志パレードなど様々なイベントが催されている。
・さらに2008年にはKOBE鉄人三国志ギャラリーがオープンし、たくさんのキャラクターグッズや展示が見られるようになった。
・三国志に関するイベントは他にもコスプレイベントも行われている。
・横山さんの作品が新長田駅周辺の商店街を大いに盛り上げていることが調べて分かった。
・特にお祭りで区内外から多くの方が集い、交流できる場があることは大変素晴らしいと思った。
(参考)KOBE鉄人PROJECT公式ホームページ
https://www.kobe-tetsujin.com//
表1:KOBE鉄人PROJECTの流れ(出典)神戸市(新長田区)中心市街地活性化基本計画より ・中心市街地活性化とKOBE鉄人PROJECT
・調べていく中で「KOBE鉄人PROJECT」は平成10年に制定された中心市街地活性化法に基づいて計画がなされたことがわかった。
・震災後の再開発が進む一方で街の賑わいは戻らずにいた。そこで中心市街地活性化法に基づいてさまざまな事業が取り組まれた。
・市街地活性化では再開発区域の新長田駅南部を賑わいあるまちにするために3つの目標が立てられ、このプロジェクトは3つ目の「個性的な集客拠点づくり」で集客を目的として観光客を増やすために行われた。
・横山さんの作品が選ばれた理由は大きく以下の2つである。
①昭和アニメの雰囲気と長田区の下町の雰囲気がマッチしている。
②ロボットが立ち向かう姿が復興に対する希望を与える力強さがある。
・「元気な街」というポジティブな印象を持ってもらいたいという願いもある。願いも叶い、この展示により平日、休日ともに連日多くの方が訪れ、再び街に活気が取り戻された。
・調査をしてみて......気づいたこと・今後に向けて
・KOBE鉄人PROJECTが震災復興後の新長田駅南部の賑わいを取り戻すために計画されたことがわかった。
・計画を進める上で住民の反対はなかったのか、どのような課題が起きたのか今後、調べていきたい。
・また、KOBE鉄人PROJECTによって、観光客数は増え、人通りが増えたが、再開発地域では事業者の参入数は伸び悩んでおり、必ずしも商業の活性化につながっているとは言えない側面もあることがわかった。
・確かに私が訪れた大正筋商店街ではシャッターが閉まっている店舗がいくつかあったように思う。
・再開発事業で住居が多く作られたが、震災以前に住んでいた住民は戻ってきていないため利用者が減ったのではないかとも考えられる。
・ そこで、まずはKOBE鉄人PROJECTが周辺地域の産業にどのような影響を与えたのかを調べ、現在も実施されている再開発事業で課題とのつながりを調べる。
・そして周辺地域の産業(特に近隣の大正筋商店街)に関して現状どのような課題があるのか、住民がどう考えているのか、なされている取り組み等を再び新長田に訪問して調査したい。
(参考)神戸市(新長田区)中心市街地活性化基本計画より
https://www.mlit.go.jp/crd/index/case/pdf/0901kobecity.pdf
(参考)新長田駅南地区震災復興第二種市街地再開発事業検証報告書: