EMM研究会で発表し終えた後の感想(1)~失敗と気付き~

こんにちは、M1(院生)の野元です。現時点において社安では唯一、Virtual Realityを扱っている学生かもしれません。ひとつ節目を乗り越えたような気がするので、11月20日に開催されたEMM研究会での発表と、そこに至るまでの過程、今後のことなどを綴っておこうと思います。今回は、発表を受けての失敗と気付きです。

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<< 大学院に進み、新たに用意してもらったPC&VR機器など。RAMもSSDもGPUも増設してもらったので当分は大丈夫なはず。気付いたら画面並べがち。 >>

 電子情報通信学会の研究会のひとつに、「EMM研究会」(マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント研究会)があります。先日、応用音響研究会・聴覚研究会等との共催でオンライン開催され、僕もポスター発表を行ってきました。

 発表にはZoomのブレイクアウトルームという機能が活用されました。Zoomは9月末のアップデートにより、それぞれの個別スペースを自由に出入りできるようになっています。そのため、参加者がそれぞれ気になった発表を聞きに行き、疑問があれば発表者にその場で直接質問する、というオフラインに近い形式での発表ができました。この機能の使い勝手が大変良かったらしく、閉会後のフリートークでは、参加した先生方が真っ先にブレイクアウトルームの利用方法について情報共有していました。

 さて、ポスター発表では「コアタイム」という枠が各発表者に割り振られています。この時間は自分の持ち場に就き、人が来れば発表を行なったり、質問に答えたり、あるいは自身の研究について、聴講者の方たちと一緒に相談したりすることができます。僕のコアタイムは朝の9時から10時でした。前日のリハーサルで、無線マイクにノイズが乗っているとの指摘を受けていたので、急遽、指導教員の河野先生に有線マイクを用意してもらい、発表に臨みました。

 そもそも対外発表自体が初めてで、さらに「ポスター発表」がどんなものなのかもよく分かっていなかったのですが、とりあえず、1枚もので作成したスライドをZoomの画面共有機能で表示しながら、自分のこれまでの取り組みなどをざっくりと話すようにしました。...そう「ざっくりと」話すつもりだったのですが、先生から聞いたところ、一度の説明で20分以上しゃべっていたそうです。やってしまった...と思っても後の祭り。先生のアドバイスを受けて、コアタイムの後はほかの方の発表を聞きながら、その発表スタイルを観察していました。これからポスター発表をするという方は、聴講者との意見交換をする時間こそがメインだ、ということを意識しておくと良いです。

 どんな内容の発表をしたのか、詳しくはまた別の機会に書くとして、当日の最大の懸念事項は、デモとして見せる予定のシステムが完成版ではないことでした。コアとなる部分は既に出来ていたのですが、様々なトラブルがあり、発表前日のバージョンよりもさらに機能が限定されたものを見せることになりました。本当は実行形式のデータを用意できればとか、せめてテスト環境だけでもきちんと動作するものを見せればといったことを考えていたにもかかわらず、当日に用意できたのは、最低限のデモ機能を組み込んだモックアップだけだったのです。しかし、いま考えてみれば、これで良かったのだろうとも思います。

 そもそも発表の時間は限られていて、全ての機能のデモを示すことが難しかっただろうこと、そして図らずも成果物の全景を見せる機会になったことがその理由です。製作中のVRシステムは、機能自体もそうですが、VR空間内に配置される構造物も、有償の素材を利用しているものの、組み上げに関しては、ほとんど独力で行っていました。開発用ソフトウェアの画面越しに、三人称視点で「裏側」を見せることができたのは、ある意味で幸運でした。作業の全体像と細かな作り込みを同時に見せることは、一人称視点では難しいことです。結果的にEMM研究会優秀ポスター賞もいただけたので、それなりに頑張りを示すことはできたのかなと思います。

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<< 自分のデスク横の窓からの風景。PCが熱を持たないように大抵はカーテンを閉めている。ときどき開けて、気分をリフレッシュするようにしている。朝日を浴びるのは大事。 >>