航空の安全を考えるフィールドワーク

 安部ゼミ4回生の内園尊仁です。

 ゼミ4回生と院生は、9月3日に羽田空港近くにあるJAL(日本航空)の安全啓発センター(最寄り駅は東京モノレール「新整備場駅」)に、そして9月4日には群馬県の御巣鷹山へ慰霊登山に行きました。この2日間で訪れた場所はいずれも、1985年8月12日に起きたJAL123便墜落事故にゆかりのある場所です。

 1日目の安全啓発センターですが、事故を起こしたJALが事故を風化させてはならないという思いと、 安全運航の重要性を再確認する場として、2006年4月に設置した施設です。 案内と説明は、35年前の事故当日に、123便の乗客の搭乗手続きをされていたJAL社員の伊藤さんにご担当いただきました。

 事故が起こった日の出来事や123便の乗客の方々と取り交わした会話の内容も交えた伊藤さんの説明は、 とても分かりやすく、胸に落ちてきました。墜落現場や飛行経路下から回収された後部圧力隔壁・垂直尾翼・後部胴体などの 展示物は、事故の悲惨さや惨劇を物語っていました。

 安全啓発センターの見学には、安部ゼミOBでJR東日本社員の石川慶祐さん、 また2日間のフィールドワークを通して、関西テレビ記者の上田さんとサンテレビ記者の高瀬さんも特別参加されました。

写真1
(安全啓発センター入り口での記念写真)



 2日目は、事故で9歳の息子・健ちゃんを亡くされた美谷島邦子さんの案内で、 御巣鷹山へ慰霊登山に行きました。御巣鷹山に向かう途中のバスの中や登山中に、 美谷島さんから健ちゃんのとの想い出や35年前の墜落現場の様子などを話していただきました。

 登山道の周辺や御巣鷹の尾根のあちこちに、墓標が建てられていました。 事故で命を落とされた方々のご遺体等が見つかった場所を示しているとのことでした。 墓標の多さから、この事故で本当に沢山の方々が亡くなったことを痛感しました。 その他にも、123便が墜落する直前に右翼をぶつけた跡であるU字溝、事故後に群馬県警が救助活動の中心として 目印にしたX岩などがあり、123便事故が生々しくよみがえってきました。

 御巣鷹の尾根には事故でなくなった520名の方々を弔うための昇魂之碑があります。 その前で、健ちゃんをはじめとする事故で亡くなられた犠牲者の皆さんへシャボン玉を飛ばして「空の安全」を祈り、 鐘を鳴らしました。

写真2
(御巣鷹山・昇魂之碑の前で)



 下山後、最後の訪問場所として「慰霊の園」に向かいました。登山中は晴れていたのですが、この頃になって土砂降りの雨になりました。雨の中、慰霊の碑の前で、事故の犠牲者を追悼し、また隣接する展示棟を見学しました。

 この2日間で命の尊さというものを再認識しました。私自身もこの事故を忘れることなく次世代に語り継ぎ、事故で愛する人を亡くした方々の想いを受け継いでいきたいと強く感じました。