福井市高須町での調査

小山ゼミ 4回生の藤田拓海です。

11月2日,3日に近藤ゼミと合同で福井市高須町にて住民を対象としたヒアリング調査を実施しました.

あわせて,我々が危険度の高い斜面に設置したOSV観測機器のデータの収集に行ってきました。

私と堤君は2日目の調査のみ参加しました。
福井市高須町は、65歳の人口が64%を占める限界集落であり、近年の異常気象に伴う集中豪雨の発生頻度が高まっていることを受け、住民自らが身近にある地区内の危険箇所を日常的に監視し、普段とは異なる異変に気付いてもらう仕組みを作ろうとしています。これを「住民参加型斜面計測・モニタリングシステム」と呼んでいます。
町内では3種類のOSV観測機器を用いて斜面の計測を行っています。なお,OSVとはOn-site Visualizationの略で,現場で計測した結果をそのまま現場で可視化するというコンセプトのもと機器を製作しています。写真は,「見通し棒」といって,一直線に並べたいくつかの棒を片一方からみると設置当初は重なって1つに見えますが,どこか斜面に変形や変位が生じるとずれて一直線に見えなくなるというものです。

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このように住民の方々が斜面の危険度が一目で見てがわかるようになっており,危険度の「可視化」という点ではほぼ実現できているように思いますが,住民の方々にいかに日常的にかつ主体的に計測に関わっていただくのかについてはまだまだ課題があります。
例えば,観測の記録をどのように残すのかについてですが,機器設置当初は手書きの計測記録台帳に記録してもらうことをお願いしておりましたが,誰も記録はしておりませんでした。そこで,今年の4月からICカードリーダー(授業の時,出欠を取るやつです!)を用いて,斜面監視を行っていただくキーとなる住民の方々に専用のICカードを配布し,観測をしたカードリーダーにカードをかざしていただくというようにしました。このことで、「だれ」が「いつ」計測したのかが容易にわかるようになり、台帳を書く手間が省けより多くの住民の方々に関わっていただけるようになると思います。今回のカードリーダーの分析から,週に1,2回程度の頻度で定期的に観測が行われている場所もありました。写真は小学校裏に設置した計測機器のそばに設置したポストです。この中にICカードリーダーとマニュアルが入っています。

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私は去年度の調査にも参加しましたが、今回改めて訪問し,住民の方にヒアリングをすると,住民の斜面観測に対する認知度は確実に高まっているように感じました。今後も地域の住民と密接に関わりながら防災のみならず若い学生の力で地域を活性化するような取り組みも併せて考えていきたいと思います。
また、今回訪問した際,棚田オーナーの方々との交流イベントとして干し柿作りを体験するという機会に恵まれました。われわれも柿の皮をむき束ねた藁にくくりつけるという作業をお手伝いしました。写真は小山先生が包丁を使って柿の皮をむいている様子です(かなり慣れた手つきで手早く剥いておられました。それに比べて近藤ゼミの女子学生は...)。

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今後、変状が確認された斜面については,日常と異なる異変に気付くという斜面計測から変形量や変位を定量的に計測する方法へシフトする必要があります。そのためには,斜面の変状を定量的に測るということをどのように住民の皆さんとやっていくのかについて今後考えていきたいと思います。
最後に,調査の帰りには,福井駅前のお店で山盛りの手羽先の唐揚げを美味しくいただきました(福井といえば焼き鳥の秋吉ですが...混んでいたので諦めました...)。

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