カンボジア最終日

小山ゼミ修士2回生の向井です。

カンボジア調査・最終日は、他の国が修復を行っている別の遺跡に行きました。

まず、訪れたのは、中国隊が修復を行っているタ・ケウ。


右)小山先生とタ・ケウ、左)中国隊の修復作業ボード

タ・ケウは10世紀末に建立されたヒンドゥー教寺院で、私たちが活動していたバイヨンと時代は異なりますが、同じく建材である砂岩とラテライトが使われています。四角く囲む外壁の角ではその基壇部が大きく崩れていたようですが、中国隊が新しいラテライト・ブロックをいれて行った組みなおしが完了していました。しかしながら、修復後であるにもかかわらず、目地(ブロックの隙間)がわずかに開いており、それを計測するガラス製の取り付け器具にもその結果が現れていました。修復にあたり、変状の要因(どうして崩れたのか)が分からないと、組みなおし後も同様の結果を繰り返してしまうことになります。タ・ケウも変状要因をもう一度分析しなおす必要があるのかもしれません。


左)タ・ケウの基壇角(明るいオレンジ色が新しく補充されたラテライト・ブロック)
右上)タ・ケウ上段への険しい階段、右下)上からの眺望

次に、インド隊が修復を行っているタ・プロームを訪れました。


左)タ・プローム、右)インド隊の修復作業ボード

タ・プロームは12世紀末建立の寺院で当初は仏教であったものの後にヒンドゥー教に改修されました。

特徴はガジュマルという木によって侵食されている点です。


写真いずれも)ガジュマルに侵食された遺跡内部の様子

この木があるままだと修復は進まないのですが、多くの観光客を呼び込むタ・プロームの「木に侵食された遺跡」という価値を守るためには、安易に伐採することもままならないというジレンマを抱えています。また、これらの根によって遺跡が支えられているのではないかという見方もあり、その修復方針をめぐって、ユネスコを中心とした活発な議論が現在も継続中です。


左)侵食された遺跡、右)ガジュマルを背景に集合写真

さて、カンボジアでの調査は本日で終了。

最後のディナーは、ホテルに近いこともあり今回3度目のイタリアンです。

何度も書いていますが、ここが本当においしい!


写真)イタリアンショップ・マンマにて

特においしかったものをリピートして、ごちそうさまでした!

この調査では毎日の移動にバンをチャーターしていました。運転手さんと桑島は四年間の付き合い。

20時発の便で行きと同じくベトナム・ハノイ経由で帰国します。


左)運転手さんと桑島、右)帰国便へ

~その後~

日本に近づいていた台風が通り過ぎてくれたことで無事に帰国すると思われていた私たちの便は、滑走路内の散乱により関西国際空港直前で進路を変更、名古屋国際空港に着陸して二時間のストップ。

その後、関空へと再出発するも直前でもう一周大阪湾をぐるりするなどのハプニングによって帰国は4時間遅れの11時となりました笑