修士論文口頭試問・発表会

水災害研究室(以下、水研)3回生の近藤翼です。2月15日に関西大学ミューズキャンパスにて【2017年度修士論文口頭試問・発表会】が開催されました。

水研からは修士2回生である大野哲平さん、中津直樹さん、藤原岳大さん、山下千尋さんがそれぞれ発表しました。教授の方々が目を光らせ僕も固唾を飲んで見守る中、終始落ち着き払った姿勢で皆さんは発表をしていました。

大野さんの発表内容は【破堤箇所の不確かさを考慮した多数洪水シナリオ及び浅水流方程式における波先端条件の提案】というものでした。

洪水が発生した場合に備えて、その危険性を評価し浸水域を想定することは重要です。しかしながら従来の方法では浸水域の想定が過小評価となっている可能性があります。大野さんの研究は、従来にはない新たな手法の確立及び精確性向上を図る為のものとなっています。

中津さんの発表内容は【訪日外国人に対する防災情報のあり方―事前に提供する防災情報を中心として―】というものでした。

災害において人々を守る為には、防災情報が欠かせません。しかしながら災害が発生した際には日本人の方だけではなく、訪日外国人の方もいます。そのような方々に対して現在の日本がどのような対策を行い、課題を抱えているのかということを目的としたのが中津さんの研究です。

藤原さんの発表内容は【津波波源内のP波による海面擾乱に関するスペクトル解析および数値解析】というものでした。

津波警報システムでの第一報は速報性に優れる反面、津波高を過小評価した発表を行う可能性があります。藤原さんの研究では、GPS波浪計のスペクトル解析と数値計算を行い、非常時には津波観測に用いられる海洋レーダの観測が可能か否かを検討したものとなっています。

山下さんの発表内容は【津波土砂移動の飽和浮遊砂濃度に着目した浮遊粒子群の挙動に関する数値実験】というものでした。

津波による大量の土砂移動は津波被害においても看過出来ない事柄です。土砂移動の影響を計るシミュレーションの更なる高度化と再現性の向上を目的とした山下さんの研究では、その再現性に大きく影響するとされる飽和浮遊砂濃度のメカニズムの解明を行っています。

津波や洪水などの水災害は場所を問わず発生し、時に人々の命を奪います。そのような水災害の脅威から1人でも多くの人々を守る為に、今回の大野さん、中津さん、藤原さん、山下さんの発表内容のように、水研では様々な多角的アプローチによる研究を行なっています。

今回の発表会に参加させて頂いた僕自身も先輩方の勇姿を目にして、改めて素晴らしいゼミの所属なのだと自覚致しました。今後も水研の偉大な先輩方に少しでも追いつけるような研究をしていきたいと思います。