愛媛県愛南町の遍路道調査

林ゼミ4回生の鈴木涼です。
7月31日から8月2日の3日間、愛媛県愛南町にある柏坂遍路道と松尾坂遍路道を訪問しました。

私は関西大学に入学した頃から四国遍路をしています。約1年前に88ヶ寺すべてを巡り、現在は2週目をのんびりとおこなっています。3年以上もずっと四国遍路をしていれば自然と興味が出てくるもので、私は卒業研究のテーマも四国遍路と絡めたものにすべく「遍路道の安全管理」に決めました。遍路道は四国遍路にとってなくてはならないものであるといえます。歩いて巡礼をしている人たちにとっては特に大切な要素となります。そんな遍路道の安全管理がどのようになっているのか気になったからです。
遍路道の現地調査の計画を林先生と相談しながら進め、いい状態で維持管理されていると考えられる場所を選定しました。情報収集をしていくと、愛媛県愛南町が年に1回「トレッキング・ザ・空海あいなん」という遍路道を使ったウォーキングイベントを開催していることがわかりました。イベントを定期的に実施しているのなら遍路道の整備もよくされている可能性が高いので、そのメインルートになっている柏坂遍路道と松尾坂遍路道を訪問先と決めました。
今回の調査は林先生と一緒に行きましたが、調査場所の選定、交通機関の手配、宿の確保、関係機関へのアポイントメント取りなどは、すべて私が一人で行いました。趣味の四国遍路の時とは違い様々な準備が必要で、このようなことは初めての経験であり、大変勉強になりました。
1日目には柏坂遍路道を、2日目は松尾坂遍路道を訪問しました。それぞれ10km以上の山道を徒歩で歩くことになります。2日とも気温が高い日で、熱中症の心配がありましたが、ここの遍路道は峠を越える山道で、ほぼ全区間が木陰になっていました。そのため直射日光にはさらされず、さわやかな空気さえ感じながら歩くことができました。
遍路道内には整備されている区間とあまり手の入っていない区間があり、どのような道が歩きにくいかや、遍路道内にあるトイレなどの設備がどのように配置されているかなどを現場で比較しながら見ることができました。道中では歩き遍路をしている方とも交流することができ、また40番札所・観自在寺では徒歩遍路をする人の近年の動向をお聞きすることができました。
3日目は愛南町役場を訪問し、愛南町教育委員会の織田浩史さんに遍路道やトレッキング・ザ・空海あいなんの概要、遍路道の整備に関することなどについてお話を伺いました。織田さんは地域の住民としても柏坂遍路道の整備に携わっているとのことで、行政と地元住民両方の視点で非常に詳しいお話を聞くことができました。
今回の訪問では、定期的にイベントが行われ維持管理もされている遍路道の現状を実地で知ることができました。そして安全な遍路道を維持し続けるためには地元住民と行政の様々な連携が必要であることがよくわかりました。卒業研究のための調査で遍路道を歩いていると、趣味で四国遍路をしながら歩いている時とは違う視点で道や関連施設を見ることになります。これまでとは別の面から四国遍路を知ることができ、研究の楽しさを少し味わえました。この訪問で私の卒業研究の方向性もだいぶ定まったように思います。今後、ほかの遍路道も歩くことになりますが、その時は今回の経験をいかして調査を深めていきたいと考えています。

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