気仙沼・オイカワデニムの及川秀子さんとの交流

執筆担当:足立 有希(亀井ゼミ)

9月23日に東北福祉大学で開催された日本リスクマネジメント学会第41回全国大会に参加して、何人かの人から貴重な被災体験を聞くことができた。そのうちの一人がオイカワデニム社長の及川秀子さんだ。

オイカワデニムは宮城県気仙沼にある、日本を代表する技術を持つデニムブランドである。幸いにも、工場は地震が起こる2年ほど前に高台に立て直されていたので津波の被害を受けずに済み、150人の避難所となった。しかし、社長のご自宅や5000本のデニムを保管していた倉庫は全て津波によって流され、残ったのは工場と従業員と社長の命だった。自分の工場に150人もの人が助けを求め集り、自分の命がある。この状況で及川さんとその3人の息子さんは動かずにはいられなかった。デニム生地を床に引き、避難者が暖を取れるようにと、赤ちゃんやお年寄りを守るためにと、一生懸命働いた。そして、家族や従業員の安否確認が取れるとすぐに仕事を始めようと息子さんや従業員が動いた。それは周りの漁師さんが動力を運んでくれ、避難者が望んだから、動いた気持ちである。オイカワデニムの製品は "MADE IN JAPAN" である。その製品の質の高さは、雨や風や雪にさらされても、糸一本のほつれも型崩れもなく40日後に発見された「奇跡のジーンズ」が物語っていた。大きな被害を受け、町が大変な時だからこそ、自社に対するプライドを持ったオイカワデニムは町が活気づくようにと、気仙沼でしか作れない製品を作り、世界中に届けた。

「奇跡のジーンズ」 TEDxTohoku 2011での及川秀子さんのプレゼンテーション (写真提供 TEDxTohoku)

及川秀子社長の話を聞いて、私は東北の方々の復興に対する強さと、日本人の心の温かさ、みんなで協力するという心持ちを感じることができた。この復興の在り方は、日本人であるからこそできたのではないかと思った。もちろんこのような前向きな話だけではないが、東北は完全復興に向け、着実に歩んでいることがわかった。

仙台 東北福祉大学 ステーションキャンパスにて 及川秀子さんと。
懇親会にて 及川秀子さんと東北福祉大学の学生さんたちと交流