閖上さいかい市場振興会の会長にお話を聞きました

執筆担当:植田  雄貴(亀井ゼミ)

2017年9月22日、宮城県名取市の閖上さいかい市場にある、柳屋の代表である柳沼さんから伺った被災体験について報告します。

柳沼さんは、東日本大震災発生時に沿岸部に住んでいました。しかし、地震による津波で自宅の一階が浸水しました。津波が引いた後の自宅の一階は、土砂と津波によって流されただれかの家の物で埋まっていたそうです。道路には大量の遺体が転がり、遺体がそこらじゅうにあることが普通と思ってしまうような異常な精神状態だったそうです。また、津波を実際に目の当たりにすると、目の前の情報を処理することに脳が追いつかずに音は記憶に残らないそうです。人間の脳は、津波を目の前にすると処理能力が追いつかないと聞いて、それほど津波の恐怖は大きいのだと驚きました。柳沼さんの飼っていた犬は一度津波に流された後、再び発見されて、被災後も一緒に生活していたのですが、人間不信になり約三年間懐かなくなったそうです。震災の恐怖は、人間だけでなく犬のような動物にも影響を与えると知らなかったため、ペットと生活している人は、ペットの精神状態も被災後の復興の課題になるとわかりました。地震が発生する前の予兆は、小さな地震が頻繁に発生していたそうです。柳沼さんの家族は、東日本大震災前に頻繁に地震が発生していたときに、もし大きな地震が発生した時の避難場所を決めていたそうです。

この話を聞いて、東日本大震災は震災前に地震が頻繁に発生するという予兆があったために、柳沼さん一家は、避難場所を決めるきっかけになりましたが、普段から家族で災害発生時の避難場所などを決めていくことが大事と思いました。災害発生時は携帯電話などの通信機器は使えなくなると聞いたので、通信機器がなくても家族が集合できるようにすることは被災後の精神状態を落ち着かせるためにも有効だと思いました。柳沼さんは約6年前に実際に被災して過酷な被災生活を体験しているにも関わらず、私達に詳しく被災体験を話してくれました。私は、テレビや被災体験や震災関連の番組をたくさん見てきましたが、直接会って話を聞かせて頂くことは初めてでした。柳沼さんだけでなく閖上の語り部さんから聞く話は、体調が悪くなりそうなほど悲惨な内容でした。被災者の貴重な生の声をこれからも忘れずに、社会安全学部で防災について学ばないといけないと思いました。

柳沼宏昌さん
閖上さいかい市場「柳屋有限会社」代表・閖上さいかい市場振興会会長