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2018.03.06

2017年度国際ジョイントPBLプログラム@陸前高田eJIP.jp参加者座談会を開催しました!

  「国際ジョイントPBLプログラム」eJIP (イージップ:Joint International PBL in English)は、プロジェクト実践力と異文化適応能力を磨くために、商学部の学生と海外の大学の学生とがチームを組み、共通言語は英語として社会的課題の解決にとりくむ全く新しいプログラムです。
 2017年夏に実施された国際ジョイントPBLプログラム@陸前高田(eJIP.jp)の座談会が2017年12月に行われました。

私たちは、陸前高田でメキシコとベトナムの学生とともに困難を乗り越えて、
仲間と居場所と挑戦する新しい自分に出会えた

2017年度国際ジョイントPBLプログラム@陸前高田eJIP.jp参加者座談会

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(写真)2017年度eJIP.jpに参加に参加した関大メンバー5名

  2017年度夏に実施された「国際ジョイントPBLプログラム@陸前高田(eJIP.jp)」には、関西大学の協定校であるメキシコのモレロス州自治大学(UAEM)学生3名、ベトナムの貿易大学(FTU)学生3名と、関西大学商学部生5名の計11名が参加しました。

  8月上旬に千里山キャンパスで「課題解決型学習」(PBL: Problem Based Learning)の進め方や英語でのディスカッション技法を学ぶオフサイト学習、8月下旬から9月上旬に陸前高田市でのオンサイト学習を行いました。オンサイト学習では、民泊とコミュニティーウォーク(集落を歩きながら五感を働かせ地域のよいところを発見する)を通したフィールドワーク、最終日には地域の方々にプレゼンテーションを行いました。プレゼンテーションは、分かれた3チームそれぞれが行い、フィールドワークで気づいた陸前高田の魅力を伝え、陸前高田をより盛り上げるための提案をしました。

  2017年12月に行われた座談会には、2017年の夏休みにeJIP.jpに参加した1年次の中村七海さん、中村美良依さん、堀田小百合さん、山本海緒さん、3年次の八木尚之さんが集まりました。加えて、2016年度eJIP.jpに参加した2年次の江口晃平さん、横山ゼミ4年次の林佑美さん、現地でのコーディネイトを担当した一般社団法人「マルゴト陸前高田」からオンラインで越戸浩貴さん、佐々木可南子さん、横澤亜耶さんが、引率した長谷川伸准教授が参加しました。なお、学年はいずれも2017年度時点のものです。

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(写真)仙台空港で全メンバー合流(2017年8月31日)

〇eJIP.jpに参加した動機・達成できたこと

八木:被災地で海外の学生と合同で活動するってまずおもしろそうだと思った。被災地に行ったことがなかったので現状を知りたいというのもあった。

堀田:2週間も一緒にいたら絶対仲良くなれると思った。今、関大メンバーも仲がいいし、メキシコとベトナムのメンバーともつながってるし、陸前高田の人たちともつながってる。国境を越えてみんなと友達になれた。

中村七:探してたんですよね、留学や英語を使う夏休みのプログラムを。そしてボランティアにも行きたいなって考えてて。どちらかを選ばないといけないって思ってたけど、eJIPを見つけて、留学プラス社会貢献で、どちらにもチャレンジできるなって思いました。

中村美:本当はめっちゃ嫌だった。絶対きついから(笑)。でもなにか変わるかなって。同世代の海外メンバーがこんなこと考えてるんやってことを知れた。

越戸さん:僕がもとからやりたいと思ってた地域づくりにつながると思ったんだよね。2週間大学生と外国人が来ることで、陸前高田をつくることにつながるなと。終わってそれにつながってる実感はあるんだよね。

佐々木さん:現地コーディネイトを担当する「マルゴト陸前高田」としては、市民との関わりをもってほしいから、あまりサポートしすぎないように気をつけたのね。それで、私たちの活動を振り返った時に、このeJIP.jpが一番印象に残ってる、ってなったの。みんなが陸前高田に残してくれたものがすごくいいよねってなった。

〇eJIP.jpで一番印象に残っているのは民泊体験

中村美:私は民泊かな~。とっても温かく受け入れてくれて、深い話をいっぱい聞けた。印象に残ってる話は、仮設住宅で暮らしてるとき、周りの人たちと協力していろんなイベントを開催したり、友達がたくさんできて楽しかったってこと。辛いとか大変なマイナスなイメージがあったけど、びっくりした。

堀田:私も美良依と同じチームだったんですけど、民泊が一番印象に残ってる。仮設住宅の話もびっくりしたし、2日間っていう短い時間やったけど、本当に自分のおばあちゃんみたいな、また別の帰る場所、故郷ができたって感じで、また「ただいま!」って行けそうやからすごいびっくりしてる。

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(写真)民泊先の家族のみなさんと

〇陸前高田はゆっくりだけど濃い時間が流れている

山本:陸前高田は、時間の流れがゆっくり過ぎてびっくり(笑)。

長谷川先生:どれくらい違うの?20倍くらい?もし選べって言われたら、どっちがいいんですか?関西のスピードと陸前高田のスピード。

山本:全然違う。もっとやと思う。選んでいいよって言われたら難しい。たまにそういう切り替えがあるからゆっくりもいいと思えると思う。

長谷川先生:そのスピードって他のメンバーってどう感じた?

八木:僕も実感しました。関西に帰ってきてからの2週間と陸前高田の2週間はやっぱり違うなって。陸前高田に1ヶ月いたみたい。記憶にすごく残ってる。

長谷川先生:なんか不思議ですね。ゆっくりだけど濃い。

林:田舎って日の出とともに起きて作業して、自然と共に生きていくから余裕があるんかな。都会は、情報が溢れてて考えること山ほどあるし、仮に、陸前高田がめっちゃ都会でビルいっぱいやったら絶対そうは思わなかったと思う。

江口:去年、農業体験したんですけど、確かに作業は自然に合わせてました。「まずは焚き火で温まってから始めますか」ってかんじで、日が差してきたから作業はじめる。

越戸さん:スケジュール詰め込み型だと、次やることがイメージできるなって。次、こういう人と会って、こうなってって予想できる。そういう情報がなくて、人と会ってじゃあこうしようかとか、その場で会って「家あがってお茶っこでもしてけや」(あがってお茶でも飲んで行きなさい)って、そういう自分が予想もしてなかった話が聞けたり、自分のしたいことが後押しされたりとかっていうことが、「濃さ」を感じる部分なのかな。予想できない部分に濃さを感じるのかな。

みんな:あぁ~なるほど。

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(写真)コミュニティウォークで立ち寄ったりんご農家と学生ボランティアのみなさんと

堀田:和野地区でコミュニティーウォークをしてるとき、思いがけなく「家あがっていき」って声かけてもらって、家にお邪魔したら、ボランティアで来てた学生もいて、予想もしてなかった出会いがあった。そのお家がりんごの農家だったので、りんごの収穫を一緒にする予想を上回る経験ができた。

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(図)参加メンバーがコミュニティウォークで作成した陸前高田市米崎町和野地区マップ

〇小学生が「外国人がいる!」と叫ぶ

八木:小学校の近くでコミュニティーウォークをやったときがちょうど児童の下校時間だったので、「外国人がいる!」って感じで子どもたちに声をかけられた。それを保護者が見てて、僕らを不審者だと思ってその小学校に通報した事件があった。

越戸さん:長谷川先生と一緒に小学校、教育委員会に謝罪に行ったけど、それはそれでよかったなぁ。付添人は巻き込まれてなんぼだなって(笑)。見守るんだけど、自分たちも巻き込まれて一緒に場をつくってんだなって。

長谷川先生:小学校の校長先生にこんなことやってるんですって知ってもらえたなと。

山本:私たちも集落を歩いてたら、同じく小学校の下校時間で、子どもたちが茶化して「外国人や~」って言ってすぐ帰っていく事件がありましたね……。その場にいた海外メンバーは、自分たちが嫌われたと思って、「今すぐ帰りたい」って言って。彼女たちになんて声をかけたらいいかわからなかった。

〇言語の壁は越えられたか

越戸さん:英語でコミュニケーションをとらないといけなかったんだと思うんだけど、最終的にはみんな仲良くなれたって言ってて、海外のメンバーと通じ合えたとか仲良くなったなってどんな時に思ったか聞きたいな。

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(写真)毎朝のショートミーティング

中村美:一緒に過ごしていくうちにだんだん仲良くなった。言葉の壁は、プレゼン準備では結構感じたけど、普段は感じなかった。

林:ハートやな。

山本:信じてくれたなって思ったのは最後のプレゼンが成功したとき。チームの海外メンバー2人がいろんな考えを持っててついていけなかったから、基本はその2人の考え方で合わせてたけど、最後プレゼンは日本語で関大メンバーがやるから不安で、でも終わったとき「言いたいこと伝えてくれてありがとう」って言ってくれた時、信じてくれてるって思ってうれしかった。

〇留学と英語の習得はイコールでない

長谷川先生:亜耶さんは大阪外大を出てますけれど、留学はどうやって決めたんですか?

横澤さん:実は留学経験はありません。英語を話すためだけなら、わざわざ国外に行かなくても大丈夫かなっていうのが私の持論です。私は働いてから初めて海外に行ったんですね。香港で2年半、現場のスタッフとは英語でコミュニケーションをする必要がありますから、そのために英語を学ぶっていう目的がありました。だから、留学イコール英語ができるようになるっていうより、その人次第だと思います。

中村七:それはめっちゃ感じます。大学に入ってすぐに留学したかったから、国際部の説明会とかに行ってたんです。職員の人が、留学する人ですぐ決まる人と決まらない人の違いとして「漠然と英語をしたいって人は留学先がなかなか決まらないけど、この大学でこれを勉強したいって人はすぐ決まる」と言っていて、やっぱりそういう思いがないといけないよなって感じて。それから語学で留学したいっていう気持ちはほとんどなくなりました。

横澤さん:そんなに焦らなくていいと思うんですよ。動いてれば必ずチャンスが降ってくると思うので、その時にタイミングが合えば、それが留学かもしれないし、プロジェクトかもしれない。転勤になるかもしれないし、自分で仕事探しに海外にいくかもしれない。焦らず、自分の腹落ちするタイミングを見極めたらいい。

〇仲間と自信を得て、挑戦する新しい自分と出会えた

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長谷川先生:プロジェクト実践力と異文化適応能力がついた感じはありますか?

江口:寛容になれたかな。自分と考え方が違うと少し嫌悪感とかもったりしてたけど、海外メンバーと会ってこれが彼らの考えなんだ、スタンダードなんだなって。

中村美:スケジュールを決めることや、ToDoリストをつくること、何をするにも理由がちゃんといることは何回も言われて身に染みた(笑)。私はKU Bridgeっていう留学生との交流団体に入ってるんですけど、イベントをするための書類を作る時、イベントの目的を考えるようになって、その時の経験が生きてるなと感じます。

山本:最近だと、KUBIC委員会(関西大学ビジネスプランコンペティションを企画運営する商学部の学生による実行委員会)。来年度の大会のポスターを担当することになって、スローガンは私が考えました。どういう意図でそのスローガンにしたのかを考えながら、それをどうやって表現したら上手くみんなに伝わるか紙に書いて、周囲に聞いてみながら進めています。

中村美:プレゼン準備は本当にしんどかったけど、それがイヤって感じじゃなくて、むしろいい経験。やってよかったと思う。諦めないで英語を使ってがんばったことや、陸前高田のみなさんの前で発表できたことで達成感を味わえたから良い経験だった。それに、自分すごいがんばれたなって気持ちがあります。

中村七:陸前高田に行ったときは全然英語が話せなかったんですよ。ベトナムのメンバーと全然話せなくて、単語も出て来なくて。簡単な英語すら出て来なくて、かえって話せなくなってしまって。でも、帰ってきてから英語が得意になったんですよ。英語の授業でも、eJIPに参加する前より話せるようになったのが、自分でも驚き!あと、プレゼンではだいぶ自信がついたかな。

堀田:振り返ってみて、夏休みがすごい濃くて充実したなって。どの大学生よりも充実してて、そして友達もいっぱいできた。滞在中、スケジュールがぎりぎりで焦っていたけど乗り越えていたり、単語が出てこなくても、最終的には自分の言いたいことが出てきて伝わったりして。どんな状況でも自分は乗り越えられるって、どんなにしんどくても最終的には乗り越えられるって。そんな思いを、この経験から得ました。

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中村美:陸前高田から帰ってきて思ったんですけど、よく「大学生のうちにいっぱい失敗しろ」みたいに言われるじゃないですか。実際のところ、失敗する機会ってそんなにないなって思ってて。でも、eJIPに参加してあり得ないくらい失敗して。良かったなって思いました。いろんな失敗を経験できて。

〇相手を意識し、ものごとを多角的にとらえる

堀田:滞在中に先生や周囲から、「自分たちはそれでいいと思っていても周りの人はそうは思わないこともある」というアドバイスを受けました。例えば滞在中のプログラムでチラシを作成する時に、ベトナム貿易大学(FTU)とモレロス州自治大学(UAEM)のどちらを先に書くか、なぜその順番なのかといったことです。何も考えずに書くんじゃなくて、周りの客観的な目線を意識するようにしました。

山本:ふだん話すときも、知らないうちに他の人を傷つけていないかな、とかすごい意識するようになりました。今の言葉は大丈夫だった?みたいな。言葉をちゃんと考えてから選ばないと、何かあった時にって考えたら。

長谷川先生:人を傷つけてしまうかも、みたいな。

山本:なので、そこを意識するようになりましたね。

〇困難を乗り越えて成功させた最終成果発表会

横澤さん:みなさんがすごいがんばったおかげで素敵なプレゼンになって、思ってたより正直ずっとずっと良かったんです。私もすごく感動して、みなさんのがんばりが出たとてもよい発表会だったと、後から振り返ってもそう思ってます。

みなさんプロジェクト中に泣いて、いろいろ大変そうだな~って思うことがたくさんあったんですけど、今振り返ってみて、その時の経験や印象がどんな風に残っているのかを教えていただきたいです。

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(写真)最終成果発表会でのプレゼンテーション(2017年9月13日)

山本:プレゼンはチーム毎にすることになって準備をしてたんですけど、いろいろとアクシデントが起こり、結果みんなが精神的に爆発してしまいました。その時に、「何かをするときに一回自分の気持ちを整理して自分が今どういう状態なのかっていうことを理解した上で、次のことをやるっていうのはすごい大事なんだな」ということをすごく感じました。帰ってきてからも、自分が今やらないといけないこととか、そのためにはどうしたらよいのかを確認しながら動いた方がいいことに気がついて。なので、それをできるだけ実践するようにしてます。めちゃくちゃいい経験をしました。

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(写真)最終成果発表会で参加者のみなさんと(2017年9月13日)

〇これから自分からもっと動いて、挑戦していきたい

中村七:大学に入ってから、社会人と関わる機会が本当に増えて、高校生の内にできることがもっとあっただろうなって思います。高校生でもいろいろ挑戦している人がいるじゃないですか。でも、大学に入って視野が広がったというか、もっと勉強以外にやることあるなって感じられたので、今はいろいろ挑戦していきたい。

山本:私も七海に近いかもしれない。大学には入ったけど、最初は何をがんばったらいいかわからなくて。とりあえず勉強しようと思って、春学期の講義を履修する中でeJIP.jpを見つけたんですね。何かやらないと何も始まらないし、いろんなプログラムもあるから、できるところから手をつけて自分のなかで4年間をそれなりに後悔なく過ごしたいなって考えるようになりました。このプログラムに参加したのもそう。これから専修を決めるのもそう。このプログラムを経験して、自分からもっともっと動かないといけないな、って考えるようになりましたね。

長谷川先生:がんばるには安心安全な場が必要なんですよね。足元がしっかりしていないから一歩が踏み出せない。そう考えると、居場所、自分のままで安心して居られる場所が大切。人間って自分が戻ってこられる場があればがんばれる。それをいくつか持っておくとなお良い。君たちには、陸前高田がある。陸前高田に居場所があるからがんばれるってなったら嬉しいな。

参加メンバーが作成した動画

BEST PHOTOS I'VE EVER TAKEN IN JAPAN [2017], https://youtu.be/4DO47zx5Kjw, Oct 13, 2017.

VLOG 1: JAPAN - RIKUZENTAKATA (2017) - BEST MOMENTS WITH FRIENDS, https://youtu.be/XMkjr9Ed8A4, 19 Sep. 2017.

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(この記事は,eJIP.jp参加メンバーの堀田小百合が執筆しました)

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