2017.05.01
「国際ジョイントPBLプログラム」eJIP (イージップ:Joint International PBL in English)は、プロジェクト実践力と異文化適応能力を磨くために、商学部の学生と海外の大学の学生とがチームを組み、共通言語は英語として社会的課題の解決にとりくむ全く新しいプログラムです。
このプログラムは2種類用意されていますが、2016年夏に実施された国際ジョイントPBLプログラム@陸前高田(eJIP.jp)の座談会が2016年12月に行われました。
座談会「国際ジョイントPBLプログラム@陸前高田について語る」の記事
今回のプログラム参加メンバー9名
「国際ジョイントPBLプログラム」eJIP (イージップ:Joint International PBL in English)は、プロジェクト実践力と異文化適応能力を磨くために、商学部の学生と海外の大学の学生とがチームを組み、共通言語は英語として社会的課題の解決にとりくむ全く新しいプログラムです。
その合同学生チームで受入先から与えられた課題にとりくみ、「オフサイト学習」では所属校でそれぞれ調査・研究を行い、「オンサイト学習」(2-4週間程度)ではチーム全員で現地調査(フィールドワーク)とその結果をまとめて発表するプレゼンテーションを行います。
このプログラムは2種類用意されていますが、今回2016年12月に行われた座談会には、2016年の夏休みに日本(3.11東日本大震災の被災地:陸前高田市)でオンサイト学習を行うeJIP.jp に参加した1年次生(当時)の石本七海さん、伊藤杏菜さん、梅本彩加さん、江口晃平くんに集まってもらいました。加えて、現地受け入れ先の「はまなす農園」の戸羽初枝さん、現地コーディネイトを担当した「マルゴト陸前高田」から横沢亜耶さん(陸前高田からオンライン通信で参加)、引率した長谷川伸准教授が参加しました。司会は徳永昌弘教授が担当しました。
このプログラムに参加したのはなぜか
徳永:最初に、このプログラムに参加した動機を話してください。
梅本:1年生の夏休みに何か大きいことを1回して、チャレンジ精神を身につけたいなと思ったのがきっかです。4年間の学生生活送っていく上で、このプログラムで参加したメンバーがいい学ぶ仲間になると思ったのも参加を志望した理由です。
伊藤:私は、東日本大震災があったときからずっと何かしたいなと思ってました。でもずっと動き出せてなかった。入学してこのプログラムを見たときに、被災地の復興支援が目的の一つだったので、ここが自分の気持ちと合っていた。あともう一つは自分の語学力、異文化理解能力というのを磨きたくて、将来的には英語を使った仕事に就きたいと自分は考えていたのが応募した理由です。
田中:参加費が無料というのが一番私の目を引いたのは事実です。しかも、英語を日本で使えて、メキシコ人と習っているスペイン語も使えたらいいなと思ってという理由で希望しました。
石本:私はもともと英語が好きで、でも外国人と話すときに緊張してしまうのが私の短所で、英語好きやのに実践に移せないのが嫌でした。このプロジェクトを通して、堂々と外国の方と接したいなと思って志望しました。
それと高校生のときに英語や日本語のプレゼンをよくやっていたので、そういった高校で培った力を大学でも生かしたいと思って志望しました。
江口:僕がこのプログラムに志望した理由は、東日本大震災の現場で何が起きているか、実際自分の目で見たかった。それから、関西大学に来たときに、みんないろいろな考え方を持っているなとか、メキシコの人たちがどういった考えを持っているのかとか、まだ行ったことない東北にいる人たちがどういう考え方を持っているのかに興味が湧いて、視野を広げたいなと思って今回参加しました。
英語が必須なので英語力がついた
徳永:ありがとうございました。ここまでで何か質問ありますか。
フロア:どれぐらい英語ないしスペイン語を使う機会がありましたか。
田中:英語はずっと使ってたんですけど、スペイン語はあいさつ程度でした。
伊藤:共通言語が英語だったので、基本的には英語をしゃべる努力はしました。
フロア:語学力は向上した実感はありますか。
江口:あるなあ、あるある。
田中:あります。ネイティブの先生が言ってることが以前よりわかったり、ネット動画中の会話が聞き取れたりして、ある程度の英語は聞けるようになりました。
伊藤:もう一つ思ったのは、私は英語を話せるようにはなりたいと思っていたんですけど、実際しゃべってみると、文法じゃなくて、伝えるということが大事なんだなっていうのはすごく思いました。プログラム内でも絶対しゃべらなあかんっていう状況にあったから、そこを無理にでもしゃべったら意外と伝わるっていうのは実感しました。
梅本:陸前高田の方が震災で経験したことを、自分たちの口で、その人の思いもちゃんとわかった上で、メキシコの学生たちに説明することが必要だったんで、おしゃべりの英語では済まなかったと思います。
徳永:ほかどうでしょうか。
フロア:次に、何がしたいと思いますか。
石本:私は2回生になったら、留学したいってもともと思っていて、このプログラムに参加するときも、いきなり海外に行くのは私のメンタル的にもしんどいなって思って。陸前高田は日本だけど、2週間接するのはメキシコ人で、英語でしゃべらなあかん状態が留学の準備になると思って。
田中:2月の末から3月の末にメキシコに行くeJIP.mxがあるんですけど、それも参加したくて、その次は2年次秋に留学行こうと思ってて。
梅本:私は、これからも国際インターンシップの機会をもっとふやしていきたいと思います。
東日本大震災の被災地:陸前高田の印象
フロア:陸前高田に行って、何を感じましたか。被災から5年たってるじゃないですか。自分の思っている陸前高田と何か違うところがありましたか。
陸前高田旧市街地を望む
田中:かなり違います。私、復興進んでると思ってて、もっと建物とか建ってると思ってたんですけど全くの更地で…全く何もないです。
石本:5年って聞いたら、誰もがもう進んでるって思うじゃないですか。私もそう思ってたし、復興が進んでるもんやと思ってたけど、やっぱりテレビで見てるのと実際で行くのとでは全然違って、見て衝撃が走りました。
江口:その被災地の人たちも、みんな復興を目指してがんばっていても、その目的がちょっと違ったりするんだなと思いました。
伊藤:私は、行く前にオフサイト学習として、いろいろ事前資料も見たり、勉強したりもしてたんですけど、やっぱり全然自分の目で見るのは違って、津波の威力や怖さは、やっぱ実際見ると感じることが違うなって思いました。
梅本:私は、陸前高田への今まで支援が役にたっているのかなって疑問に思って、これから別の支援がもっと必要だなと思いました。
震災遺構(被災した気仙中学校)を視察
メキシコの学生たちとチームを組むということ
徳永:それでは中身の話に入ってきていますので、二つ目のトピックスに話を進めていきたいと思います。
このプロジェクトでは、被災地支援が一つの大きな柱ですが、もう一つはメキシコから来た学生、文化も歴史も育った環境も全く違う学生と一緒にチームを組んで作業を進めていく異文化適応というもう一つの柱があったわけです。例えば日本人の学生だけと同じ企画をするのと、何が違っただろうかということを聞かせてください。
3班に分かれてプロジェクトにとりくむ
梅本:正直、1週間ぐらいは日本人だけで固まることも多くて、意思の疎通がメキシコの学生と取れてなかった。1週間目に、夜に買い物に行ったり、メキシコ人の子たちと普通に、プライベートで話を進めることが一番重要だなって気づいて、そこから交流を深めていけたかなと思います。
伊藤:メキシコの学生と一緒に一つのプログラムをやるっていう点では、もともと日本語でもすごく複雑で、いろいろなことが盛り込まれてるプログラムで、私たちも困惑することが多かった。それを共通言語の英語で、私たち以上に知らないメキシコの学生と議論するっていうのはすごく難しくて。
メキシコでは会議はすぐ終わらせるのが普通で、日本人はわざわざぐじゃぐじゃにして時間をかけると指摘されました。メキシコとの文化の違いを学べたかな。
ホテルに帰ってからとか、ご飯食べるときに何げない会話をして、その中で自分の人生を話してくれたり、恋愛の話をしたりしました。英語だけど、またメキシコの方やけど、共感する部分も多くて、すごく楽しかった。
メキシコと日本の時間感覚の違いにとまどう
田中:日本人とやる方がもちろんやりやすい。言語も通じるし。文化も違うから、「9時に来て」って言ったら、日本人はがんばって5分前に来るんですけど、メキシコの学生たちって9時10分ぐらいに来るんです。最初は怒りたくなるんですけど、これはこういう文化やって思ったし、じゃあ「8時50分に集合」って言うなどの対策を練りました。異文化交流というか、その文化に慣れる、認めることも大切なんですけど、うまいこと日本とメキシコの文化をあわせようとがんばりました。歩くスピードも違うので「急ごう」と言ったりとか、メキシコの学生たちのテンションにあわせたりしました。
石本:田中さんが言ったように、最初にびっくりしたのは、時間にルーズなこと。悪気はないんですよ、向こうは。だからそんな怒っても仕方がないし、何十分前にもともとの時間を設定して、お互いがその時間に集まれるように工夫したのを覚えています。
かかし祭りに向けてかかしづくりも
「私たちはチームだよ、ファミリーだよ」
石本:梅本さんの話にもあったんですけど、最初は日本人だけでまず話し合って、その間メキシコの学生たちが何もしない時間があった。それをメキシコの学生もよく思っていないことに私たちも気づいて、ある日の夜、ホテルに集まって話し合いをしたんですね。メキシコの学生たちは自分たちも話にまぜてほしいと訴えて、私たちは反省点がいっぱいあったので謝ったんです。そのときに、お互い初めて本当のこと言い合えて、泣き出す子もいて、私も泣いちゃって。そのときにメキシコの学生が「私たちはチームだよ、ファミリーだよ」って言ってくれた。そのことが印象に残って、その日を境に、ちゃんと会議もみんなでまとめるようになっていって、最後はほんまにいいチームになった。
実際に話してみないと、共通点も相違点もわからない
江口:懐かしいな。確かに僕も最初メキシコから来た学生たち、一体何考えてるんやろって思ったんです。実際話を聞いていくうちに「震災があって僕も何かしたいなと思って」と話したら「それは俺も思ってるよ」みたいな感じで言ってきて、同じ人間ですから、心の奥底に思っていることは同じだったなと思ったのが一番印象的で。実際会って話してみないとわからないところがあったなあと思いました。
日本人だったら言わなくてもわかるよね、目標も頭の中に浮かんでるやろみたいな感じなんですけど、国も育ってきた環境も文化も違うので、「実はそう考えてたのか」となることも多かった。やはりコミュニケーションを頻繁にとることは大切やな。
メキシコの学生たちから学んだこと:メリハリをつけること、リラックスして考えること
江口:プログラムで課題とかに当たってすごく悩むじゃないですか。そのときに「けっこう大変やわ」っていう話をメキシコの学生にしたら、考え過ぎるのは余りよくないし、もっとリラックスして考えろよって言われて、そこは見習うべきだなと思いました。
田中:メキシコの学生たちって仕事するときは、ピッとやってピシッと終わるんです。遊ぶときはけっこうはしゃぐんですよ。でもやるときはちゃんと、決めるときはばっと言ってくれたり、「私たちは家族だよ」といった精神的に支えてくれる。私たちはプロジェクトにがちがちに縛られてて頭かたかったので、彼らのふりまいに助けられました。
追い込まれて切羽詰まって、信じて任せることができない自分に気づいた
英語を使ってプロジェクトにとりくむ
田中:日本人は言わんでもわかるやろっていうとこもあるんですけど、向こうの人はちゃんと言わないといけない、ちゃんと言わないといけないっていうことを私たちは忘れていて、それの大事さにも気づいた。プログラムでだんだん、追い込まれていくんです。精神とかもけっこう削られていってて、それでおのれの限界っていうものを私は今回、知りました。
司会を回すのも、最初の1週間はとっても楽しかったんですけど、ラスト1週間ぐらいになったら、だんだんと生気が失われて、鬱な状態で朝が始まるんです。よくよく考えてみれば、そんな日常生活でないじゃないですか、そこまで追い込まれるかわからないですよ、一人と違うんですけど、私はなくて今まで。なので人に振ることも、人に仕事を任せられないというのも私のちょっとした性格で。
長谷川:責任感あるもんね。
田中:ただ単に任せられないだけで、それを人に任せる大事さっていうのも感じました。
空中分解寸前から、立ち直れたのがすごくよかった
それでは今回の現地コーディネイタを担当したマルゴト陸前高田の横沢亜耶さんから、コメントいただきたいんですがいかがでしょうか。
横沢:こんにちは、横沢です。みなさん、ご無沙汰してます。元気ですか。
メンバー:お久しぶりです、元気です。
横沢:みなさんのプログラムに参加、一緒にさせてもらったんですが、初日、これからみなさんすごくしんどいとこに行ってからの勝負なんだろうなって思っていました。最初格好つけていても、メキシコ人と日本人の学生が壁にぶち当たってストレスがピークに達してきて、空中分解寸前のところから、みなさん立ち直れたのがすごくよかったんじゃないか。みなさんのその挑戦が、成果物に通じたんじゃないかな。本当にみなさん、しんどいなかがんばったんじゃないでしょうか。
メンバー:ありがとうございます。
現地受け入れ先の「はまなす農園」の戸羽初枝さん
戸羽:みんなは出会ったばっかりだったんだね。このコミュニケーションを取るのがすごく大変だったんだろうなと今は思います。
でもメキシコのみなさんも、関大のみなさんも、一生懸命いろいろ考えて来てる学生さんたちなんだなと思いました。地元でも、目の前にあることしか考えてない子たちがいっぱいいるので、ちゃんと将来を見て、動いてる方々なんだなと思って、とても関心して見ておりました。みなさん、かわいい。
はまなすのばあちゃんたちも、じいちゃんも、お姉さんも、みなさんとっても楽しんで受け入れをしてくれましたので「どうしてるかなあ」ってお話が出るときもあります。
戸羽さんとメキシコの学生たち
スマホの翻訳アプリは役に立たなかった
フロア:学生のみなさん、英語で苦労されたようですが、スマホの翻訳アプリの音声入力やリアルタイム翻訳などを利用しなかったんでしょうか。
成果発表に向けてラストスパート
田中:余りしてないです。
江口:よっぽどわからない限りは。
石本:基本的にはジェスチャーと絵を書いたらだいたい伝わったので、翻訳機能には頼ってないです。
江口:例えとか絵とかジェスチャーをフルに使って、わかるまで言って、そしたら言葉だけじゃなくて、イメージもわかってくれる。背景にはこういうことがあるとわかってくれるんで、よっぽど専門的な言葉じゃない限りは使いませんでした。
田中:役に立たない。
江口:対面での会話のほうがやっぱりいい。探している時間がもったいない。
田中:もったいないし、探してたらより難しい言葉が出てきて、逆にメキシコの学生にとってわかりにくくなったこともあった。どっちかっていうと不便でした。自分を信じたほうが早かった。
戸羽初枝さんにインタビュー取材
農業は楽しくないとできないよ
徳永:次は農業体験をすることで何を学ぶことができたのかを聞かせてください。
梅本:高校のときの農業体験と違って、私たちは産地直売所での体験でした。
伊藤:その産地直売所を運営している戸羽初枝さんに密着して取材しました。
梅本:産地直売所では、生産者の方が農作物を持ってこられて、それをジャムとかジュースとかに加工・販売するんですよ。それを手伝ったりしました。
伊藤:このプログラムのテーマに、この産地直売所の魅力を発信することが含まれていて、そのことで女性の農業従事者を増やすことが、陸前高田の活性化につながるという戸羽初枝さんの思いを一番私たちは知ることができた。
田中:私たちは豆の選別、豆をさやから取る作業をしました。
豆腐づくり
石本:私たちがお邪魔した農家の方は、農産物だけじゃなくて豆腐もつくっていたので、豆腐づくりもしました。一番感じたことは、農業を楽しんでるということ。農業女子を増やすために一番伝えなければならないのは「農業の楽しさ」やなと思った。農業はしんどいイメージがあるんですけど、でもほんまにやってみたら楽しかったし、「農業は楽しくないとできないよ」って教えてくださった。
田中:昼寝もしたし、豆乳飲んだ、豆腐食べた、おいしかった。楽しかったです。
石本:都会じゃ味わえない空気、景色、夜には花火もして。
田中:した。
江口:した。
田中:満喫しました。
農業は、自然に合わせれば自分の自由にできる
江口:僕たちは戸羽初枝さんのお母さんの畑で農業体験しました。そこで一番思ったことは農業っていうのは、柔軟性のある職業。何をつくるかということも自分で決められるし、あとは一日のうちにどれだけ農業に時間を費やすかも決めることができる。たまたまそのときは、収穫期じゃなくて忙しかったわけじゃないんですけども、朝方は仕事して、昼は暑いから昼寝して、夕方涼しくなってきたらまた仕事をするという、普通の仕事だったらあり得ないぐらい、すごく柔軟、融通を利かせることができるのが農業の特徴だなと思って。
プログラム11日目
農作業(1次産業)+加工(2次産業)+販売(3次産業)=6次化
徳永:さっき話をしてもらいましたように、ジャムをつくったら第2次産業になりますし、それを産直で販売すると第3次産業にもなりますよね。これを全部足すと1+2+3で第6次産業と呼ぶことが今はやっていて、こうすると第1次産業で利益が出るだけじゃなくて、2次、3次のところでより大きな利益を農業が生み出すことができる。
お世話になった陸前高田の方々と
産地直売所があるなら、ガーデニングから農業を始めてもいい
それで農業体験について質問やコメントありますか。
フロア:農業の楽しさが伝わってきたんですけど、農業を全然したことない人にその楽しさを伝えるためには、どうしたらいいと思いますか。
江口:やればいいと思います。“Just do it!”やな。
石本:時間をかけて本当の農業を知って、その楽しさを知ったら新しく農業を始めたいっていう人も出てくるんじゃないか。長期間農業を体験できる場を設けたらどうですか。
田中:ガーデニングから始めてもいいんじゃないかな。ガーデニングってやってることは種を植えて、自分で育てて実らせるっていうプロセスは農業と一緒だと思う。それが楽しいって思えたら、農業として捉え直したらいいんじゃないかな。
江口:産地直売所があるおかげで、そのガーデニングしている人でも、農家がつくっているようにきれいな形じゃなくても、商品として売ることができる。
伊藤:私は、今回のように農業女子のケースブックをつくって広めていく、知ってもらうっていうところが大事なんじゃないかなと思います。
江口:自分の育てたものがきれいに実って、収穫できて売れるっていうのは、一番楽しいと言ってます。ただ、トマトのビニールハウスで枯草を全部取るっていう作業があって、それはけっこう大変だなと思いました。力仕事だったんで。
台風10号で壊れたビニールハウスの片付け
農作業の後の昼寝もよかった
田中:一番よかったのはお昼寝です。季節もちょうどよくて、東北やったんでそんなに暑くもなく、気温も抜群で疲れた後で広々とした家で寝る、これ最高でした。
これ今の時期やからいいけど、寒かったりしたらこれ嫌やなって思ったし、実ってない種の時期から作業を毎日続けるのはちょっとしんどいのかなって思いました。
石本:実際、本当に実がなってる状態のトマトをこれ食べていいよって言われて、それ食べたりできたのがすごい楽しかったです。
田中:そやな。嫌なことは全くなかったです。
楽しかったのは本当においしい野菜を食べること
伊藤:楽しかったのは食べること(笑)。本当においしいんですよ。ミニトマトが、今までに食べた中で一番おいしかった。カボチャのてんぷらも、もう取り合いして、むっちゃおいしくて。カレーをみんなでつくって食べたのが楽しかったです。私、辛いの苦手で食べられないんですけど、野菜の甘味が出て、甘口でおいしくいただきました。
悔しかったのは、その産地直売所の店番をやっているときに、話しかけてもらったのに方言が強くて全然何を言ってるのかわからなくて、会話ができなかったりした点です。
移動手段が限られていて大変だった
徳永:最後に、このプログラムの改善点を出してもらいたいんですが、どうでしょうか。
田中:公共交通機関が限られていて、自分たちだけで動き回ることができなかったことです。宿泊先と活動拠点の産直はまなすは徒歩圏内でしたが、農家訪問はマルゴト陸前高田の車両で送迎してもらいました。
オフサイト学習(事前学習)が足りなかった
江口:オフサイト学習で現地に行く前に1週間、ネイティブの先生から英語でのコミュニケーション方法を学びましたが、その前に昼休みに英語で会話する「イングリッシュ・オンリー・ランチ」企画をケリー先生が立ててくれました。僕も行ってたんですけど、バイトやサークルがあるからといって集まりがよくなかった。
プログラムの正式な準備として、例えばこのeJIPの目標を明確にしようとか、eJIPのマークを決めようといったテーマで、メンバーで案を出し合って必ず結論にたどり着かなきゃいけない話し合いの練習をしておいたほうがよかったのかな。
オフサイト学習:場づくりラベルワーク
オンサイト学習(現地実習)2週間では短かった
梅本:今回はメキシコの学生たちと打ち解けたのが1週間たってからだったんで、もうちょっと期間を長くしないと満足する成果物にはならないかなと思いました。
田中:プレゼン込みで2週間はちょっと少なかった。
伊藤:現地にいたのが2週間。短い期間でしかも内容がいっぱい盛り込まれてて、農業の魅力を発信することで陸前高田の活性化につながるようにっていう一つの柱と、もう一つが自分たちが自分たちで考えて行動するプログラム実践能力と異文化適応能力を磨くことと、いろいろなことが盛り込まれ過ぎて、手に負えなくなってくるというか、田中さんが言ったようにキャパオーバーになるっていうか…。
石本:このプログラムの学生に与えられた課題が、農業女子の魅力を発信して、農業女子を増やして、産地直売所の魅力を発信することなんですけど、最終発表会に来てくれた人は、その期間中に知り合った人や、すでに農業に携わっている人ばかりだったんですね。それじゃあ、もともと農業を始めている人に農業のことを伝えても、農業を始めてほしいということを伝えても、余り効果がなかったのかなって思って。
発表会の案内チラシも現地でつくって配付したんですけど、そのチラシをオフサイト学習であらかじめつくっておいて、行ってからもうすぐ配れる状態にしたらよかった。もっと下準備はこっちで、オフサイトでやるべきやなと思いました。
「お母さん世代をターゲットにしよう」ってもともと言ってたんですけど、そうするなら保育所に出向いて、お母さんが子供を迎えに来る時間帯を狙って宣伝すべきやったなっていうのが改善点やな。
作成した農業女子ケースブック
2017年度eJIP.jp の募集についてはこちらより詳細をご確認ください。