第52回大学の魅力
商学部教授 石田 和之(ファイナンス専修)

私は、大学が好きです。学部を卒業してそのまま大学院に進み、大学の外の世界を知ることなく大学に職を得て、今に至ります。30年以上大学に居続けたことになります。大学教員の職を選んだのは、研究が理由ではなく、大学が好きだったからだと思います。私の専門は財政学ですが、本当は、専門は何でもよくて、大学に居続けることができればよかったのだろうと思います。
とくにキャンパスという空間が好きです。芝生があって、散歩する小道があって、ひと休みするベンチがあれば、更にいいです。喫茶店も好きです。関西大学には、これらのすべてがあります。キャンパスで過ごす4年間は、とても贅沢な時間だと思います。
キャンパスは、誰にとっても魅力的なところですが、学生にとってもっとも魅力的です。実利もあります。大学を卒業することで、人生を変えることができます。学位を取ることで人生をジャンプアップさせることもできます。
大学には、たくさんの魅力があります。でも、この魅力をどれだけ堪能できるかは、本人次第です。私のようにただ大学の門をくぐるだけで楽しめるならば、簡単に多くの魅力を味わうことができます。しかし、これは、多くの人には当てはまらないと思います。
大学の本当の魅力は、人です。キャンパスは、単なる広場ではなく、人が集まる場所です。学生同士の交流は、オンラインでは体験できない大学の価値です。大学の教員は、実社会を経験していない人が多いので社会性が乏しいとよく言われますが、高度な専門家です。私たちの多くは、教員免許を持ちませんが、博士号は持っています。私たちの専門性を思う存分利用してください。
大学に通えるのは、きっと、とても幸せなことです。
『葦 2023.№184 春号』
2023年4月21日更新
※役職表記は、掲載当時のものです。