第51回大学生の金融リテラシー
商学部教授 髙屋 定美(ファイナンス専修)

民法改正により、2022年4月から、18歳に成人年齢が引き下げられました。それにより、より若い時から社会に関わることができます。一方で、経済的な契約も可能になりました。自分ひとりで契約ができるようになり、お金を借りることも、保護者の承諾なしでできるようになっています。金融庁も「18歳、19歳のあなたに伝えたい!!」というHPを立ち上げ「借りすぎ」や「違法な高金利業者との契約」をしないよう呼びかけています。いまのところ、多くの金融機関は経済力が乏しいことから、ローン契約については、20歳以上に限定したり、20歳未満のローン限度額を低めにしているので、すぐに借りすぎ等の問題は出ないかもしれませんが、将来はそれもなくなるかもしれません。
このように大学1年生からひとりで契約ができるようになり、いま1年生から求められるのが「お金」との上手なつきあい方を学ぶことです。お金に関する知識や、その知識をうまく生かすための素養のことを金融リテラシーと呼びます。たとえば、お金をどのように貯めるのか、どのように借りたり増やせるのかといったことだけでなく、自分の人生設計の中でお金とどのようにつきあっていくのがいいのかということも含んでいます。この金融リテラシーを早い時期から身につければ、様々な金融トラブルを避けることもできます。
高校でも金融リテラシー教育は始まったところで、学校の先生たちも戸惑っていると聞きます。そうした中で、いまの大学生が十分なリテラシーを身につけられているかが、とても心配です。ご家庭でもなかなかお金のリアルなお話はしづらいかもしれません。ただ、学生にとって身近なのはやはりご家庭です。一度、お金のお話をなさってはいかがでしょうか。
『葦 2022.№183 秋冬号』
2022年12月19更新
※役職表記は、掲載当時のものです。